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宇宙飛行士・若田光一のお母さん タカヨさん:4

私と歩くとき、必ず側溝寄りに

2009年6月30日

写真宇宙飛行士になる前は、ハンググライダーも趣味だった(JAXA提供)

 92年、光一(45)が宇宙飛行士に合格したときに、新聞記者が自宅に来られたんです。そうそう、朝日新聞でした。

 「なにか、小さいころに描かれた絵とかありますか」って。光一の勉強の証しとして大事に取ってあったテスト用紙があることを思い出し、見ていると、小学2年生ごろの用紙の裏に、宇宙船の絵が書いてあったんですよ。

 10枚ほどあったでしょうか。地球がありまして、月、太陽、星とかが描いてあって、そして、宇宙船が地球から月に向かっています。ぐるぐると線が引いてあって、地球と月が結んでありました。

   *

 69年、アポロ11号が月に着陸しました。光一が5歳、幼稚園のときです。私はお父さんといっしょに、「すごい時代になったね」とテレビを見てました。

 光一はずっと覚えていたんでしょう。宇宙飛行士に合格した直後にも、「宇宙を意識したのはアポロ11号ですが、当時は米国とソ連の独壇場だったので、夢の夢だった」と話していましたから。

 おもしろいのは、月に着陸する月面探査機とロケットが、ふたついっしょに仲良く飛んで行くんです。探査機だけが月に着陸することは知っていたけど、二つがくっついて飛んでいくと思っていたらしいんですよ。

 5歳の夢を実現するなんて、幸せな子です。思えば、私は光一にいろいろと感動しながら生きてきたと思います。なにより、いつも人のことを考えながら生きている姿勢に感心しました。

 ささいなことですが、小学校のころから私と歩くとき、あの子は必ず側溝側を歩くんです。「どうして」と聞くと、「お母さんが落ちると危ないから」と。

 そんな気持ちが、小さな地球みたいな国際宇宙ステーションで生かされるといいなと思います。あの子の協調性、その点だけは胸が張れるかと思います。

   *

 この世に生まれ、人様のために働ける息子を育てられた。ありがたいことです。70歳を超え、「ひと仕事はやったな」という気分になれる。これまたありがたいことです。(敬称略、聞き手・石川雅彦)

      ◇

 次回からは千住博さん、明さん、真理子さんの芸術3兄妹です。

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