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柔道・上野三姉妹のお母さん 和香子さん:3

父は厳しさ担当、母は家では甘く

2009年10月20日

 父親の法美(のりみ)(56)は「武闘派」である。普段は無口で、ときには冗談を言う温和な柔道整復師であるが、ひとたび道場に立つと別人になる。

 小学校で柔道の世界に入った雅恵(30)は、その「鉄拳」をまともに浴びた。練習で手を抜くとげんこつが飛び、試合に勝っても内容が悪いと足が出た。

 法美のこんなひと言が印象的である。

 「よその子だったら、絶対に、教えきらなかったと思うんです」

 教えきる。法美が表現するのは、「自分が納得するまで指導する」「子どもの能力を出し尽くす」ことである。

 「才能がある子で、もっと教えたいと思っても、柔道を『楽しむ』という姿勢の家庭もある。けっこう、指導者とはもどかしいものなんです」

     *

 ただ、法美の「よその子だったら……」という発言の裏には、もうひとつの意味もある。和香子(54)が説明する。

 「よその子だったら、家に帰ってから、スパルタ練習のフォローができないことが大きいと思いますよ」

 和香子も道場では厳しい指導者だが、三姉妹がオリンピックという目標を掲げたときから、家ではできるだけ普通の母親で娘たちに接しようとした。

 「父が厳しさ担当。私は甘い母親。私もあつくなるタイプですから、甘さには限度がありましたけど」

 上野家が柔道を中心にテンポよく回ったのは、こんな父母の役割分担とともに、子ども全員が女の子だったことも大きいという。法美は、また「教えきる」という言葉を使いながら話す。

 「男の子だったら、教えきらなかったと思うんです。男子は、そうですね、中学校になったら体力もついてきて、自分の手では指導できなくなったでしょう」

 この言葉、裏返せば、法美が三姉妹を、精神面でも、技術面でも、体力面でも、思い通りに育てたという自信の表れでもあるのだろう。

     *

 「でもいまなら、もっと上手に、違った方法で育てられるかもしれない」

 そんな思いが、法美と和香子が旭川市の「誠心館柔道場大雪山」で、三姉妹につづく子どもたちに柔道を教えている理由でもある。(敬称略、石川雅彦)

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