現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. 教育
  4. 小中学校
  5. 天才の育て方
  6. 記事

柔道・上野三姉妹のお母さん 和香子さん:5

お姉ちゃんにできた、と妹は耐えられる

2009年11月3日

 旭川南高校を出て三井住友海上女子柔道部に入り、活躍を期待された雅恵(30)は、しばらく芽が出なかった。

 00年のシドニー五輪では、メダル候補にあげられたプレッシャーから体重が急減し、3回戦で欧州チャンピオンに完敗した。母親の和香子(54)は話す。

 「精神面で三姉妹でいちばん強いのは、もちろん雅恵に決まっています」

 01年、03年の世界選手権を連覇し、04年のアテネ五輪で金メダルをとった後、雅恵は目標を失った。05年世界選手権での初戦敗退では、負けたことより、全然悔しくなかったことが雅恵を追いつめた。なんとか奮起し昨年の北京五輪で金メダルを取ったが、さすがにつづかなかった。今年3月に現役引退を発表する。

 父親の法美(56)は語る。

 「雅恵は、精神的な部分でも、だれも経験しない未知の領域で戦ってきた。順恵と巴恵は、お姉ちゃんにできたんだから、と耐えられるから幸せ者ですよ」

    *

 次女順恵(26)の精神的なつらさは、五輪に出られないという苦悩だった。

 アテネ五輪では、直前の国際試合で優勝しながら、代表選考会をかねた全日本選抜体重別選手権で敗れ、代表になれなかった。北京五輪でも、全日本選抜体重別選手権で強敵谷本歩実(28)に勝ちながら選に漏れた。アテネ、北京ともに谷本が金メダルを取ったことから、「自分が出ていれば」と順恵の思いは複雑だったはずだ。

 そんな思いを一気に晴らしたのが、初の世界選手権となった今夏のオランダ・ロッテルダム大会である。決勝までの5試合すべて一本勝ちで優勝、日本勢初の姉妹金メダリストとなった。

    *

 精神面についていえば、三女巴恵(19)は恵まれている。なぜなら、これから遭遇するであろうスランプ、プレッシャーはすでに姉2人が経験しているのだから。05〜07年の高校総体史上初の3連覇など、体力、技術面は伸び盛りだ。

 五輪三姉妹金メダル。日本でその偉業をめざせるのは、いま、この上野三姉妹しかいない。(敬称略、石川雅彦)

    ◇

 次回からは、ピアニストの辻井伸行さんです。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

[PR]注目情報

ここから広告です

広告終わり

ジャンル別の最新情報はこちら
  • 大学
  • 中学・高校
  • 通信制高校