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囲碁名人・井山裕太のお母さん 宏美さん:2

6歳でテレビ出演、大人相手に五人抜き

2009年12月15日

写真7歳のとき、ひとり黙々と石を置く裕太

 祖父鐵文(てつぶん)(78)の勧めもあって、宏美(47)と父裕(ゆたか)(47)がはがきを送ったのは、読売テレビの「ミニ碁一番勝負」という番組だった。当時、解説を担当していた石井邦生九段(68)によると、はがきを受け取ったディレクターとのあいだで、こんな会話があったという。

 「石井さん、5歳で碁を覚えて、1年ほどで三段レベルになったという男の子からはがきが来ましたよ」

 「そんなこと、あり得ませんよ。中学生ならまだしも、5歳の子でしょ」

     *

 のちに師匠となる石井九段と裕太(20)が対面したのは、小学校入学前の96年のことである。6歳になった裕太は鐵文に連れられてテレビ局にやってきた。

 「ミニ碁一番勝負」は9路盤を使って戦う形式で、ふつうの19路盤と違って、15分もあれば勝負がつく。囲碁番組が珍しいこともあって、応募はがきは信じられないほど舞い込んだが、さすがに5歳児からは初めてだった。宏美が話す。

 「番組では、盤の向こう側に手が届かないものですから、小さい裕太がいすから立ち上がって、ちょこちょこ動きながら打っているんです。勝ち負けより、変なことをしでかさないか心配で……」

 ところがその番組で、裕太は大人を相手に五人抜きを成し遂げてしまう。

 石井九段が振り返る。

 「物おじせずどんどんと打ってくることにも驚きましたが、ここ一番という大事な場面ではじっと考える姿に感心しました。戦術は教えられるが、感性は教えられない。とんでもない才能だと」

     *

 裕太は賞品の桂の五寸盤を手に無邪気に喜んで帰宅したが、しばらくしてとてつもない「褒美」がやってくることになる。鐵文と意気投合した石井九段の弟子になる話が持ち上がったのだ。

 「私と主人は気楽に、やってみれば、と考えていたんですが、さすが、囲碁の世界を知っているおじいちゃんは、『想像以上にきびしい世界だ』『裕太に耐えられるかなぁ』と心配していました。そう言われると、私たちも不安で……」

 テレビ出演から1年ほどたち、裕太は正式に石井九段の弟子となり、電話回線を使った「ネット囲碁」を始めた。(敬称略、石川雅彦)

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