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プロサッカー選手・遠藤保仁のお母さん ヤス子さん:1

あんなに喜ぶ姿 初めて見た

2010年9月7日

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写真:デンマーク戦でFKを決め、跳び上がってよろこぶ遠藤保仁=越田省吾撮影デンマーク戦でFKを決め、跳び上がってよろこぶ遠藤保仁=越田省吾撮影

 6月24日夜(日本時間25日未明)、南アフリカ・ルステンブルク。ロイヤルバフォケング競技場のピッチに、「ヤット」こと遠藤保仁(やすひと)(30)は立っていた。サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会1次リーグ、対デンマーク戦。決勝トーナメント進出をかけた譲れない一戦だ。

 1点リードで迎えた前半30分、ゴール正面27メートル地点からのフリーキック。すでに先制のフリーキックを決めていた本田圭佑(24)に声をかけられ、保仁が短く言葉を返す。どちらが蹴(け)るのか。スタンドで観戦していたヤス子(62)は、「ヤット、蹴って」と心に念じた。隣にいた夫の武義(62)が、ともに観戦しているほかの選手の家族を気づかう低い声で、「ヤット、蹴れ」とつぶやいた。

 また本田かと思わせた直後、保仁が大きく右足を振り抜いた。「ここから先は頭が真っ白になってしまってね。ゴールした瞬間のことは何も覚えていないんです。笑顔のヤットが右手を突き上げ、ベンチに向かって跳びはねながら走ってきたのを見て、ああ、入ったんだなって」。ヤス子はそう振り返った。

 スクリーンを見上げると映像が流れ、蹴ったボールは大きな弧を描いてゴール右隅に吸い込まれていった。海外開催では初となるW杯決勝トーナメント進出を、保仁が自らの手でぐいと引き寄せた瞬間だった。「感情を表に出さない子ですから、あんなに喜んでいるのを見たのは初めて。私たちも興奮して、闘莉王のママや妹さんと抱き合って喜んでね」

 試合に集中できるよう、どんな大舞台の前にも電話を入れたことはない。だが、「なんとなく気になって、デンマーク戦の前はめずらしく電話をかけました。『そっちはどうね?』って、かえってヤットに心配かけちゃって。集中さしとけばよかったね、電話せんかればよかったねって主人と話したんですよ」。競技場に向かう前、保仁は4歳になる息子の楓仁(ふうと)と電話で約束していた。「『パパ、フリーキックを決めてね』って頼まれたらしいんです。楓仁の夢がかなって、ほんとうによかった」

 岡田武史監督から「チームの心臓」と信頼を寄せられ、今大会は全4試合に先発出場。チームトップの走行距離となる47キロを駆け抜けた。だが、保仁のそれまでの道のりは、決して平坦(へいたん)なものではなかった。(敬称略・田中順子)

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