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吹奏楽

吹奏楽コンクール

響き合わせる喜びを 難曲ぞろいの吹奏楽コン

2010年11月12日

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 どうやってこれらの演奏に甲乙つけるんだろう――。先月末、東京都杉並区の普門館で開かれた全日本吹奏楽コンクール全国大会中・高校の部を聴くうちに、そう戸惑わずにいられなくなった。

 とにかく演奏水準が高い。今すぐオーケストラの団員になれるんじゃないか、と思うほどの生徒もちらほら。

 そんななか気になったのが、各校が選ぶ曲のあまりの難度の高さだ。無調の現代曲や大オーケストラ作品の編曲版など、さながら難曲のショーケース。他との差別化を意識してのことだろう。そこには当然、勝つための様々な「戦略」もにじむ。

 記者が中・高校の時は、アルフレッド・リードらによる吹奏楽のためのオリジナル曲がコンクールの「常連」だった。管楽器同士でしかつくれないハーモニーの妙や躍動的なリズムを満喫した。その圧倒的な幸福感は、生涯忘れることができないと思う。それらの作品もここ数年、全国大会からはほぼ姿を消した。

 全国大会出場や金賞といった目標は、子どもたちには何よりのモチベーションの源になるはずだ。しかし、数字や順位で示せない豊穣(ほうじょう)な世界が芸術にはある、と胸に刻むのも、感性豊かな世代には大切なことではないだろうか。

 全日本吹奏楽連盟副理事長で、強豪校の淀川工科高を率いる丸谷明夫顧問はこう語る。「より速くより高く、と技巧を競うのは、本来の音楽の喜びとは別次元のもの。演奏している子どもたちの思いが見えないと、聴衆に感銘を届けられない。吹奏楽での経験が、卒業後の子どもたちの豊かな未来へどうすればつながるのか――我々指導者にとって、最も大きな課題です」

 全国大会まで勝ち残ることができなくても、それは「負け」ではない。人生で最も感性豊かな10代の時期に、たくさんのハーモニーに心を動かし、美しい旋律を心にとどめる、その経験を助けてこその吹奏楽だ。強豪校含む全国の吹奏楽部は一度、その基本理念に立ち戻り、来年以降の選曲を見つめ直してほしい。

 吹奏楽はクラシックだけでなく、ジャズやポップスなどあらゆる音楽につながっている。休日に好きな音楽を聴き、楽器を手に家族や仲間とアンサンブルに興じる。そんなカッコいい大人になるチャンスをくれるのが吹奏楽なんだと生徒たちに伝えたい。勝利の陶酔ではなく、その「特権」をこそ生涯の宝にしてほしい、と。(吉田純子)

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