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きょういく特報部2009

毎年?全員?問われる意義 学力調査・教委アンケート

2009年4月5日

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 07年の開始時から「ここまで大規模にやる必要はない」「過度な競争を招きかねない」と異論があった全国学力調査。全部で65ある都道府県と政令市の教育委員会にたずねた朝日新聞のアンケートには様々な意見が寄せられた。多額の予算と労力がかかる調査を今後も毎年続けていくのか。あり方がいま、問われている。(葉山梢、星賀亨弘)

 全国学力調査は文部科学省が07年度から実施。小6、中3の全員が国語と算数・数学の問題に取り組むことを原則としてきた。しかし、必ずしも教育委員会側に賛同意見が多いわけではないことが、今回のアンケートで浮き彫りになった。

 「調査を今後も続けるべきだと思うか」という質問に対しては、「検討中」としたところのほか、「実施主体は国」「参加主体は市町村」などと述べて都道府県教委としての意思表示をしないところが目立った。

 そんな中、19の教育委員会が今のやり方を変えるべきだとした。アンケートの選択肢から選んだ「変え方」(複数回答)は「抽出調査に」とした教委が9、「期限を決めてやるべきだ」が7、「数年に1回に」も7。抽出調査を求めた教委のほとんどは「学力傾向は抽出調査で十分わかる」と答えた。

 ある県の担当者は「状況はある程度把握できた。国は(直接的に)学力を改善する施策に予算を使ってほしい」と求めた。

 「期限を決めて」という教委にその年限をたずねると、「3年程度」「小学校で新しい学習指導要領が全面実施される11年度まで」「初年度に小6だった児童が中3で調査を受けるまで」といった意見が上がった。

 「数年に一度」とした岡山県は「課題改善には一定の時間を要し、毎年調査が実施されることで地道な取り組みを行いにくくなる」と訴えている。

 ◆継続求める声も

 一方、「できるだけ長く続けるべきだ」という教委の個別の声をみると、「全国的な状況との関係で学力を把握することが必要なので、継続は意義がある」(大阪府)など、客観的なデータを全国レベルで把握できることを利点として挙げるところが多かった。「県の独自調査を受けた小5、中2が翌年国の調査を受けることで、一人一人の実態を継続的、詳細に把握できる」(広島県)など、独自調査との関係を理由に挙げるところも多かった。

 04、05年度に実施した独自調査に代えて全国学力調査を学力分析に活用してきた奈良県も「できるだけ長く」と求めた。

 ◆結果公表、促す首長も

 全国学力調査をめぐっては、結果の公開のあり方も議論になっている。今回のアンケートでは、各地の情報公開の様子についても質問。07、08年度の結果について住民から情報公開請求を受けたのは29教委で、そのうち25教委が市町村別、学校別の成績を非開示とした。

 秋田県では知事が自ら全市町村の結果を公表。大阪府では教委は非開示としたが、知事が一部の市町村の結果を公開した。

 神奈川県、京都府は非開示決定に対して不服申し立てがあり、情報公開審査会で審議中だ。埼玉県は審査会から「全部開示すべきだ」という答申を受け、市町村名を伏せて正答率などを公開した。堺市は市の結果を請求され、開示した。

 首長には、県内の自治体に結果を公表するよう促す発言も出ている。鹿児島県の伊藤祐一郎知事は「市町村教委は保護者や地域住民への説明責任を果たすべきだから、市町村別の平均正答率などを公表すべきだと考える」と議会などで発言した。

 ●年ごとに教科変えても 耳塚寛明・お茶の水女子大副学長

 全国学力調査の検討段階から、国の検討会議のメンバーとして「実施すべきだ」と言い続けてきた。だが、悉皆(しっかい)(全員対象)調査の必要性があったわけではない。当時の中山文科相の考えもあり悉皆となったが、今は「学力調査はいらない」という政治家もいるくらいで、再検討する時期がとうに来ている。

 07、08年度で問題の難易度がかなり違ったのに全体の傾向は変わらなかった。知識より「活用」に課題があることも分かっている。「毎年悉皆でやる必要があるのか」という疑問は強くなってきている。

 学力の水準と格差を時系列的に監視する調査は国として不可欠だ。それは抽出で十分だし、毎年同じ教科をやる必要もない。問題の種類を増やし、年ごとに教科を変えてやるといいのではないか。費用も大幅に少なくて済み、分析体制の整備にその分を回すこともできる。

 教育の成果をきちんとモニターすることは不可欠で、全国的な学力調査自体は無くしてはいけない。そのためには、各種の国際調査、国の教育課程実施調査や特定課題に関する調査、各教育委員会の独自調査も含め、機能別に整理する必要がある。

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