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きょういく特報部2009

政権交代で教育も変わる 3つの政策 課題をみる

2009年9月7日

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 総選挙での歴史的な勝利を受け、民主党を中心にした政権が間もなく誕生する。長く続いた自民党政権下での教育の枠組みは、どう変わっていくのか。早い段階で変化が予想される三つの政策課題をみた。

■高校無償化―一律なぜ 今後の論点

 総選挙の投開票から一夜明けた8月31日。文部科学省の坂田東一事務次官は定例会見でさっそく、民主党が公約の目玉に掲げた「高校無償化」について考えを述べた。「文科省は経済的にハンディがある家庭に優先度をおいてきたが、民主党は経済環境にかかわらず全員出すという」「若干、考え方の違いがあるので、検討が必要だ」

 民主党の現時点の案は、公立高校生をもつ家庭に、所得の高低にかかわらず市町村経由で授業料相当額を支給するというものだ。毎年約4500億円が必要だといい、財源は「全省庁の予算を組み替えて確保する」としている。

 「なぜ高所得層も無償なのか」。坂田次官も指摘したこの点は、今後、大きな論点になるのは間違いない。「先進国で高校が無償でないのは日本ぐらいしかない」というのが民主党の主張だが、文部科学省の幹部の一人は、自民党はなお「一律無償化」を批判してくるだろうとみる。「文科省としては、困窮している人に奨学金を一層手厚くするなどし、セットで『低所得層重視』の姿勢を示すことになるのではないか」

■教員免許更新制―継続か廃止か 混乱危ぶむ声

 教員を続けるためには10年に1度大学などで講義を受け、修了しなければならない教員免許更新制。この春始まったこの制度について、民主党もかつては同様の仕組みを示していた。しかし、無駄な事業を洗い出す「事業仕分け」の中で、今年7月には廃止すべきだとの見解に至った。「今のやり方では効果が不透明」「教員が疲弊する」というのが理由だ。

 一方で民主党は教員養成制度の抜本的な見直しを掲げ、マニフェストでは「養成課程は6年制とし、養成と研修の充実を図る」と記した。教員志望者には学部に加えて大学院で学び、修士号を取得することを義務づける。今は2〜4週間の教育実習を1年に延ばす。さらには、教員として8年の実務を経験した後、教職大学院で学んで「専門免許」を取得する、という考えだ。

 しかし、文科省には「6年かかる負担感で教師の志望者が減ってしまうかもしれない」「1年に及ぶ教育実習は学校に負担が大きく、受け入れてもらえないおそれがある」と危ぶむ見方もある。「続けるかやめるか、早く決めないと、免許更新の講座を開く大学も、受ける教員も混乱する」という声が上がっている。

■全国学力調査―抽出なら目的見直し

 今春、3回目が実施された全国学力調査。民主党はマニフェストでは触れなかったものの、やはり「事業仕分け」の中で「サンプルを取り出す抽出調査で十分」と判断した。

 調査は全国の小6と中3が対象で、今春は約234万5千人が参加。1回につき約60億円かかっているが、抽出式にすれば10億円程度にまで予算をカットできるという。

 ただし、抽出方式に変える場合、「学校が各児童生徒の学力や学習状況を把握し、指導や改善に役立てる」という調査の目的を見直さなくてはならない。調査の規模や学校の選び方、結果の活用方法などについても検討が必要だ。

 民主党は、全体の教育予算については増額を明言し、教職員数や国立大学の運営費交付金を増やすとしている。それに期待する文科省も、8月末にまとめた来年度予算の概算要求で、公立小中学校の常勤の教職員について5500人増、非常勤は3万3千人増と、1年前の3倍以上の増員を盛り込んだ。(青池学、見市紀世子、上野創)

    ◇

●どの子の人生にも機会を

 民主党参議院議員で、教育政策を立案してきた鈴木寛・政策調査会副会長(45)に聞いた。

 ――高校無償化の道筋は?

 マニフェストの工程表で来年4月1日とうたっている。それを前提に仕組みを検討している。学費以外への流用ができないよう、保護者が学校の窓口に申請書を提出した上で、学校側が代わりに授業料相当額の給付金を受け取るようにすれば最もスムーズだ。

 ――なぜ富裕層も対象に?

 先進国で高校が無償でないのは日本ぐらいだ。子どもの養育義務は親にあるが、社会は何もしないで良いのか。社会が投資すれば、生徒たちは将来、社会に還元しなければならないと考えるだろう。

 ――教員免許更新制は?

 発展的に解消、進化させる。教員の実務経験を積んだら、「教科学習」「生活進路指導」「学校マネジメント」という3種類の分野で「専門免許」を取得することを標準にしたい。3種の専門分野の中核的リーダーを養成することを目指し、そのために必要な研修をすることを考えている。

 ――全国学力調査はなぜ抽出式に改めるのか?

 大事なのは現状を把握し、改善策を打つこと。これまでに3回やって、子供たちの学力の傾向はわかってきた。調査のフォローは継続するが、抽出調査で十分。むしろ、理科とか英語とか、現在実施していない教科の学力をどうみるかに関心がある。

 ――民主党政権で、教育はどう変わる?

 現場に耳を傾け、教員数もOECD(経済協力開発機構)加盟国の(平均)レベルを目指す。そして、どんな家庭、どんな地域に育っても、子供たちに人生を切り開くチャンスを与えたい。

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