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きょういく特報部2009

負担軽減、首相も指示 川端文科相の就任会見

2009年9月21日

 鳩山内閣が16日に発足し、政権交代は現実のものとなった。新しい文部科学大臣に就いたのは、民主党幹事長の経験もある実力派の川端達夫氏。長く続いた自民党政権下の教育は変わるのか。就任記者会見の発言を紹介する。

■高校無償化――来年度に実施したい

 ――高校無償化メモ(1)の実施プロセスは?

 マニフェストの約束なので、来年度に実施したい。(秋の)臨時国会ではなく、(年明けの)通常国会の課題だ。

 ――必要な年間経費約4500億円はどう確保するか

 (政府予算)全体で(どこが削れるか)考えないと。私の立場だけで申し上げることは出来ない。

 ――前政権では、高校について、教材費や修学旅行費などに使える返済不要の奨学金が検討されていた

 支援の仕方はいろいろなものがありうる。(財源は)無尽蔵ではない。授業料(無償化)から始めるぞという位置づけだと理解いただきたい。

 ――大学の奨学金は

 生活費も含めて奨学金としてバックアップするというのが理念。詳細な設計はまだです。

■教員免許更新制――先生の質向上、効果見極める

 ――教員に10年ごとに講習受講を義務づける教員免許更新制メモ(2)の廃止は?

 目的は、先生の質をより高めること。(そのために考えられる手段は)教員養成6年制と、もう一つが免許更新制。それがどれぐらい効果があるのか見極めないといけない。

 ――小6、中3の全員参加を原則とする全国学力調査メモ(3)はどう見直す?

 本来の目的は、全国的な教育水準が確保されているかどうかをみること。抽出調査でいいのではないか。結果の公開のあり方についても、いろんな議論がある。幅広く意見を聴取して、方向性を見いだしていく。

 ――今年度から一部先行実施されている新しい学習指導要領はどう考える?

 長い手間ひまをかけて準備をしている。基本的にそれをどうこうするつもりはない。やり出したことを切った張ったみたいにして混乱するのは避けなければならない。

 (かねて民主党が唱えている、学習内容を学校現場の判断に委ねることについては)取り組むが、来年からではない。

■日教組との関係――幅広い声の一つ、大事に思う

 ――民主党の支持団体の一つ、日教組との関係は?

 日教組は教育にかかわる団体の一つ。教育は生徒児童、保護者、地域、いろんな立場がある。それを総合的に考えて教育をやっていくのが行政の責任。教職員の一つの団体の声をうかがうこともやぶさかではない。幅広い声の一つ、大事な声だと思っている。

 ――日の丸掲揚・君が代斉唱の問題は? 教員の行動を縛るのか

 難しい。国旗国歌は法律で決まっている。国民感情で、大事にしなければと広く定着していると思う。大事にしようという教育があってしかるべきだ。センシティブ(微妙)な問題もある。裁判にもなっているので、これ以上私の立場からは控えたい。(青池学、見市紀世子)

【メモ】

(1)高校授業料無償化

公立の生徒がいる世帯に授業料相当額を助成し、実質的に無償化する。私立の生徒の世帯にも同等額、低所得層は倍額を助成する考え。

(2)教員免許更新制

忙しい教員がさらに疲弊してしまうという批判も強く、民主党の「事業仕分け」では廃止がうたわれた。

(3)全国学力調査

民主党は「事業仕分け」で、現在の全員調査からサンプルを取り出す抽出調査にすることを打ち出している。

【その他の課題、新文科相どう語った?

●国立メディア芸術総合センター(仮称)

いわゆる「アニメの殿堂」。党は事業仕分けで、117億円の予算がついたこの事業の廃止を打ち出したが、会見では明言せず。ただし「結論はおのずから、もう見えている」。

●党独自の「日本国教育基本法案」の国会提出

総選挙の公約に盛り込まれたが、直ちに提出はしないと明言。「前回の基本法大改正を受け、教育現場と国民の皆さんの受け止めを検証する中で、もう一度出すか(内容を)変えるか検証したい」

●文科省元幹部の政権交代直前の天下り

「元に戻すことがかなり難しいのも承知している。天下り禁止の実現にいろんな手だてが必要で、議論したい」

     ◇

■「年かわり大臣」改められるか

 川端・新文科相の就任記者会見は、自民党政権が消極的だった「高校無償化」をさっそく明言するなど、政権交代を強く印象づけるものだった。

 そして同時に思ったのは「来年だれが文科相を務めているか」ということだった。

 01年の省庁再編で文科省が誕生してから、川端氏は10人目の大臣となる。前の9人のうち6人は1年前後で、2人は就任後数カ月で退任している。ただ一人の例外は遠山敦子氏だが、それでも在任期間は2年半ほどだ。政権を放り出す首相が続いたことがあるにせよ、あまりにも入れ替わりが激しかった。

 塩谷立・前文科相は16日の退任記者会見で、在任が358日と1年足らずだったことを踏まえ、「3、4年はしっかりやることが必要だ。もうすこし落ち着いてやれていたら……という思いがある」と語った。

 新政権は、この反省をしっかり生かせるか。政治の事情よりも、時間をかけて着実に教育行政を進めることが私たちにとって大切であることは間違いない。(青池学)

     ◇

 川端達夫(かわばた・たつお) 滋賀県近江八幡市出身、64歳。京都大院工学研究科修了。旧民社党出身で、東レ労組から86年衆院初当選。以来連続当選8回。民主党内では国会対策委員長、幹事長、副代表などを歴任。

■組閣に当たって鳩山首相が川端文科相に渡した指示書

1 高校を実質無償化し、大学は奨学金を大幅に拡充するなど、教育にかかる国民の負担を軽減し、すべての意志ある人が教育を受けられる仕組みを構築する。

2 将来の日本を育てる人材を育てるため、教員の資質や数を充実することなどにより、質の高い教育を実現する。

3 大学や研究機関の教育力・研究力を強化し、科学技術の力で、世界をリードする。

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