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きょういく特報部2009

毛筆の片付け、どうしてますか? 「聞いて聞かせて」に反響続々

2009年10月12日

 小学校の書写は、3年から毛筆を使う授業が始まる。さて、その片付けはどうしていますか? 「学校では筆やすずりを紙でふくだけ」「墨汁でずくずくのまま」。こんなお母さんの悩みを9月6日付の投稿コーナー「聞いて聞かせて」に掲載したところ、たくさんの反響が寄せられました。全員が洗い終わるまで時間がかかって授業時間を圧迫する。滴で床が汚れる……。学校にも悩みがあって「紙でふくだけ」に至ったところが多いようです。みなさんの声を紹介します。

■学校側も苦労、試行錯誤

 最初の投稿は神奈川県の母親(44)からだった。「うちは絵の具の筆用の筒型ケースを買いましたが、墨汁を十分ふき取れない子やランドセルにそのまま入れる子もいるそうです」とつづり、学校で洗わないことに疑問を投げかけた。

 母親の立場からは、他にも同じような声が寄せられた。

 千葉県の主婦(41)は、書道具だけでなく、図工で使った絵筆やパレットも汚れたままで持ち帰る小学3年の長男に「なんで?」と驚いたという。子どもの連絡帳には「書写があった日は、筆を洗うことが宿題です」とあった。

 自分の小学校時代を振り返れば、みんなで洗い場に並んでいた記憶がある。「順番を守って並ぶこと、時間内に片付けを終わらせること。これも大切な学習の一環と思います」

 ただ、学校にも苦労があるようだ。神奈川県の公立小学校で書写を教えている女性教員(49)は、指導に試行錯誤してきたという。

 最初の授業では筆をバケツで洗い、すずりについても残った墨を容器に集めた上で廊下の流しで洗った。しかし、授業時間内に片付けが終わらず、20分ずれ込んで下校時刻を過ぎてしまった。帰りが遅いことを心配する電話も保護者から入ったという。

 教室に水道はなく、洗い場といえば廊下に蛇口が4個あるだけ。筆やすずりを洗うために持ち歩くと、廊下や教室のあちこちに墨が落ち、それを踏んだ上履きの汚れでまた床が汚れる。ちょっとした騒ぎになり、それ以来、学習時間を確保するために使用済みの紙で筆をふき、家庭に持ち帰って洗うよう、やり方を変えた。

 ただし、それでも学び始めの3年生では、準備と片付けで授業時間が尽きてしまうという。「なかなか字を教えるという状態にならなくて困っています」

■「各家庭で洗って」事前に説明

 東京都の主婦(43)は、学校の保護者会で前もって「書道の筆は各家庭で洗ってください」と説明を受けた。学校からの連絡プリントにも「家庭でお願いします」とあった。理由も含めて前もってわかっていたから、子どもが汚れた筆を持ち帰っても驚かなかった。「洗うことに時間をかけるよりも、学習指導をきちんとしてもらう方が大切ではないでしょうか」と理解を示す。

 8年間書道を習っている鳥取県の高校1年生、長谷川まゆさん(16)も、小学校時代から書写の授業では筆やすずりを洗わずに家に持って帰ることになっていた。洗っていたら、その分授業の時間が短くなって、いっぱい書けなくなってしまう。「家でできることは家ですればいい」。筆先が固まってきた頃に自宅で水洗いしているという。

■空き瓶に水入れ 机の上ですすぐ

 いい方法がある、と教えてくれたのは、愛知県の薬剤師、加藤千映子さん(32)。小3の長女が通う学校では、書写の先生から空のペットボトルを持参するように言われている。水を入れた500ミリリットルのペットボトルに筆を入れて、軽くすすぐだけ。その後、半紙で水分をふき取れば、汚れた水を流すだけで学校の洗い場が汚れることもなく、家で洗う負担もないという。「必要な水は小さなペットボトル1本分。これってエコじゃないでしょうか」

 こんな方法も。東京都の主婦、小林睦美さん(44)は「筆を洗うための空き瓶を持ってきてほしい」という書写の先生の呼びかけで、サケフレークやジャムの瓶を学校に持って行った。授業では1人1個ずつ、机の上にその瓶を置く。筆を持ち歩かないので教室は汚れない。「今年から校舎が新しくなって、なんとか汚さないようにと、先生が考えたようです」という。

■「国でルール作るまでもない」

 学習指導要領は、書道具の後片づけについて特に言及していない。文部科学省は「筆の一般的な使い方は国で共通ルールを作るまでもない」。

 一方、小3の教科書には筆の後始末などについて記述がある。読み比べると、「墨をよくふき取り、洗って穂先を整える」という「どっちも派」と、「墨を水で洗い落とすかよくふき取るかして穂先を整える」という「どちらか派」に分かれていた。

■「使ったらすぐに洗って」

 投稿を読んだ筆の製造卸メーカー「一休園」(広島県熊野町)からは、「筆は使った後にすぐ洗った方がいいです」という声が寄せられた。

 すぐに洗わないと、墨が筆の中にたまってカチカチに固まってしまう。次に使うときに穂首を傷めたり、軸を割ったりする原因になる。

 ただし、小筆の場合は手入れが異なる。のりで固まっているところは洗わずに、ぬらしたティッシュで墨のついたところをふきとる。穂先の形を整えて、よく乾かすところは同じだ。穂先を下にしてつるすために、かけひもがついている。

 久保田哲暁社長は「学校でたくさんの児童が一斉に洗うのは確かに難しいかもしれない。でも、家に帰ったらできるだけ洗うようにしていただきたいですね」。(中村真理子)

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