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きょういく特報部

「電子黒板」で変わる授業 配備台数、1年前の倍以上に

2010年1月25日

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 学校の授業が様変わりしつつある。そのツールは「電子黒板」。パソコンの画像や動画を大きく映し出す、電子ペンでそこに書き込める、画面は保存できていつでも取り出せる……というものだ。子どもの関心や理解を高めるというふれこみで、全国の配備数は今年度、前年の倍以上の3万6千台に増える見込み。大手メーカーも有望分野とみて力を入れる。

■教諭「食いつきが良い」

 小学6年生の社会の授業。大山(だいせん)古墳(仁徳天皇陵)の航空写真をパソコンで探し、自分たちの学校の航空写真とともに電子黒板に表示する。電子ペンで赤く囲んで比べると、子どもたちは陵墓の大きさを実感して「すごい」と声を上げた。そこにすかさず「どうしてこんな大きなものが造れたんだろうね」と問いかける。

 東京都杉並区立桃井第二小学校の中島武史教諭の授業は、こんな風に進む。3年生の学級の理科の授業では、例えば屋上に置いた棒の影が時間と共に動く様子を1時間おきにデジタルカメラで撮影し、コマ送りで連続して見せる。中島教諭は「子どもが見てすぐ分かり、食いつきも良い」と言う。

 電子黒板には、プラズマテレビとの一体型や専用のボードに投影機から映す型などがあり、今の販売価格は30万〜40万円程度が標準だ。これまでの黒板に投影用のボードを張り付ける簡易型も十数万円程度で販売されている。

 社団法人・日本教育工学振興会によると、最も進んでいるイギリスでは全教室に設置され、アメリカや韓国、シンガポールなどでも普及が進んでいるという。

 日本では、昨年3月時点で導入していた学校は約1万校で全体の約25%、数は約1万6千台。それが、その後さらに景気対策として大型補正予算で約98億円がつき、小中学校で新たに約2万台が配備されることになった。

 文科省は当初「5年かけて全教室に整備」と目標を掲げ、2010年度の予算で122億円を要求。政権交代後にマニフェスト優先の予算が組まれた結果、全額が削られることになったが、電子黒板の導入をはじめとする学校ICT(情報通信技術)については民主党にも「積極的に取り組むべきだ」という意見が少なくない。業界には「普及の流れは止まらない」という期待感が強い。

■「触れたことない」

 国内最大手の日立ソフトは昨年10月末、現場の教員向けに専用サイトを設け、電子黒板の使い方のコツや活用事例、デジタル教材の提供などを続けている。

 世界シェア1位のスマートテクノロジーズ社(カナダ)の製品を販売するサカワ社(本社・愛媛県東温市)は、サンプル機器が積みやすいようにワンボックスカーを改造し、2台で各地の教育委員会を説明に回る。「注文は前年から倍増した」という。

 ただし、学校現場には「触れたこともない」という教諭が多く、盛り上がりの波は限定的だ。大分県の中堅の小学校教員は「去年、管理職の発案で1台入れたが、今はほこりをかぶっている。使い方がよく分からず、忙しくてさわる時間もない」。東京都の中学校長も「今はなくても困らない。その予算があったら教員の数を早く増やして欲しい」と話す。

■英国「ないと困る」

 文科省所管の社団法人・日本教材備品協会は06年から2年間、備品などの取り扱いについて学校現場を調査した。その際、電子黒板についての意識を小中学校662校に尋ねたところ、「必要」という回答は54%にとどまった。ただし、実際に電子黒板がある48校に限ると、46校までが「必要」と答えたという。

 教育関連企業などでつくる日本教育工学振興会の森田和夫常務理事は「最新の電子黒板は扱いが簡単で、視察した英国やシンガポールなどでは『ないと困る』という教員が多かった」と話す。「教材などをそのまま映せる実物投影機やパソコン、電子教材などと組み合わせると、授業で子どもの興味や理解を一層高められる。日本も教員が便利さを知れば普及が進むだろう」と期待を込める。(上野創)

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