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きょういく特報部

コンビニ×高校生で新商品 広がる共同開発

2010年8月23日

写真「蒲郡みパン」を試食する斉藤碧さん(中央)ら=2009年8月、岡崎商業高提供写真写真写真

 高校生とコンビニエンスストアによる共同の商品開発が広がっている。働くために必要な能力を生徒に身につけさせ、商品化の大変さもあわせて理解させたい高校側。若者の柔軟な発想を生かし、地元の食材を採り入れた商品戦略を展開したいコンビニ側。両者の思いが一致した取り組みだ。2013年度からの高校の新学習指導要領で「商品開発」の科目が新設されることもあり、動きはさらに活発になりそうだ。

■発想、データが魅力

 商業学科がある愛知県内の15校とサークルKサンクスが共同開発したパンが今年1月、東海地方を中心に1514店舗で売り出された。「蒲郡(がまごおり)みパン」(126円)。ミカンが3個連なった形で、中には同県蒲郡市特産のミカンを使ったジャムが入っている。

 同社が地元の特産品を指定して商品アイデアを募り、応募があった約1千点から採用された4点の一つだ。3週間の限定販売だったが、約7万2千個が売れた。

 考案したのは、県立岡崎商業高3年の斉藤碧(あおい)さん(17)だ。「学校で小腹がすいたときに食べるパンがほしかった。名前も形もパッと思いついた」。パッケージも、ミカンを入れる網そっくりの図柄を提案。デザインの斬新さが採用の決め手になった。

 開発段階で同社の社員を交えた試食会が校内で開かれた。斉藤さんは緊張しながらも「もっとミカンの風味を出してほしい」と要望した。担当の上沼善雪教諭は「自分の意見を伝える難しさが分かったと思う。授業では得られない効果がある」と話した。

 岡山市の県立岡山南高とセブン―イレブンは、「味飯&チキン竜田弁当」(498円)を開発し、今年2月に発売した。

 テーマは「お父さんに食べてほしい弁当」。携わったのは、今春卒業した同校の商業学科と家庭学科の計22人だ。開発に当たっては、家庭学科の生徒が父親たちの昼食について中身や食事時間、値段などを調査した。

 自分たちは色々な種類のおかずを時間をかけて楽しむが、父親たちは早く済ませ、昼休みの残りをコーヒータイムなどに充てていたという。現在短大1年の吉岡宏美さん(18)の父親は、社員食堂で肉類が中心のメニューだった。「スタミナを付けるのも大事だけど、栄養のバランスを考えて、魚も食べてほしいと思った」

 調査の集計と分析は主に商業学科の生徒が担い、結果を基に家庭学科の生徒が試作品を調理した。おかずの数を絞ってはしを運ぶ回数を減らす一方、地元の瀬戸内産のちりめんじゃことタコを使った2色ご飯に。主菜は高校生に人気のある竜田揚げを使った。

 販売店舗は初め、学校近くの24店だったが、好評だったため翌月から県内全域の195店に広げた。4カ月の期間限定で、実に約10万食が売れたという。

 高校生との共同開発の利点について、ファミリーマートの広報担当者は「メーカーや小売店が持っていない発想やアイデアがある」と話す。サークルKサンクスの広報担当者は「マーケティング活動として、若い世代のデータをダイレクトに集められる」。コンビニの主要なユーザーである若者から直接、意見を聞くことができる貴重な機会ととらえ、将来の販売戦略に生かしたい狙いもある。

 各社とも「地産地消」「地域活性化」「地域の嗜好(しこう)性」をテーマに商品戦略を繰り広げており、その一環として地元の高校生は大きな力になっているようだ。

■地元と連携で職業観

 高校生による商品開発は、地元の企業や団体、商店街などでも展開されている。

 全国約1500の商業系高校が加盟する財団法人・全国商業高等学校協会(東京都新宿区)によると、動きが活発になったのは約10年前。地元の特産品を生かしたパンやアイス、ケーキなどのほか、エコバッグやタオル、せっけんといった生活用品もある。徳島県立小松島西高が05年におからを使って開発した「雪花菜(おから)アイス」は好評で、今もネット販売が続く。

 協会の菅原則義事務局長は「商品開発は、地域の人たちと連携したり、地元の食材を使ったりして地域に貢献することができる学習です。社会人と接することでコミュニケーション能力が鍛えられ、チームで課題を解決する力も身につけられる。就職や進学を前に、職業観を育てるのに役立つ」と評価する。

 法政大大学院の諏訪康雄教授(雇用政策)もキャリア教育に効果的だとみる。「社会的な責任をチームで負わせ、計画的にプロジェクトを実行させることは、前に踏み出す力や考え抜く力、チームで働く力を高める。高校生が社会とかかわりながら取り組む商品開発は理にかなった学習で、若者がハラハラ、ドキドキしながら成長することは大切です」(二階堂勇、相原亮)

    ◇

 ■商品開発 2013年度に実施される高校の新しい学習指導要領で、教科「商業」の中の新科目の一つとして明記される。体験を通じて、消費者の視点に立って商品を企画、開発し、流通までを担う能力を育てることが狙い。パッケージデザインや知的財産権といった専門的な内容も学ぶ。

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