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きょういく特報部

通知表 手書き?パソコン? 「聞いて聞かせて」に反響

2011年1月24日

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写真:手書きで書かれた所見(手前)とパソコンで打ち込まれた所見拡大手書きで書かれた所見(手前)とパソコンで打ち込まれた所見

 通知表の所見欄は手書きがいい? パソコンでもいい? 昨年12月26日付の投稿欄「聞いて聞かせて」で、「手書きで書いて」という読者の意見を掲載したところ、多くの反響があった。教師から「パソコンでも心を込めて書いている」との声が多く寄せられた一方で、「子どもの通う学校の通知表にはコメント欄そのものがない」と嘆く保護者も。現場はどうなっているのだろう。

■〈保護者〉肉筆で人間味・所見あれば印刷でも

 保護者からの意見には「ホッとする」など、手書きのよさを訴えるものが多かった。

 愛知県の会社員(47)は「年賀状と同じで、印刷だけで手書きの一言がないとがっかりする」。ただ、「手書きで、というのはとても酷なことを言っているのかも」と、教師の多忙さにも思いをはせた。

 静岡県の主婦(49)は、次男の高校で夏休み前に開かれた三者面談で、所見欄を大きく印刷したものを手渡された。教師はそれを読み上げたという。「手書きにこだわるわけではないが、『パソコンで書いた通りです』という態度に、先生の人間味をなかなか感じられなかった」

 「投稿を読んで、大変うらやましく思いました」と記したのは三重県の主婦(46)。「子どもたちが通う中学校も小学校も、先生の所見欄がありません」。個別懇談が年に1回あるが、学年末は通知表が渡されるだけで、学校の具体的な様子はわからず、寂しいと感じていた。「子育ては迷う部分も多いので、先生から良いところをほめていただいたら、親も励まされる。パソコンでもいい。コメントを書いてもらいたいです」

■〈教師〉ラブレター、手で・PCで行数増

 「確かに手書きのコメントは気持ちが伝わるかもしれない。ただ、時間を生み出すのが厳しい現状を理解してほしい」

 宮崎県の小学校教師(43)はそう訴える。クラスは38人。通知表の所見欄は、「総合的な学習」「外国語活動」「全体所見」と三つもある。勤務時間内では書ききれず、自宅に持ち帰って書いていた。それも、いつもより良い万年筆を使って、丁寧に。大変だった。

 3年前からパソコンが許され、学期末の睡眠時間が少し増えた。「パソコンでも、一人一人の顔を思い浮かべ、頑張っている事柄を、名前を盛り込みながら書いています」

 兵庫県の高校教師(50)は、学校では「所見は手書きで」と指示が出ているが、校長に直談判してパソコンを使っている。

 この学校の所見欄は小さい。手書きで書くと3行ほどでいっぱいになるが、パソコンなら最大で9行書けるという。「数行しか書けないと似たような文章になってしまう。ほんの数行の手書きと、思いを込めて盛りだくさんのパソコン。どちらがいいと思いますか?」

 「ずっと手書きでしたが、早くパソコン印刷にならないかなと願っていました」というのは、現在休職中の名古屋市の小学校教師(54)。毎晩、自宅に持ち帰り残業。首や肩が凝り、けんしょう炎になって包丁も持てなくなった。「大事な仕事だからこそ、重荷でした」

 一方、島根県の小学校教師(50)からは「子どもへの大切なラブレター。私は手書きで書きたい」。この教師は子どもたちから「先生への通知表」をもらったことがあるという。子どもたちの手書きの字には個性がにじみ、優しくて温かい思いを感じた。それから、厳しい内容を所見欄に書くことはやめた。

 「通知表は親や子どもへの一番の仕事。伝える側の気持ちではなく読む側がどう感じるかが大事だと思います。親が望むなら、手書きを続けるべきです」

■決まりなし 各校が判断

 そもそも通知表の「パソコン化率」は、どのくらいなのか。文部科学省には、全国データはない。そもそも、通知表に関しては法令上なんの定めもなく、学校独自で取り組むものだといい、様式も校長の判断に任せている。

 ただ、「指導要録」については、同省は昨年5月に「書面の作成は情報通信技術を活用して行うことは可能」と“パソコン容認”の通知を出した。「そんな通知を出すから、通知表も手書きでなくなった」という保護者からの苦情は同省にも寄せられるという。教育課程課の担当者は「通知表で省いた手間を授業の充実に振り向けている先生もいるかもしれない。先生の取り組みを総合的に見てほしい」と話す。

 ATOKなどで知られ、教師用のソフトも販売している「ジャストシステム」は、2008年10月に教師向けサイトで「通知表の所見欄、デジタル化していますか?」とアンケートをとった。結果は「デジタル化している」が7割。ウェブ上で行ったアンケートのためか、デジタル派の割合が高かった。

 また、「デジタル化していない」と答えたのはすべて小学校だったという。小さな子どもが読むだけに、ぬくもり重視なのだろうか。

 鳥取県教職員組合東部支部でも10年7月、87校にアンケートをとっている(回答75校)。パソコンを導入していたのは約3割の20校だった。

 アンケートでは、「約30人の印刷が5分でできて、大幅な時間短縮になった」という教師がいた一方、「文面のコピー、貼り付けが容易にできるため、保護者に不信感を抱かれないよう、文面の作成に十分配慮が求められる」と課題を挙げる教師もいた。

 ある小学校では、教師らの「パソコン化要望」を認めた校長が異動。昨春着任した新校長は、手書きにこだわる姿勢を見せた。教師たちは「子供たちに十分かかわれない」「満足な教材研究ができない」と訴え、7月にパソコン化が実現したという。(平岡妙子)

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