生産物は大人気。販売を通じた消費者との交流は、学生たちの励みにもなっている=愛知県岡崎市の県立農業大学校、同校提供
毎週水曜日、午後3時。愛知県立農業大学校(岡崎市)には長い行列ができる。付近の住民らが、時には100人以上も列を作るその先には、野菜、果物、花、米などが並ぶ。みな学生たちが育てた自慢の品だ。
生産者になる前に消費者を知っておこう。「実習販売」は、そんなねらいで始まった。参加メンバーは全学生だ。順番を決めて交代で店番に立つ。
客層、品定めの様子、天候と売れ行きの関係。学生たちは、目の前の消費者から何かをつかもうと必死だ。特に声は貴重な情報源。ごった返す販売会場で、懸命に耳をそばだてる。
「このイチゴ、味が濃いわね」「もう少し小さいのはないのかしら」「トマトは苦手だけど、ここのはおいしい」
鉢物緑花木専攻2年の磯村江里さん(19)と小幡真代さん(19)は、育てた花の色を褒められた。「きれいね」の一言がうれしくて、以来、花を手にしてくれるだろう人のことを、強く意識するようになった。
「どうすれば喜んでもらえるか。考えていたら、やるべきことがいっぱい見えてきた」
(長谷川潤)
〈メモ〉 実習販売は10年以上前に始まった。月1回の実施だったが、好評のため昨春から週1回に変更。野菜などの価格は市場価格と同程度だが、鮮度の良さなどで人気があり、遠方から車で買いに来る人も多い。