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紙上特別講義

コンピューターの未来:1(塚本教授)

2007年08月28日

 小さくなり、使い方が変化。

 仕組みや賢さに比べて著しく進化してきました。

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 この先、豆粒大、ゴマ粒大となり更に暮らしに入り込むでしょう。

 パソコンの世帯保有率は74%、携帯電話・PHSは86%(総務省・06年末)――。今や、コンピューターは私たちの日常生活に欠かせない存在です。近未来、どんな風に暮らしの中に存在しているのでしょう。次世代のコンピューターを使って生活している、神戸大大学院の塚本昌彦教授(42)と占ってみましょう。

 私が、頭に装着している装置。これはヘッドマウントディスプレー(HMD)=キーワード(1)=といいます。

 実は、01年から毎日、ほぼ一日中つけて生活しています。小型パソコンにつなぐと、その画面の映像が目の前にリアルに現れます。講義や学会中はもちろん、通勤電車でも着けて、録画したテレビのニュースやドラマを楽しんでいます。

 初めは居合わせた周囲の人に避けられていましたが、最近は雑誌や新聞記事でも紹介され、世の中に浸透してきました。間もなく、携帯電話のように誰もが持つんじゃないかと私は思っています。

 第2次世界大戦後、目覚ましい発展を遂げたコンピューターの歴史を振り返ってみましょう。

 60年代は大型の時代。コンピューターは、例えば一部屋全体を占める設備であり、多くの端末をつないで大勢で使うものだった。用途は、ロケット打ち上げなど国家、世界規模の軍事・科学技術です。

 70〜80年代には、パーソナルコンピューターが誕生し、机に置いて1人で占有するようになり、研究機関や企業にも広がります。

 90年代は、持ち運びできる、ノートパソコンの個人利用がどんどん進みました。

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 そして、この約10年で、インターネット、モバイル、マルチメディアが、すさまじく発展しました。

 特に携帯電話がもたらしたものは大きかった。誰もが当たり前のように持つようになったことで、待ち合わせの場所や時間を前もってきっちり決める必要がなくなりました。携帯のデジカメで、町で目にした何かをメモ代わりに撮って友達にメールしたり、チケットの予約や電車の時間調べをしたり。最近では「ワンセグ」でテレビを見られる機種もある。娯楽の用途もどんどん広がっています。

 コンピューターの進化は、まさに「小さくなって使い方が変わること」と言っても過言ではありません。ハードウエア構成、OS、ネットワークといった「仕組み」や、翻訳、人工知能などの「賢さ」に比べて、「大きさ」「使い方」の変化は著しいものです。

 利用する主体は国家から企業、個人へ。用途は国家戦略から個人のたわいもない娯楽へ、と変化しています。

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 こんな風にコンピューターの歴史を振り返ると、これから先の10年が見えてくるような気がします。

 HMDを使いこなす生活は、私の「近未来予想図」のひとつですが、もちろん、それだけにはとどまらないでしょう。

 携帯電話に代表される、今は握り拳大のコンピューターが、豆粒大、ゴマ粒大となって、私たちの暮らしにもっと深く入り込むのは確実と言えます。これをユビキタスコンピューティング=キーワード(2)=と言います。

 これからさらに小さくなるコンピューターは、使い方も今とがらりと変わる、そんな可能性があると私は予測しています。

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 塚本昌彦 つかもと・まさひこ 神戸大大学院工学研究科電気電子工学専攻教授。工学博士。専門はコンピューターシステムとインターフェース。HMDや、発光ダイオードを使って光らせる電飾服などを使い、新しいコンピューターの利用スタイルを研究している。

 ◇キーワード

 (1)ヘッドマウントディスプレー パソコンやビデオプレーヤーなどにつなぎ、その画面を眼前で見る装置。頭部や眼鏡に固定して使う。取り扱っている商社「美貴本」(大阪市西区)によると、現在、国内で数社、海外は米、独、韓国などで製造しているという。価格は数万円から。

 (2)ユビキタスコンピューティング 小型コンピューターを様々な物や場所に埋め、日常生活で使う利用法。ユビキタス(ubiquitous)はラテン語が語源の英語で「至る所にある」の意味。約20年前、米国のマーク・ワイザー博士(故人)が提唱。塚本教授によれば、ここ約5年、ICタグや携帯電話、センサーなどの浸透を背景に、小型コンピューター利用の方向性を示すキーワードとして広く使われるようになった。

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