現在位置:asahi.com>教育>大学>紙上特別講義> 記事 コンピューターの未来:3(塚本教授)2007年09月08日 技術開発に伴う危険に備え、どう社会制度を整えるか考えることが大切です。 * これまでの2回の講義で塚本教授は、コンピューターの大きさと使い方の変化は著しく、10年後は豆粒大、ゴマ粒大になって暮らしの中で新しい使われ方をするようになることや、研究中の「埋め込む」「着る」「飛ばす」利用法について語ってくれました。小さくなっていくコンピューターには無限の可能性があります。「宿題」への「答案」を、塚本教授の講評とともに紹介します。 【宿題】 10年後、コンピューターを使うあなたの暮らしは、どのように変わっているでしょう。絵に描いてください。 ○視覚障害者用の感知機能付きつえ 柴谷俊一郎さん(72)=大阪府羽曳野市 このつえは、センサーがあり、段差やデコボコ、障害物の情報を知らせてくれる。障害物については、高さや距離、動きの速さや方向などを探知する。データはワイヤレスイヤホンに発信され、音の高低や強弱、音声で知ることができる。5〜10年までには、これぐらいできていると思う。 ○梨の自動授粉用小型ヘリコプター 砂場真実さん(13)=中学2年、鳥取県米子市 鳥取の特産品は二十世紀梨。授粉は大変な手作業だが、10年後は、ハチのような小型ヘリコプターがやってくれていると思う。マリモのようなポンポンに花粉をつけて飛び、センサーでとらえた梨の花に授粉する。終わった花とまだの花も区別できる。これで高齢化の進む産地も頑張れる。 ◇講評 《柴谷さん》先日、電車に乗っていて、視覚障害者の方が空席に気付かず、しばらく立っておられた光景に出会ったことがあります。その時「白いつえ」に人を検知するセンサーが付いていれば、と思いました。実は、この分野の研究者はたくさんおられ、数年で実現、10年後には多くの人に行き渡っている可能性が十分あると思います。暮らしを便利で安全にしていくという、コンピューターの利用法の重要なポイントに注目した良いアイデアです。 《砂場さん》空を飛ぶコンピューターの用途として面白い例だと思います。私の知る限りでも、すでに全長2〜3メートルほどの無人ヘリによる農薬散布などが行われています。小さいコンピューターで制御ができるようになれば、おっしゃるような自動化が可能になるかもしれません。多くの小型ヘリでもっと重いものも運べるようになれば便利でしょうね。私もこの分野の研究者としてぜひ10年以内に実現したいと思います。 (神戸大大学院教授 塚本昌彦) ◆先生に質問! 《記者からの質問》 小型コンピューターの技術は、サイバーテロや管理社会化を助長するのではありませんか? 《塚本教授の答え》 IT技術が発展すれば、多くの情報が新しい形でコンピューター上に管理されることとなります。そのため、新手の犯罪が生まれ、管理社会が進む危険性は増えていくでしょう。これは、ある程度は避けられないと思います。 だからこそ、コンピューター社会に何を託し、どこまでを許すのか、目覚ましい技術開発の一歩先を行くぐらいの勢いで、社会制度や法制度を整えていくことが極めて重要です。 工学者やエンジニアは、技術開発に精進するだけでなく、付随して起こる様々な危険性を予測して、率先して行政や法曹界の人たちに提言していくことが必要です。そして、みんなで対策を考えることが大切なのです。 ■もっと知りたい人へ 【参考文献】ユビキタス・コンピュータ革命(坂村健、角川oneテーマ21)▽攻殻機動隊(士郎正宗、講談社)▽ウェアラブル・コンピュータとは何か(板生清、NHKブックス)▽変われる国・日本へ(坂村健、アスキー新書)▽次世代ウェブ(佐々木俊尚、光文社新書)【アニメ番組】電脳コイル(NHK教育テレビ)
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