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紙上特別講義

知って楽しむ温泉学:2(竹下教授)

2008年02月16日

 ブームで進む大深度掘削。

 入湯税を財源に、周辺への影響調査をしてはどうか。

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 危機感を抱く群馬県では、すでに掘削・くみ上げを制限しています。

 ●おさらい

 客に知らせずに入浴剤を入れたり、水道水を加熱したりしていた問題が各地で発覚後、温泉法が改正され、加水、加温、入浴剤の使用などについて掲示が義務づけられた。不十分な点もあるが進歩だ。副作用の少ない温泉療法を評価し、保険適用へと進んでほしい。

 温泉ブームと掘削技術の進歩が重なり、国内の源泉はぐっと増えています。環境省の温泉利用状況調査(www.env.go.jp/nature)によると、06年3月末で約2万8000。10年前より約3000、20年前より約7000、30年前より約1万増えています。

 利用している源泉では、自然にわき出る自噴の割合が減り、動力によるくみ上げが7割を超えています。湧出量(ゆうしゅつりょう)でみると、30年前は動力が自噴を1割上回るくらいでしたが、いまでは自噴3割、動力7割です。

 何が言えるか。自噴泉の枯渇が始まり、大深度掘削が進んだということです。掘削技術が進んで80年代以降、1000メートル以上の深層水を掘り当てることが増えました。100メートル深く掘れば、3度程度ずつ水温が上がります。温泉法では「25度以上」なら温泉ですから、深く掘る分だけ温泉を名乗れる可能性が高くなります。

 利用源泉数が全国で最も多いのは別府や由布院のある大分県で、4385(06年春)。国内の23%を占めます。その大分県も自噴は動力の3分の1ほどです。

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 大深度掘削は都市部というか、地下熱源に乏しい非火山地域の平野部でも盛んです。目立つのは大阪。06年春と5年前を比べると利用源泉は6割増です。06年の内訳は自噴7、動力114カ所と極端な開きです。

 大深度掘削が既存の源泉に与える影響が心配です。でも、十分な調査はされていません。それと、深層水は回復速度が遅い。掘削当初は湯量が豊富でも、短期間で枯渇の兆しが現れることもあるようです。

 そこで、入湯税=キーワード=を財源に大深度掘削の影響を調査することを提案します。目的税なのに使い道が広く、源泉保護に回る分が少ないのです。

 1948年に施行された温泉法は、源泉開発や大深度掘削の広がりは想定していません。既存の源泉の湧出量や温度に影響を与える場合などを除き、知事は掘削の申請について「許可をしなければならない」と定めています。これを受け、申請の許可を巡る訴訟の判決は、掘削と影響の因果関係にこだわることが多い。法に明確な環境思想がなく、枯渇を防ぐ姿勢が弱いのが問題です。

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 有名温泉街をもつ群馬県は、湧出量の落ち込み、とくに自噴泉の減少に危機感を抱き、05年に指導要綱で平野部での大深度掘削に歯止めをかけました。既存源泉から2キロ以内は掘削禁止とし、くみ上げも毎分150リットル以下に制限しました。

 このように、自治体が独自に基準を設けて指導せざるを得ないのが現状です。

 貴重な源泉を有効に使おうと、城崎(兵庫)や小野川(山形)など、40年ほど前から集中管理している温泉地もあります。城崎温泉では、地元の財産区が源泉を所有し、二つのタンクに湯をためて旅館に分配します。旅館は蛇口をひねり、必要分だけを使います。

 そうした温泉の旅館経営者や女将(おかみ)らと話すと、源泉を守ろうとする熱い思いが伝わってきます。それも、温泉の楽しみの一つです。

 ◆キーワード

 〈入湯税〉 地方税の一種。温泉施設が1人1日あたり150円程度を客から徴収し、市町村に納める。公表された05年度の使途のうち、鉱泉源保護管理施設に使ったのは4%(約9億円)。観光の振興は38%、環境衛生施設は26%だった。使い道を制限した目的税だが、一般会計に入れられ、使途が明確でないケースもあるとされる。

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