現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. 教育
  4. 大学
  5. 紙上特別講義
  6. 記事

実践「親学」:1(園田教授)

2008年7月12日

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 このエントリをYahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真あなたの子どものいいところは? 講演会で小学生の保護者らに質問する園田雅春(そのだまさはる)教授=6月15日、大阪市平野区

写真小学校教員の最後の年に教え子からもらった手作りアルバム。宝物だ

図

 情報や親の物差しより、わが子にこそルールあり。

 「自尊感情」育てましょう。

    *

 子どもの居心地のいい人に。

 プラスの言葉がビタミンになる。

 自分の子育てに自信をもてない親が多いようです。大阪府内の公立小学校で30年余り教壇に立った経験がある大阪教育大の園田雅春教授(60)は「子育て不安最盛期」といいます。親に自信やゆとりがあるかないかは、子どもの育ちにまともに跳ね返ります。今回は現場経験にもとづく「親学」を語っていただきます。

    *

 インターネットのヤフーで「子育て」と打って検索すると、なんと約1億3千万件ヒットします。

 子育て雑誌もこの数年で相次いで誕生しました。「プレジデントファミリー」と「日経キッズプラス」は05年、「アエラ・ウィズ・キッズ」は06年に第1号が出ました。

    *

 マニュアルや雑誌の盛況ぶりは、子育てへの自信のなさ=キーワード(1)=の裏返しでしょう。核家族化が進み、地域とのつながりが薄れたことで、おばあちゃんらの「子育て知恵袋」に頼りにくくなっている。同世代とのヨコのつながりは多少あっても、異年齢とのタテの情報交換は不足しがちです。

 親としての自分を振り返ってみてください。ゆとりや自信のなさから、親の物差しに当てはめてやたらに指図していませんか。子どもの持ち味を生かそうとしていますか。

 子どもは敏感です。萎縮(いしゅく)したり、親の前でだけいい子になったりします。砂場にスコップをたたきつける。給食をひっくり返す。家の外でのそんなキレぶりを告げられても、親は信じられません。

    *

 フランスの思想家ルソーは教育論「エミール」で、「人は子どもというものを知らない」と述べています。この言葉をかみしめる必要があります。子どもは小さな大人ではないということです。

 メディアの情報は参考になりますが、一番の情報源=(2)=にして縛られ過ぎるのはどうでしょうか。子どものペースを見守っておおらかに考えてほしい。わが子にこそルールあり。子どもの目線や発見を共に楽しんだらいい。

 子どもが望んでいることは、大きく言って二つあります。表現と承認です。自分の話を聞いてくれ、受けとめてくれる人がほしい。求めているのは居心地のいい居場所というより、居心地のいいひと「居人」です。親が子どもの「個居人(こいびと)」になれるかどうかが問われています。

 「ねえねえ」と寄ってきたとき、「忙しいの」「後で」とついかわしたくなります。一息のんで「そうやったん」「へえー」と共感のメッセージを送りましょう。そうすれば子どもは納得し、親の話も聞くようになります。

 野菜や果物を食べてビタミンを摂取するように、親の言葉で子どもの自尊感情は育つ。自分の存在そのものに対する揺るぎない自信を高める。ここが子育てのツボです。ぼくは周囲からのプラスの言葉を、自尊感情の頭文字をとって「ビタミンJ」と呼んでいます。

 自尊感情は、表現と承認が満たされているステージ(1)の環境で育ちやすい。どうすればこのステージに立つことができるか。次回にお話しします。

    ◇

 園田雅春(そのだ・まさはる) 大阪教育大教授。専門は教育方法学で「生徒指導論」「実践教育学特論」などを担当。大阪府高槻市の市立小で31年間教師をした。主な著書は「学校という劇場」「学校はドラマがいっぱい」。教師と学生らでつくる「授業文化を創る会」の代表も務める。

 ◇キーワード

 (1)子育ての自信喪失 「こども未来財団」が06年12月に実施したインターネット調査(母親2447人、父親824人回答)で、「自分の子育てがこれでよいのか自信がなくなる」の設問に、「よくある」または「ときどきある」と答えたのは、母親が69.4%、父親が52.6%だった。子育てをしながら孤立感を「よく」または「ときどき」感じる母親はほぼ半数だったのに対し、父親は約2割と差があった。

 (2)しつけ・教育の情報源 ベネッセ教育研究開発センターは昨年9月、首都圏の小中学生の母親約7千人に調査。参考にする情報源の1位は「近所の友人・知人」が最多で19.8%、「配偶者」17.5%、「自分の親」14.2%。新聞とテレビ・ラジオ、専門書を挙げた人の合計は約1割だった。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

[PR]注目情報

ここから広告です

広告終わり

ジャンル別の最新情報はこちら
  • 大学
  • 中学・高校
  • 専門学校