柳田文庫 成城大2008年03月14日 日本民俗学の祖・柳田国男から寄贈された蔵書など約3万6000冊からなる成城大の「柳田文庫」。なかでも「採集手帖(てちょう)」は貴重だ。全196冊。柳田から学んだ人たちが1934年から戦争を挟んで52年まで、全国の山村や漁村を訪ね、生活や文化を聞き取った「取材ノート」である。
布表紙で、文庫本よりひと回り大きい。最初に手がけた山村調査の手帖には質問100項目が刷り込まれ、項目ごとに調査結果を記している。 たとえば「新しく始まった職業」では「菓子屋、理髪屋」(宮城県筆甫〈ひっぽ〉村=現・丸森町)、恐ろしい体験についての質問には「火の玉は多く五月の頃に出る」(長崎県久賀島村=現・五島市)といった記述が見える。調査したのは専業の学者ではなく、教師や医師ら。戦時色が濃くなるとスパイと疑われ、聞き取りに苦労したそうだ。 成城大民俗学研究所による50年後の調査で、農耕儀礼の多くが消えていることが分かった。「民俗学は過去と現代の対話のようなもの。『手帖』があるから今の日本文化が見える」と松崎憲三所長は話す。 〈メモ〉柳田文庫は和漢書約1万5000冊、雑誌約1万9000冊などからなる。柳田自ら「印象鮮カナリ」などと朱書きした本も。柳田が少年期の飢饉(ききん)の体験を元に、備蓄倉を研究した自筆の論文「三倉沿革」などもある。 お宝発見 バックナンバー
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