現在位置:asahi.com>教育>大学>大学学長インタビュー> 記事 金城大学学長・本田昴氏2007年12月1日 北陸・金沢市南郊に位置する金城大学は、2007年4月に「医療健康学部」を新設、社会福祉学部に「こども専攻」を設置し大きな改革を遂げた。
しかし、現状に満足せず更なる改革を続けたいと言う学長・本田昴氏に語っていただいた。
◆みずからの歩みと金城大学 今日、広い意味での生命科学に関わっています。生命科学は、手法はさまざまですが、突き詰めれば、すべての人に「太陽」を当て、笑顔を取り戻すことを目指すものです。言い換えれば、健康を通じ、クオリティー・オブ・ライフ(QOL:人生の質)を高めることです。 これまで、大学改革や再編・統合問題に取り組みました。研究においても、また、大学の運営・管理においても、得られた教訓・知恵の一つは、限られた予算、限られた人員の中で「新しい何か」を生み出すには、学問領域の接点に光を当てたり、融合・連携を図り、相乗効果を発揮したりすることが必要です。 私のこれまでの経験を大学や地域、社会への恩返しのつもりで活用しているし、これからも活用していきたいと思っています。「憲政の神様」といわれた尾崎行雄氏は、「人生の本舞台は未来にあり」との名言を残しています。これまでの経験を役立たせることこそ私の使命です。経験に「無駄」はありません。 ◆大学全入時代を迎えて いよいよ「大学全入時代」の到来だといわれていますが、進学者が大学の総定員を下回れば、定員割れを起こす大学が出てきて当然です。厳しい時代になりつつあることは間違いありません。 しかし、本格的な大学間競争の時代の到来を、悲観ばかりする必要はまったくないと考えています。大学間、さらには学部間で知恵と工夫の競い合いが行われることは、学生にとっても、また大学全体にとってもいいことです。「疾風に勁草を知る」との例えがありますが、競争と切磋琢磨によって、各大学の個性や独自性は磨かれるし、本学においても同じことがいえましょう。 高等教育研究機関としての大学の使命はいろいろあるでしょうが、やはり根底は教育ではないでしょうか。学生の驥足を最大限に伸ばし、社会に羽ばたかせることこそ重要です。誤解を恐れずにいえば、学生を加工し、付加価値を最大化して社会に輩出すること。いい人材を輩出することこそ、この厳しい時代を勝ち抜く方法であるし、社会に対する責任でもあると思います。 ◆伝統と時勢の融合 金城学園が創設されたのは1904年であり、すでに103年の歴史を誇ります。これまで短期大学や4年制大学を設置しましたが、やはり「全人教育」「遊学の精神」といった開学の精神や伝統を守ってきたし、これからも守り続けていきます。伝統はわれわれの心の支えであり、拠り所です。迷ったときは、そこに立ち戻って考えられます。 その一方、絶えず時代の流れに目を見開き、対応していく必要もあります。流れに沿って、しかし流れに任せずと表現したことがありますが、別の言い方をすれば、「伝統と時勢の融合」。「遊学の精神」とは、今日の大学にとっては、連携と融合の必要性を意味するのかもしれない。 ◆7年目を迎えた社会福祉学部 社会福祉学部が誕生して7年。すでに4回生を社会に送り出しています。教職員の尽力のお蔭もあり、われわれの予想よりもはるかに立派に巣立ち、福祉の現場などで縦横無尽の活躍をしています。きわめて高い就職率は、その証左といえましょう。 われわれの理念の一つは、「知」「技」「心」の調和ある教育。それは、専門知識であり、技術力であり、人間性です。このいずれを欠いても、「福祉のエキスパート」「癒しの提供者」、あるいは「人生の補助輪」にはなれません。逆に、われわれの課程や実習を終え、卒業する学生たちは、これらの条件を見事に満たしている「健康のプロ」です。 無事に離陸を果たした社会福祉学部であるが、現状に甘んじることは許されません。イギリスのバークという人は「保守したくば改革せよ」との言葉を残していますが、絶えざる改革が必要です。こども専攻の設置や医療健康学部の創設も、改革の一面を持っています。これまでの社会福祉学部と融合・連携することで、多くの相乗効果が発揮されつつあることを感じています。 ◆こども専攻の設置 今年、社会福祉学部に、こども専攻を設置しました。本格的な少子社会の到来、幼児教育の重要性、生育環境の多様化、核家族化、共働き世代の増加などの「時勢」を踏まえると、需要は高く、家庭と地域との融合にも役立つと予想されます。 その上、短期大学部には幼児教育学科があり、基礎となるノウハウや人的資源、ネットワークを大いに活用しています。 ◆船出した医療健康学部 今年4月には医療健康学部を新設しました。「地域福祉に貢献できる人材の育成」「広義の医療」という点では、社会福祉学部と同じ趣旨ですが、理学療法・リハビリ(機能回復)や予防医学に重点を置いています。今年は多くの受験者がありました。この社会の期待に着実に応えていくことが、本学の責任であり、厳粛な使命と受け止めています。 社会福祉学部と医療健康学部は、本学にとってまさに「車の両輪」であり、二本立ての馬車として進んでいます。どちらもみずから一層充実しなければならないが、相互に連携・融合することにより、それぞれの学部にも、また本学全体にも、相乗効果がもたらされることに期待しています。 社会福祉学部であれば介護福祉士や社会福祉士、医療健康学部であれば理学療法士を輩出することが大きな目標ですが、その道に進まない学生にも、「美しき精神」「やさしい心」「思いやり」で地域や社会に貢献してもらいたいと願っています。それが金城学園の精神。チーム医療の一員になれば、なおさら重要になってきます。 ◆今後の課題と展望 競争の時代を乗り切るためには、教育にメリハリをもたせることが必要と考えます。それを一言で言うならば「特色ある教育」。本学は、伝統と時勢を融合させ、これを実践していると自負しています。 しかし、課題もあります。決して現状で満足することなく、たゆまぬ改革を続けていかなければならない。その切り札の一つが、教員間、専攻間、さらには学部間の一層の連携と融合です。すでに連携や融合による効果は現れてきていますが、さらなる可能性を模索していくつもりです。たとえば、介護などに芸術の要素を取り入れたヒーリング・アートなども一つの方法かもしれないですね。 最澄上人は「一隅を照らす」との言葉を残していますが、一人ひとりの学生、一つひとつの学部が光り輝くことによって金城大学全体が輝き、心身の不自由な人、不都合を感じる人に明かりをともすこともできるのではないでしょうか。みずから光を放つ恒星は、核融合を繰り返しているように、金城大学がさらに輝くための手がかりの一つが、教員間や学部間の一層の提携・融合にあると考えています。 この記事の関連情報学長インタビュー バックナンバー
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