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デジタルハリウッド大学学長 杉山知之氏

2007年12月28日

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写真デジタルハリウッド大学学長・杉山知之氏

 ◆「クール・ジャパン」を担う、次世代のデジタルクリエイター、プロデューサーを育成

 『ポケットモンスター』が代表的な存在だが、アニメやゲームソフトなどのポップカルチャーが輸出産業になっていることをご存じだろうか。国内では「オタク」呼ばわりされてきたマンガのキャラクターなども海外では「クール・ジャパン」、つまり「日本はカッコいい」と高く評価されているのだ。製造業の多くが中国に奪われており、少子高齢化など日本の将来に暗雲を感じている人も少なくないはずだが、ポップカルチャーが新たな産業として活況を呈しつつある。こうした機運に先んじて、デジタルクリエイターやプロデューサーなどを専門的に育成してきたのがデジタルハリウッドである。2004年に大学院を設立、続いて2005年には大学を設置しており、学生諸君の作品レベルも極めて高い。そこで、学長の杉山知之・工学博士に、デジタルハリウッド大学のカリキュラムの特徴と近況について聞いた。

 ◆デジタルコンテンツは超有望産業

 これまでは出版産業や放送産業などと業界別にくくられてきましたが、現在では、その中身や創造物を「コンテンツ産業」または「デジタルコンテンツ産業」と呼ぶようになっています。ゲームソフトや音楽、それにインターネットなどを含めたコンテンツ産業の規模は、(財)デジタルコンテンツ協会によれば約14兆円(2006年)、輸出も10%以上の伸びとされています。これらすべてがデジタルコンテンツというわけではありませんが、新聞記事がインターネットにも掲載され、本もケータイで読む時代です。テレビも2012年から地上波がデジタル化されます。

 また、パチンコの画面などが典型的ですが、実際にはデジタルコンテンツなのに、その金額が別の分野で計上されているケースはかなりあります。現状でもデジタルコンテンツはコンテンツ産業の2割近くを占めているとされていますが、実際の規模はもっと大きく、しかもコンテンツの多くが早急にデジタル化されていくことは間違いないはずです。

 ところが、ITやパソコンを駆使できるクリエイターやディレクター、そうしたデジタルコンテンツをビジネス化、産業化できるプロデューサーはあまりにも少ないのです。次世代の日本を担っていく中核産業といっても過言ではないのに、従来型の大学ではそうしたクリエイティブを養成するには限度があります。

 そこでデジタルハリウッドは、まず社会人の教育機関として発足。実績と評価を高めていく中で大学院を設立し、その翌年に大学を開学しました。普通の教育機関とはまったく逆ですが、私はむしろそのほうが良かったと思います。デジハリで学んだ先輩が社会の第一線で活躍しており、彼らのノウハウが大学に反映されるほか、就職の時点でも知名度を利用できます。実績ゼロの段階で大学を開学していたら、そのようなことは考えられないですからね。

 ◆クリエイターでも英語力を徹底に鍛える

 デジタルハリウッド大学は、具体的には映像、CG、Web、アニメ、グラフィック、ITプログラミングの6分野を総合的に学習する大学です。これに加えて、起業したい学生のための授業、国際的に活躍するために不可欠な英語教育を行っています。そのカリキュラムの特徴・個性は、3つに大別することができます。

 まず、デジタルコンテンツ制作について、総合的に実践的に使える技能が学べるということです。映画やアニメやゲームなど1つの分野・業種に特化した専門学校はあるのですが、敢えて「創作」としてトータルに学んだほうが将来の方向性が広がると思います。

 3〜4年次にはグラフィックやWeb制作、あるいはITビジネス(プロデューサー)など専門分野に力を入れていくようになりますが、1〜2年次の経験から、その意思決定も確実なものになります。加えて、小さな大学ですから、ある学生はアニメ、ある学生はCGなどを勉強するという敷居の低い環境の中で、様々な創造的刺激を受けることができるのです。

 マンガがアニメになり、ゲームソフトになり、実写映画にもなるように、クリエイティブなコンテンツに産業の壁などありません。プロデューサー志望の学生にとっても、こうした環境は社会に出てから役立つはずです。たとえばCGのキャラクターを生かしたゲームソフトづくりを大学時代の友人に依頼するなど、人的なネットワークにもつながりますからね。

 次に、デジタルハリウッド大学では英語教育に力を入れています。なぜクリエイターに英語が必要か。すでに紹介したように、デジタルコンテンツは日本だけでなく、世界がマーケットです。アメリカやイギリスで「クール・ジャパン」と言われているのですから、プロデューサーはもちろん、クリエイターも英語力が不可欠。でなければ、大きなマーケットを見逃してしまうことになります。打合せやビジネスにしていく段階で、やはり英語力は強力なスキルになります。実際に、この英語力を見いだされて、ハリウッド映画の助監督を務めた在校生がいますよ。映画の知識・技能に加えて、英語力もあるという人材は現時点ではなかなかいませんから。そんなチャンスがあちこちに転がっている産業でもあるのです。

 この英語教育は、1〜2年に集中しており、月曜から金曜日まで午前中の授業には必ず含まれています。ネイティブ・スピーカーの教員も多いほか、「アクティブ・ラーニング」としてディスカッションなど双方向で実践的な会話力を育成していることも特徴です。英語は読み・書き・話せなければスキルとはいえないのです。

 この英語教育をベースとして、3年次には海外の協定校に留学するシステムも完備しています。現在は世界で約20校と協定。1年間の留学でグローバルな視点と世界のコンテンツビジネスを学んで帰国しますが、取得単位は一部を除いてデジタルハリウッド大学の単位に互換できるので、多くの場合4年間で卒業することも可能です。海外留学では不可欠な英語検定TOEFLも、この試験を熟知したスペシャリストの教員が指導するので、スコアアップのために学外の英語スクールを利用する必要はありません。

 ちなみに、すでに80名が海外留学しています。

 こうした英語教育は受験生にも知られるようになっており、「実はアニメと英語を勉強したかったのです」と言われると、とても嬉しいですね。デジタルハリウッド大学以外に、そんな大学はないわけですから。

 ◆一般教養も面白い!

 テジタルクリエイターやプロデューサーを育成するといっても、デジタルハリウッドは大学であり専門学校ではないので、一般教養も充実しています。

 ただし、コンテンツづくりからあまりかけ離れたものではないことが、3番目の特徴となります。たとえば映画史やメディア史、現代カルチャー入門、ゲーム情報学などコンテンツ回りの科目から、映像経済学、マーケティング・ベーシックス、ベンチャー概論など経営的な科目まで網羅しています。大学の一般教養といえば「退屈」と答える学生が多いようですが、デジタルハリウッド大学の場合は、自分の将来やビジョンが見えてくればくるほど、興味深くて面白い勉強ができるようになるわけです。

 ◆4年次には卒業制作&卒業論文

 4年次になると、卒業制作として作品づくりに取り組んでいただきます。それ以前にも創作の機会は多く、卒業生と共同で作成したCGアニメーションで国内外のコンテストに入賞した作品は少なくありません。学長の私も感心するほどハイクオリティ・ハイレベルなものが登場してきます。「デジタルハリウッド・パートナーズ」と呼ぶ企業会員組織もあるので、外部からの委託による産学共同の創作チャンスも多く、インターンシップで「業界」の仕事をすることも可能。クリエイター、プロデューサーを養成する大学ですから、1年次からでも、好きなだけ作品に取り組めるということです。

 ただ、今の学生は長い文章が苦手なので、卒業制作に加えて、卒業論文にも力を入れたいと考えています。

 いずれにしても、制作には八王子キャンパスを制作スタジオとして利用できます。大きな小学校を改装したキャンパスですが、映画撮影のためになるべく残して置いて欲しいと学生から要望があったので、敢えて極端な手を加えていません。立派な体育館も併設されているので、屋内撮影にも便利。様々な制作活動に十分に打ち込めるよう、宿泊施設も整える予定です。

 ◆人並み外れたコンピュータ駆使能力を持つ

 こうした授業のほかに、学生の多くがサークルに所属しています。ドラマや映画、アートなど、やはりコンテンツ制作系のサークルが多いですね。好きなことを授業でもサークルでもできるのですから、みんな生き生きしていますよ。全学年(3学年まで)で659名規模ですから、学生のコミュニケーションも密度が高く、教員とも近い。私自身も教室で仕事していると声をかけられることが多く、そのまま授業のように話が発展していくこともありますよ。

 また、秋葉原にメインキャンパスがあるので、最先端のポップカルチャーとデジタル機器に気軽に触れられるというのもメリットでしょう。いくらインターネットが発達しても、街の空気を直接に肌で感じることはクリエイターには不可欠なのです。街に出て、新たな刺激を受けて、それを大学の授業や作品づくりに反映させていく。これほど恵まれた環境はないだろうと思います。

 制作活動中は学生がなかなか帰らないというのが悩みといえば悩み。午後10時なので教室を閉めようとすると、学生から不満の声が出ますから(笑)。若い時期には、一度は何かに集中したほうがいいので、これは喜ばしいことだと思っています。

 卒業後の進路について心配する保護者の方も多いと思いますが、デジタルハリウッド大学では、前述した企業会員組織や、第一線で活躍するクリエイターなど、専門スクール設立から14年間で築いた太いパイプがあります。インターンシップや就職指導も万全であり、不安はないはずです。

 重ねて言えば、卒業生は作品づくりを通して、人並み外れたコンピュータの駆使能力を身につけています。そして、実践的な英会話能力。この2つを備えていれば鬼に金棒ではないでしょうか。

 また、デジタルコンテンツの世界は、今でも人材不足であり、市場が広がれば広がるほど人材ニーズが高まるはずです。そして、就職先も日本だけではなく、世界が相手なのです。

 仮に1年生で描く絵がヘタでも、デジタルの世界はコンピュータが利用できますから、まったく関係ありません。クリエイティブに興味を持っているなら、ぜひ一度、デジタルハリウッド大学を見学してください。

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