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青山学院大学学長・伊藤定良氏

2008年4月1日

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写真青山学院大学学長 伊藤定良氏

 青山学院大学は2003年4月に相模原キャンパスを開学し、それと同時に、従来の教養教育を抜本的に見直し、新たに独自の全学共通教育システム「青山スタンダード」を発足させた。専門職大学院の整備などを経て、2008年4月から、2つの新学部と1つの新学科が誕生し、従来の学問の枠組みを超えた学びがスタートする。そして、こうした変革を軌道に乗せる役割を担って2007年12月に新学長に就任したのが、伊藤定良氏である。「動き始めた」青山学院大学の今とこれからについてインタビューした。

■社会的責任を進んで果たせる人間を育成

 昨年末、学長に就任し、これから21世紀の大学づくりを目指していきたいと考えています。「地の塩、世の光」をスクール・モットーとして、教育研究機関にふさわしい「知の共同体」を形成し、人と社会とに責任を果たす人間を育むことが本学にとっての使命だと考えます。

 現在、大学の多様化が話題となりますが、当然ながら大学が学生を成長させる場である本質は変わりません。学生は、新しい「知」を学び、それによって自分の道を切り開いていきます。ここで言う「知」は、専門的な知識の獲得だけでなく、人とのつながり、社会とのつながり、世界とのつながりなど、さまざまな関係のなかで身につける「ものの見方」、世界観や人間観などをも指します。新しい「知」を生み出すためには、小さな疑問を大切にすることが重要です。「どうして、こうなるのか」、時間を惜しまずに自分なりの答えを見つけることが一番の成長につながります。そのため本学では学生一人ひとりと密にかかわるゼミナールなどの少人数教育を重視した授業を行っています。学生それぞれの疑問に向き合い、教養教育を土台として、さらに専門性を高められるようにしています。また、充実した教育支援施設なども十分に使いこなし、自己の成長の糧にしてほしいと思います。

 2008年4月には、2学部1学科、総合文化政策学部と社会情報学部、そして経済学部に現代経済デザイン学科が誕生し、社会からの要請に応えるとともに、社会に対する責任を進んで果たせる人材を積極的に育成していきたいと考えています。

■青山の地の利を活用する総合文化政策学部と、文理融合の社会情報学部

 まず、総合文化政策学部ですが、一言で表現すれば芸術・文化をプロデュース、マネジメントできる人材育成を目指しています。21世紀という時代は文化の重要性がますます高まる時代だろうと思います。グローバリゼーションが加速するなか、国際交流は欠かせません。その軸となるのはやはり文化であり、お互いの文化を理解しながら、私たちは世界そして社会と歩んでいかねばならないでしょう。そして大学こそ文化を創造・発展・継承していく拠点であると思います。青山学院大学が立地する青山周辺は、博物館、美術館などのハードはもちろん、現代文化や芸術に携わる人材が集まっています。いわば教育素材に恵まれており、その中で受信・発信していくことで素晴らしい人材を育成できるはずです。青山学院大学の地の利をフルに生かせる学部といえるでしょう。

 もう一つの社会情報学部は、情報科学と人文・社会科学を融合した、やはり新しい人材育成を目指しています。科学技術の発達で、現代社会は高度に分業化される状況にあります。しかし一方で、ビジネスでは文系・理系の区別などありません。この社会情報学部では、情報科学と人文・社会科学を軸として、組織内コミュニケーション、システムの開発、国際社会(金融・環境)にアプローチしていきます。その結果として、文系・理系の専門知識をフルに活用できるタフな組織マネージャーなどの育成につながることを期待しています。こうした組織マネージャーやシステムアナリストなどのように、文理融合を体現した企業人こそ、今の社会から要請されているのではないでしょうか。この学部もまた、21世紀に期待されている人材の育成を目的としているのです。

 経済学部の現代経済デザイン学科は、市場経済という枠組みを超えて、「公共」と「地域・コミュニティ」という視点から新しい経済の窓を開くことをテーマとしています。現代社会における閉塞感、不平等感、失業、格差拡大、環境破壊などを生み出した「市場の失敗」と、それを改善することができない「政府の失敗」を理解し、新しい「公共性」の概念を取り入れた社会経済システムを設計(デザイン)できる人材を育て、あすの社会へ送り出すこと。「現代経済デザイン学科」開設の目的はそこにあります。 

■2009年度は文学部の改編等に着手

 青山学院大学にとって、新学部・新学科の設置は、従来の学問の枠組みを超える学びのスタートとなります。2003年の相模原キャンパス開学を契機として、青山は大きく動き始めたといっていいでしょう。

 この動きはまだまだ続きます。2009年度には文学部の改編に進む予定です。文学部は様々な人文系学問分野を網羅した学際的な性格を持っていますが、大きく言えば、伝統的な人文学的手法によって人間や人間の営みを研究する学問分野と、実践のフィールドを背景にして一人ひとりの人間を研究する学問分野の二つに分かれます。後者が教育系と心理系であり、両者を統合し、教育人間科学部として分離独立させることを考えています。家庭崩壊やいじめ・非行に見られる教育問題など様々な問題が生まれているなかで、こうした実践的な問題に対応できる人材を育成したいですね。

 また、経営学部にもう一つ、マーケティング学科の開設を予定しています。マーケティングに興味を持つ若い人が多いこともありますし、青山学院大学には優秀な専門の教員がいますので、斬新な教育プログラムを用意し、より実践的な授業を集中的に展開してほしいと期待しています。

■素晴らしい出会いで、学生が変わる!

 国際化も大学にとって大きなテーマの一つであり、青山学院大学でも2008年から国際交流基金と提携した国際交流共同研究センターを発足させています。これは実践的かつ学問的な側面から国際交流の理論と実際を研究するもので、日本にとっても重要な意味を持つセンターに成長するでしょう。

 ただし、今のところ大学としては海外に留学する学生が特段に多いということはありません。でも、興味深いことに卒業してから海外で活躍しているという人が目立ちます。「英語の青山」で培った語学力の成果かもしれません。

 大学は学びの場であると同時に出会いの場でもあります。学生は授業、ゼミ、サークル、イベントなど、毎日のキャンパスライフで、さまざまな出会いを経験するはずです。その中からこれまで気付かなかった「自己の発見」があり、知ることで自分の世界が広がり、さらにその先にある新しい「知」への欲求が生まれます。学び、考え、行動することでグローバルな視野を身につけてください。学生は何かを見つけ、自発的に取り組むようになると、素晴らしく変わっていくものです。

 そして、学生や教職員との交流も自分を変えるきっかけになるでしょう。その意味では、青山学院大学は学生も教職員も多士済々。これも自慢の一つでしょうね。

 このように、今の若者たちの成長に必要なきっかけと支援を、ますます多彩に提供できる大学にしていきたいですね。

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