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東京都市大学(現・武蔵工業大学)学長 中村英夫氏

2008年12月11日

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写真東京都市大学(現・武蔵工業大学)学長 中村英夫氏

 2009年4月、武蔵工業大学は新たに2学部を設置、総合大学へと発展し、名称を「東京都市大学」と改める。その改革に至る背景と内容、ビジョンついて学長の中村英夫氏にお聞きしました。

■2009年4月、武蔵工業大学は5学部16学科を擁する東京都市大学へ生まれ変わります。 

 武蔵工業大学は、2009(平成21)年4月に大学名を“東京都市大学”へと変更し、新たに『都市生活学部 都市生活学科※』と『人間科学部 児童学科※』という男女共学4年制の社会科学系及び文系の学部・学科を開設します。歴史と伝統ある工学部を初めとする既存の学部学科を基盤とし、新設の2学部を加え本学は、理工系、文理融合系、社会科学系、人文系の5学部16学科を備える総合大学へと発展します。(※2009年10月31日文部科学省設置認可)

 武蔵工業大学を取り巻く近年の環境と、この度の大きな改革の背景とこれからの課題をお話しします。

■大学間の熾烈な競争を好機と捉えて独自性と存在感を強く社会にアピール。

 今から79年前の1929(昭和4)年、武蔵高等工科学校としてスタートした本学は、戦後、新制の武蔵工業大学として歩みはじめ、数多くの優秀な卒業生を多方面に輩出してきました。第二次大戦で疲弊しきった日本経済を立て直し、世界有数の豊かな国家へと導いたのは、こうした先達の技術者、研究者の努力の賜物といえましょう。1997(平成9)年度には、環境分野と情報分野の研究と教育に焦点を当てて、当時としては革新的な環境情報学部を新設しました。2007(平成19)年度からは、工学部から独立した知識工学部を加えて、現在は工学系、文理融合系の3学部での構成となっています。近年は、少子化や国立大学の法人化、グローバリゼーションの進捗などにより、国内だけでなく、国際的な意味においても大学間競争が熾烈の度を増していますが、そのような中で、本学と系列の東横学園女子短期大学を統合する計画が、本学を運営する学校法人五島育英会の手で進められてまいりました。

 学長に就任以来“キラリと光る個性ある大学”を標榜し、教員の評価制度や、他大学との連携強化、キャンパスのリニューアルなど、数多くの改革を先導してきましたが、将来に向けてさらに飛躍するためには、日本だけでも約800、全世界では数千もの大学がある中で、本学でしか成し得ない、独自の特徴を持つことが大切であると考えています。そのためには、本学のすぐれた資質と、社会的ニーズをマッチさせることが急務であると考えます。“資質”とは、教育・研究面での長年にわたる実績、それを支えてきた人材、そして大学の立地する地域特性を指し、それらと社会、時代の求める方向性とを勘案したとき、私たちが取り組むべきは、エネルギー、環境、情報、都市、福祉に関わる分野の強化に他なりません。新たに誕生する社会科学系『都市生活学部 都市生活学科』と人文系『人間科学部 児童学科』の2学部は、これらの重点的なテーマをキーワードにしています。

■「都市大」グループの中核として 教育研究体制のさらなる充実を図る

 都市生活学部は、生活者の観点で都市全般を見つめ、持続可能な都市の姿を模索する斬新な学部であります。そこでは街づくりのプロデューサーや、都市文化のクリエイター、住環境のデザイナーなど、都市生活の高度化につながる先進的なビジネスを創造できる有為な人材を育てていきます。人間科学部では、これまで東横学園女子短期大学の保育学科で培った洗練された幼児教育カリキュラムを、4年制教育へとレベルアップして、すぐれた就学前教育者の育成を目指します。将来的には初等教育にも対応できる学部学科へ発展させたいとも考えています。都市生活学部都市生活学科と、人間科学部児童学科は、等々力キャンパスに開設され、これにより本学は世田谷、横浜、等々力の3キャンパスを備えることとなりますが、この3つのキャンパスの有機的な結びつきを強めていきます。すなわち教職員や学生が交流しやすい環境を作るため、まずはキャンパス間のシャトルバスの便数を増やすなど、物理的なバリアも無くしていくつもりです。併せて、カリキュラムなど制度的な課題にも着手して、学部間の連携を強化します。

 2学部開設によって、5学部16学科体制となる本学は大学名も思い切って変えることにいたしました。歴史と伝統のある武蔵工業大学の名称はなくなり、それに代わって東京世田谷と横浜という、教育面でも住環境としても恵まれた好立地をダイレクトに表現し、かつ国際的にも明確にイメージできる“東京都市大学(英語名TOKYO CITY UNIVERSITY)”に変更されます。同時に、学校法人五島育英会が設置する3つの高校、2つの中学校、小学校・幼稚園各1校すべてが東京都市大学の名称を冠した付属校となり、幼稚園から大学に至る東京都市大学グループが形成されます。

 本学はこのグループの中核として、高大連携や、一貫教育など、教育研究体制の充実のために重大な責任を担います。現在、本学の教職員、在学生そして卒業生が一丸となって協力しながら“東京都市大学”の推進に当たっております。こうして、本学が社会の中で大きな存在感を発揮し、さらに大きく発展していくことと信じております。

■都市文化、都市経営、都市居住など、新しい都市のライフスタイルを創造する、教育、研究を推進します―「都市生活学部 都市生活学科」

 都市づくりに関する学部学科は多くの大学にありますが、そのほとんどが建築や都市計画などハード面、技術面からのアプローチをしているものがほとんどと感じています。これに対し本学の『都市生活学部』は、その名が示すとおり、居住者、生活者の視点に立って、文化や芸術、経済、産業などソフト面から都市の持続的な成長を考える、独創的な社会科学系学部です。

 その教育の特徴は、少人数制の実践的な指導にあります。経営学、商学、社会学の基礎的スキルを習得しながら、コンピュータやデザインの力も同時に養成します。「都市文化」「都市経営」「都市居住」の3つの専門領域科目群で自らの目的意識を高めながら、都市の生活スタイルに関わる空間や商品、サービスを企画し、実現することのできる人材を育てていきます。

 文化・芸術イベントのプランナー、商品開発クリエイター、都市開発プロデューサー、不動産監理、住まいやインテリアのデザイナー、建築コンサルタントなど、幅広い分野で都市生活づくりに貢献できる人材の創出を目指します。

■幼稚園教諭1種や保育士を養成することはもちろん、資格の取得を超えて、総合的な人間力を備える人材育成が目標です―「人間科学部 児童学科」

 最近の脳科学の進歩により、人間の脳は5歳くらいをピークにその基盤が形成されると言われています。つまり、人が健全に発育し、成長していくためには、就学前教育が大変重要なのです。『人間科学部 児童学科』では、これまで東横学園女子短期大学保育学科が培ってきたカリキュラムを4年制にグレードアップして、就学前教育のプロフェッショナルを養成します。 

 その教育目標は、単に幼稚園教諭1種免許や保育士資格の取得にとどまりません。子どもの心を理解することはもちろん、保護者の気持ちに立って総合的かつ効果的な判断を行い、問題が生じた場合には適切な対処、解決のできる実践力を磨きます。また、人類の教育、文化、健康、福祉、環境について深く理解して、その向上に貢献できるしなやかな感性と知性を備えた人材育成を目指します。

 キャンパス内に設置されている子育て支援センター「ぴっぴ」をはじめ、食農体験や、海外研修、さらには新設されるスタジオシアターでの自己表現活動など様々な体験的な学習および演習・実習を重視し、未来を担う子どもたちのために、存分に力を発揮できるよう教育・研究体制を充実させます。

■歴史ある新しい「東京都市大学」に期待してください。

 最後に東京都市大学には都市生活学部、人間科学部が新設されるだけではありません。知識工学部に自然科学科を設置、応用情報工学科が経営システム工学科に名称を変更と、いくつかの改革がなされます。5つの学部がそれぞれバラバラに存在しているのではなく、80年に渡って積み上げてきた工学系「武蔵工業大学」の財産を活用し、学部同士が共鳴することによって、新たな力を生み出すことを目指しています。

 私たち「東京都市大学」の新たな船出にどうぞご期待ください。

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