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シューカツ2010

新卒になりたくて…希望留年 大学側も支援の制度

2010年3月31日

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 過去最低の内定率、内定切りなど、学生たちは厳しい就職活動を強いられている。そうした中、学生たちに、就職に有利な「新卒」の立場で就職活動ができるように「希望留年制度」を設けて支援する大学が出てきている。ただ、企業のいきすぎた「新卒主義」を苦々しく思う大学関係者も少なくない。

■学費減免・面接研修も

 今春卒業予定で就職希望の学生の内定率は80%(2月1日現在)。比較できるデータがある2000年以降で最も低い。

 しかし、80%の数字にもからくりがある。大学の卒業予定者は56万人。就職希望者は40万5千人で、この人数にあてはめると内定者は32万4千人になる。しかし、全体からすると差し引き24万人の中には大学院などに進む学生がいる一方で、「希望の会社に入れず、留年を決めた学生も多い」のも実情だ。

    ◇

 早稲田大4年の男子学生は、希望する金融関係に行けず、留年を決めた。「大手の企業が終わって内々定が取れなかったら、単位がそろっていても、その時点で留年を決める学生はたくさんいる。卒業したら、明らかに不利になる」と話した。

 厳しい新卒者採用の状況を受けて、大学側も次々と卒業延期の制度を導入している。ただ、今年の特徴は「内定取り消し」だけでなく、就職が決まらなかった学生にも授業料を減額するなどの特別措置で留年を認める大学が広がっていることだ。

 湘南工科大(神奈川県藤沢市)は今月、内定取り消しでなくても就職活動を続ける学生のために「就職支援特別在籍制度」を設けた。在学には年間22万円が必要だが、教員から小論文や面接の支援が受けられる。募集したところ60人以上が申し込んだが、その後に内定した学生がおり、新年度から50人以上が利用する見込みだという。これまで同大の就職希望者の内定率は、ほぼ100%だったが、今年度は87%程度になりそうだという。就職課は「緊急措置だが、学生には前向きに将来を切り開いてほしい」と話す。

 下関市立大は昨年、就職活動を続けたい学生向けの卒業延期制度を始めた。申請して認められれば学費約54万円が半額になる。昨年度の就職希望者の内定率が97%で、あくまで臨時救済措置だったが、今年度は89%とさらに厳しい状況になり、継続することになった。新年度は約30人が利用する見込みで、2日間の面接研修などの支援が受けられるという。

 昨年度卒予定者のみの特例措置として、1度限りで打ち切った大学もある。

 1年間10万円の授業料で在籍させる特例で今年度28人が留年した法政大は、今春卒業生でも内定辞退を迫られた学生が数人いた。だが、いずれも時期が早く再チャレンジが十分できたため、1回だけの措置とした。

■就職理由の在籍に「不公平」の声

 ただ、「卒業に必要な単位は満たしているのに、留年する」という手法には大学内にも戸惑いがある。

 日本の雇用システムは、明白な「新卒主義」だ。特に大企業は新卒を優先して採用する。あえて単位を落としたり卒業論文などを提出しなかったりして就職留年する学生は以前からいたが、一昨年の金融危機以降、多くの大学が学生支援のために導入した。

 ある地方大学で就職支援を担当する職員は「本来卒業できるならすべきだが、新卒にこだわる企業は多い。『新卒に限る』としている大企業まであるのが現状だ」。別の大学の担当者も「既卒をほとんど取らない企業が多く、こういう対応をせざるを得ない」と話す。

 明治大も1割の授業料で在籍させる措置を設けて15人が留年したが、今春卒業者で内定切りの報告はなかった。杉林宏茂・就職キャリア支援事務長は「就職が決まらないという理由だけで特別な在籍を認めるのは不公平だ。こうした措置が広がり過ぎると、逆に企業側が内定切りしやすくなる面もある」と指摘している。(見市紀世子、石川智也)

■強まる長期化傾向

 4月。大学生の就職活動、そして企業の採用活動がヤマ場を迎える。試験、面接を経て、徐々に内々定がでていく。

 大学生の就職活動は、かつてと大きく変わった。4年生の秋から企業を回ったのは、もう20年以上前の話だ。

 今は、3年生の夏ごろから、動き出す。大学やイベント会場などで就職に向けたセミナーが開かれ、採用活動を始めるところもある。夏休みには、就業体験をしてもらうインターンシップを実施する企業も多く、採用に結びつくケースもある。

 冬には、会社説明会が本格化し、企業に提出するエントリーシートの締め切りが集中するのは2、3月だ。エントリーシートは、履歴書と違い、企業ごとに志望動機や希望業務など、独自の質問項目があるのが特徴で、多くがネットで受け付ける。

 選考のヤマ場の4月が過ぎ、5月の連休明けが、内々定のピークとされている。しかし、金融危機以降、時期が遅くなる傾向にある。リクルートの調査では、2009年3月卒業生の前年5月初めの内定率は65.9%だったのに、10年3月卒業生は36.9%にとどまった。7月初めでも58.8%で長期戦を強いられる学生が増えている。新年度の就職活動も同様の傾向となりそうだ。

 正式内定となるのは10月だ。日本経団連がまとめた採用についての「倫理憲章」で定めているためで、1千社近くが憲章に賛同している。(星賀亨弘)

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