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全入時代

「名所」で学生奪え 大学のユニーク建物(上)

2007年08月28日

 施設のデザインに凝る大学が増えている。宇宙を思わせる図書館、文化遺産を生かしたレトロ調の教室、自然の息吹を感じさせるアート空間……。少子化に伴って学生争奪戦が激しくなっているだけに、「名所」づくりに腐心する大学が後を絶たない。各地で話題のユニークな建築物を上、下の2回にわたって紹介する。

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宇宙空間を思わせる成蹊大の情報図書館=武蔵野市吉祥寺北町で、安藤由華撮影

◆照明・空調自在 成蹊大 図書館

 成蹊大(東京都武蔵野市)で昨秋にオープンした情報図書館。中央がガラス張りの吹き抜けで、明るく開放的な空間が目に飛び込んでくる。その吹き抜け部分に、ポッカリと浮かぶようにグループ閲覧室が五つ置かれている。「プラネット(惑星)」と呼ばれ、学生たちの勉強会やゼミに使われている。

 系列の成蹊高校の卒業生で、国内外に知られる建築家、坂茂(ばん・しげる)氏らが設計した。各階の窓沿いにはガラス張りの個室閲覧室が計266室ある。インターネットで外界につながるのを除くと私的な空間となり、照明も空調もお好み次第。図書館全体が、交流エリアから静かな学習エリアへと次第につながる構造だ。

 開架書架で約50万冊の本を自由に閲覧でき、学生の保護者や卒業生、近くの住民も登録すれば本を利用できる。

◆「生きた教材」 武庫川女子大 校舎

 武庫川女子大(兵庫県西宮市)は昨春、女子大で初の建築学科を設けた。その学生が学ぶ上甲子園キャンパスの校舎は、旧甲子園ホテルだ。

 昭和初期にできたこの名門ホテルは、20世紀建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライトのまな弟子、遠藤新(51年没)が手がけた。「東の帝国ホテル、西の甲子園ホテル」と並び称され、政財界人や軍人の社交場としてにぎわった後、同女子大の創設者が戦後に買い取った。

 畳1畳ほどもある製図机とコンピューターが並ぶスタジオは、かつて食堂だった。シャンデリアや天井の形に「ライト調」が見て取れる。「洋式に和の要素を巧みに融合させた建物は壁、かわら、彫刻に至るまで丸ごと芸術品。生きた教材です」と、榊原潤教授。

 上甲子園キャンパスの見学には予約が必要(0798・67・0079)。

◆石から外国語 九州大 アート

 ごつごつとして生命力を感じさせる五木石(いつきいし)が、両側に十数個ずつ並ぶ。その間を20メートルほどの石畳が貫き、校舎前の大通りへつながる。

 九州大が05年秋、福岡市の元岡地区に誕生させた伊都キャンパスの一角。目標とする「自然豊かな知の創造空間」を象徴するアート(芸術品)だ。東京芸術大の田甫(たほ)律子教授がデザインした。

 キャンパスの西にある可也山(かやさん)と、東にある毘沙門山(びしゃもんやま)を結ぶ線上にピッタリ重なるようにしつらえてあり、「東西を結ぶ自然と文化の軸」という意味を込めた。

 キャンパスを訪れた留学生の声を録音・編集し、背の高い石の間にスピーカーを仕掛けて流している。「語る石」を通じて、「国際連携軸」との意味も持たせたという。

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