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〈学長力〉「世界のワセダ」へ導く 早稲田大学 白井克彦総長

2008年4月29日

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写真今春の卒業生たちに囲まれる早大の白井克彦総長=東京都新宿区、蛭田真平撮影

 私学の雄・早稲田大は昨秋、創立125周年を迎えた。節目をまたいで重責を担う白井克彦総長は、いまを「第2の建学」と位置づける。留学生を含め、世界で活躍する人材を育てようと、学部教育の改革や国際競争力ある研究拠点づくりを進めている。

◆教養教育に力 自主性高まる

 ――これからの早大をどんな方向に導きますか。

 「世界に貢献して働かなきゃならないという意識や実力を持つ学生が、海外からの学生も含め相当数出てくれる。そういうことをしないとミッションを果たすことにならないだろう」

 「世界のトップ大学で行われている学部教育のレベルにそろえないと具合が悪い。世界の標準的なカリキュラムと同じか、それ以上にならなければ、世界の早稲田にはならない。なかなか厳しいですよ」

 ――1、2年生対象のゼミ「テーマカレッジ」など教養教育に力を入れるねらいは。

 「大学での勉強はこんな雰囲気だ、これくらいのレベルで考えることが要求される、そういうことを体得させるのがテーマカレッジ。知的な勉強を楽しいと思ってもらいたいが、実際、強い動機付けになり、おもしろがって勉強するようになっている。選択科目だから嫌なら来ないが、一つのゼミ20人中16、17人は単位を取る。学生同士、別の時間に自主的に集まってサブゼミを開いたり、そこのゼミの卒業生が参加したり。そういうことも起きている」

 「教員も、学部で決められたカリキュラムに基づいてやっているわけじゃない。学生の反応や教えるおもしろさがあり、同志が集まって自分の専門に近いものを自由に設定している。教員の間に新しいグループができる点も大きい。一方、労も多いから大変だ」

 ――教養教育では、少人数で英会話を学ぶ「チュートリアルイングリッシュ」も早大の放任のイメージとは違います。

 「英語はやはり、外に出て戦えるだけの力がないといけない。自信を持ってできるだけの力は必要だよ。教養だけど、ある意味で実務能力。使えなきゃしょうがない。選択の自由はあるけれど、選択して入ってきたらその人に応じたことをやっている意味ではきめ細かい。早稲田らしい放任ではないよね。でも訓練科目って自分のレベルに合った訓練をしないと効果が上がらない。できるだけ早く実力を付けてやったほうが、本人のためにもなる」

◆増える留学生 環境整備急ぐ

 ――国際教養学部が初めての卒業生を出しました。

 「国際教養学部は完全に世界の目にさらされている。その中で世界水準に相当近い授業が展開されるようになった。3分の1いる留学生は世界の大学を知っているから、授業レベルが低かったらはっきり言われちゃうんだ。教員も頑張ってそれなりの水準を実現できた。その意味でまず良かったね」

 「入ってくる留学生のレベルも毎年上がり、希望者も年々増えている。優秀な人を採ることはやさしくなってきた。特に中国、韓国、台湾では知名度は猛烈に高まっている。昨年ソウルで説明会をしたら何百人も集まったほどです」

 ――留学生8千人の受け入れはいつ達成できそうですか。

 「数だけならそんなに難しくないが、質を問うている。5年くらいで達成すべきだと思います。本当はそれじゃあ遅いが、インフラ、学生寮の問題もある。来てもらってもまだ十分ではないので迷惑をかける」

 「4千人は学部で受け入れる計画だが、これは結構大変だ。大学院なら日本で学ぶのに意味があるという人が来るが、学部はさすがに、日本が圧倒的に良い教育をやっているという具合にいかない。唯一、国際教養学部は認知されてきた。あと人気が出るとすれば理工系だが、英語の授業が完備していないので急いで整備しつつある。1、2年で英語で授業をしながら日本語教育をやるから、3、4年までに日本語の授業についてこられるようになる」

◆医学部置かず 効率よく改革

 ――東京女子医大との「医工連携」に関連し、医学部を設ける考えはやはりありませんか。

 「医学部を持っていないほうがメリットなの。世の中にはいろんな特徴を持った医学グループがある。女子医大には女子医大の得意分野がある。ほかの大学とある部分で組みたいというとき、自分のところに医学部があると組みにくいじゃないですか。持っていなければ簡単だよね。自由に教育、研究プログラムができる。効率的な仕組みをつくっておいたほうがいい」

 ――ただ共立薬科大と合併した慶大と比べると、改革といっても地味に見えます。

 「慶応のブランドのつくり方は、共立薬科さんが望んだことかは分からないが、同一法人に取り込んで一個のものをつくっている。ブランドのつくり方がきっちりしているんだ。それに対して早稲田はオープンだ。付属校のほかに系属校もあるし、いろんな大学とも組む。コンソーシアムもつくっているし」

 「地味というか、本音のところではお金がないから。研究では、今いちばんにやるべきことについてコスト面で効率的でないといけない。これは当然だと思う。でもそれは学部教育では必ずしもねらっていない。学部教育はいろんなプログラムを用意して重厚にやっている」

 ――残る任期は2年余り。何を課題としますか。

 「世界の水準からみて、明らかに抜きんでているものが明確にならないと世界から人は集まらない。国際教養学部や大学院のアジア太平洋研究科など外からよく見える部分が出てきたので、それをもっと大学全体に広げ、それぞれの分野で誇れる特徴を明確に出していきたい」(片山健志)

    ◇

【近年の主な改革】

01年4月 1、2年生が学部を超えて選択できる演習「テーマカレッジ」開始

03年4月 スポーツ科学部設置

04年4月 国際教養学部設置

07年4月 第一、第二文学部を文化構想学部と文学部に、理工学部を基幹理工、創造理工、先進理工の3学部に改組再編

08年3月 東京女子医大との連携の拠点「先端生命医科学研究教育施設」がオープン

    ◇

〈プロフィール〉中国・大連生まれ。人が使いやすい機械・道具のあり方を研究するヒューマンインターフェースや音声言語処理が専門。早大院修了後、75年に早大理工学部教授。02年11月、第15代総長に就任。68歳。

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