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Don't Hold Back―想いを英語に託せば 井上多恵子
【第10回】

A life free of setbacks.

※文中の英文をクリックすると、対訳をご覧いただけます。


(C)Digital Photo Gallery Photo_D
 
めざそう!自己アピール美人
【第10回目】 Motivation(やる気)

スキルや能力があっても、motivated to do the work(仕事に対してやる気がある状態)でなければ、満足がいくjob performance(仕事上での実績)は出せない。だから、企業は求人広告にSeeking highly motivated individuals.(やる気のある人を求めている)や、You should be highly motivated.(やる気が必要)と書いたりして、やる気のある人を求める。Highly motivatedであることを示す回答の一例として、I establish goals for myself and do my best to achieve them as quickly as possible.(私は自分自身のゴールを設定し、それらをできる限り早く達成するために全力を尽くす)といったような表現を使っているカバーレターもある。とは言え、motivation(やる気)を常に高い状態に保つのは難しい。When one can’t get motivated.(やる気がでない)時にはどうやって、find the motivation one needs to keep going(継続して進み続けるためのやる気を見出せば)いいのだろう? Motivational phrases(やる気にさせる言葉)を読むのも一つの手だ。Motivational tape(やる気にさせるテープ)を聞く人もいるだろう。部下を持つようになると、自分自身がmotivational speaker(話すことでやる気を起こさせる人)になり、the ability to motivate an employee to action(従業員に動機を与え行動をとらせる能力)を持つことが求められる。Money is not necessarily the prime motivator.(お金は、必ずしも最も重要なやる気のもとではない)ので、find out what motivates him/her(何が彼や彼女にやる気を出させるのかを見つけること)は大事だ。Strengthen the motivation in the workplace(職場におけるやる気を高める)ことは、永遠の課題と言えよう。

<レジュメプロ>
 外資系企業への転職や留学に必要な英文履歴書(レジュメ)、英文推薦状などの作成代行サービスを1998年から行っている。
http://www31.ocn.ne.jp/~resume/
 Don’t hold back.このエッセイも今回で、10回目を迎える。よくここまでたどりついたなあ。 決して楽な道のりのではなかった。最優先しなければならない本業と、2冊目の本の原稿書きと校正、父親が代表をつとめるレジュメプロのサポート、そして、Asahi.com用に文章を定期的に書くというコミットメント(確約)。今年はゆっくりと花見をする時間もなかった。飲み会を断らざるを得ないときもあった。連休中もその大半を校正や原稿書きで費やした。But what I have learned and experienced is definitely much bigger than what I have sacrificed.

 やりたいことを公言し、チャンスがあればチャレンジしてみる。By setting out to do something and seeing it through to the end, one can change oneself or the environment one is in.

 そのことを実感し続けた半年だった。出版した本に目をとめ、反応してくれたのが、Asahi.comオフタイムの編集者。エッセイなど書いた経験のなかった私に原稿執筆を依頼するのは不安だっただろう。編集者の立場からすれば、リスクでもあったはず。でも、私の熱意に彼はかけてくれた。

 イギリス風パブで生ビールを飲みながらの初回打ち合わせが行われたのは昨年11月。社会人になってからのことをいろいろ話した。挫折を感じていた時代と、ようやく自信が持てるようになった現在。彼は言った。“I had thought that you had led a life free of setbacks. I am sure there are people who will empathize with you if you write about your feelings honestly.

 手探りでDon’t hold back を作り上げる共同作業がはじまった。練りにねった私の自信作の原稿を見てもらう。「とても論理的なしっかりした文章ですね」。ふむふむ。そうでしょう。「ところで、お願いです。井上さんの主義主張ではなく、想いを書いてください」

 What? Do you mean to say that it has been rejected?

 心情を文章で吐露することは、飲みながら話すのとはわけが違う。論理的な無駄の無い文章を会社で日々書こうと努力している私が書いた文章では、編集部が求めていた「揺れる気持ち」はすっかり包み隠され、片鱗すら見えなかったらしい。一般人の私が主義主張をいきなり唱えても、誰も聞いてくれないのは当然といえば当然。

 「想いを伝える文章なんて書けっこない!」。でも、コミットをしてしまっている。「私には無理ですね。じゃあ、バイバイ」というわけにもいかない。続けて書いた「フランスでのアピール力習得の実態」を伝えるのに最適だと思ったエピソードはクリスマスがらみの話だったのだが、季節はずれとの理由によりあっさり却下された。「今」を伝えるメディアだから季節感は大事。Something so obvious had completely slipped my mind. 書き直す日々。ボツになった原稿の数々。

 内容だけでなく、文章の書き方自体にも、編集部と私の間でずれがあった。「OLが書く文章はこんなイメージ」という固定観念にも似たようなのが、編集部にはあったのだと思う。でも、そんな文章を私は書くことができなかった。夜中に電話で1時間半近くお互いの考えをぶつけあったこともある。Asahi.com編集者としての彼の立場と執筆者としての私の考え。「これじゃ5回目で打ち切りですね」。そんな最後通告のような会話すらあった。でも最終的には、「打ち切り」ではなく、「継続」に向けて前に進むことができた。It was because we were able to understand each other’s thoughts and position by speaking frankly to each other.

 Don’t hold back.このフレーズを、自省の意味をこめて、二人の間で使っている。編集者の気分は損ねたくない。しかし、言いたいことがあったら、対立覚悟でプロ意識をもって言う。全ては、納得がいくものをつくりあげるため。目指すところをお互いわかっていれば、多少の荒波も越えていけるはず。会社でも基本は同じ。妥協すれば、仲良く職場の皆と仕事ができるのかもしれない。There are times when I must speak out if I want to do a good job, even if it means facing an uncomfortable situation even momentarily.上司として、同僚として、そして部下として。

 家族や親戚や知り合いは、連載を好意的に受け止めてくれた。「面白いね。これからも読むね」「他の人にも紹介するよ」。そんな声をたくさんもらった。しかし、不安は残る。私のことを全く知らない人も、読んでくれるのだろうか? 1回目のエッセイに対する反応は上々だった。でも、2回目以降もコンスタントに数がいってはじめて、「読者の方々に受けいれられている」そう言うことができる。そして、真価が問われる2回目。「しっかり読まれてますよ」と編集部。良かった!期待に応えることができた――I felt a great weight had been lifted.

 感想文を募集した時もドキドキもの。「読まれている=内容に満足している」わけではない。もちろん、プレゼントへの応募だから批判的に書く人はいないとは思っていたけれど、感想文の内容は、私の想像をはるかに越える嬉しいものだった。ちゃんと読んでくれている人達がいるんだ。

 感想文の内容を見て、編集部も私が書く文章を全面的に支持してくれるようになった。If I want to persuade someone, it doesn’t help to just talk about it. やはり、実績にまさるものはない。

 次回は、感想文を読んで私自身が皆さんから元気をもらったことも含め、エッセイを書くという行為を通じて広がった世界について書いてみたい。

(06/15)



■全写真をフォトギャラリーで

全22回のエッセイを飾った池田肇さんの写真を、一堂に集めました。それぞれ大きな画像でご覧になれます。≫フォトギャラリーへ



Don't Hold Back―想いを英語に託せば
*お寄せいただいた数多くの感想から一部を掲載します

◆山形県・aoiさん(40代)
 これまで、帰国子女というと「日本で無駄でつまらない英語の授業を受けずに、自然に覚える事ができる環境にいられた特別ラッキーな人達」というイメージがありました。ところが、井上多恵子さんの「Don't hold back――想いを英語に託せば」を読んで、「親の都合で逃れられない運命を背負った人達」という印象に変わりました。言語だけでなく、複数の国の文化・環境の中で生きるだけでもプレッシャーでしょう。しかし、それと同時に、素晴らしい体験をしている事でもあります。知らず知らずのうちに、逆境に負けない・環境に順応できるという訓練をしている事になります。また、宗教や習慣等、1つであれば普通は疑問も持たず受け入れるものに対する見方・考え方も多角的で違ってくるのではないでしょうか。とはいえ、今更望んでも帰国子女にはなれません。でも、【第4回】のIf I'm down,…を読んで、今からでもできる事に気がつきました。私は以前、大阪の大手企業でパワー全開で働いてましたが、今は田舎のある工場に勤務しております。地域性によるのですが、仕事の仕方・社員に対する考え方・男女の在り方まで、かなり違います。「出る杭は打たれる」で、活き活きと仕事ができないのです。心の中では、「このままではいけない」と思いつつ、何も行動できなくております。それどころか、他の怠惰な社員を見ては、「あの程度でも大丈夫なんだ」という気持ちが起きてモラルはかなり低下してます。”向上心”という言葉にハッとさせられました。今すぐに画期的には変わらないけれど、社会も法律も少しずつ変わっている。どこかの誰かが「このままではいけない」と打たれながらも努力し続けたおかげなのでしょう。私も諦めてはいけない!(05/23)

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井上多恵子(いのうえ・たえこ)
 幼少期と中学生時代などをニューヨークで過ごす。東京学芸大学付属高校大泉校舎、一橋大学社会学部を卒業後、ソニー株式会社に入社。オーストラリア勤務などを経て、現在は本社のプロジェクトマネジメントに従事。
 オフタイムには、TOEIC980点、通訳案内業の資格などを生かし、英文履歴書コンサルタント"レジュメプロ"のパートナーとして、外資系企業・国際機関への就職や留学を志望する人向けに英文履歴書などの作成代行、指導にあたっている。
 共著に「英文自己PRと推薦状―磨こう!自己アピール力」(税務経理協会)。


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