【第13回】
Challenge
※文中の英文をクリックすると、対訳をご覧いただけます。
「サントリーは夢に向かって挑戦をつづけます」。不可能と言われた青いバラの開発に成功したサントリーが、自らの快挙を記した一文だ。さまざまな挑戦者を番組で紹介して共感を呼んでいるのが、NHKの「プロジェクトX」。私も一時期欠かさず見ていた。I always ended up crying, after thinking of all the hardship people must have endured, and also the overwhelming joy they must have felt when the project was finally accomplished.アテネ五輪にも15歳から41歳まで多くの日本人が出場し、努力を積み重ねてきた自分を信じて戦った。
ヴァージン・グループ会長のSir Richard Bransonも、私の好きな挑戦者だ。音楽、旅行、映画、等々さまざまな分野でビジネスを展開する経営者でありながら、熱気球などで世界記録に挑んでいる。ヴァージン・グループのホームページ、Virgin.comに、彼の言葉が掲載されている。“I've always liked a challenge.”“If Virgin stands for anything, it should be for not being afraid to try out new ideas in new areas.”
私の身近なところにも、チャレンジ精神を持った人達がいる。かつての仕事仲間は、ご主人と共に20代後半で会社を辞め、ハワイのマウイ島に移住した。現在、ウインドサーフィンショップと旅行代理店を夫婦で経営している。
収入面だけ見ると、会社員時代の方が良かったかもしれない。世界情勢の悪化により、日本からの観光客が激減した時期も記憶に新しい。慣れない土地で苦労もあっただろう。It might have been better for us to have stayed in Japan. でも、毎年クリスマスに送られてくる家族の写真−いかにも健康そうな夫婦と子供二人が写っている−を見るたびに私は確信する。Challenge will no doubt make life more interesting!
彼らはウインドサーフィンが大好きだ。How I wish I could make a living out of what I like to do!多くの人がそう望みながらも、「食べていけない」と諦(あきら)めてしまう。しかし、彼らは諦めなかった。マウイはウインドサーフィンのメッカ。The lovely cool breeze and blue ocean of Maui must be worth making the challenge.
今私が取り組んでいるchallengeは、「会社の肩書きなしでも通用する人」になることだ。ヘッドハンティングの会社で役員をしている友人に言われたことがある。「大会社に長年勤めてきた人の中には、その会社の看板を外したら仕事ができなくなる人がいるのよね」
「ソニーの井上です」と名乗ると、はじめて連絡した相手でも話は聞いてもらえる。会社が築き上げてきた信頼と知名度があるからだ。「レジュメプロの井上」として連絡を取る際は、まったく勝手が違う。ビジネス内容、実績、会議の趣旨を相手に説明して、ようやく会ってもらえる。
会社で接する人々は、あくまで「ソニーの管理職」としての私を見ている。間違っても自分の力だと勘違いしてはいけない。友人の話を聞いてから、肩書きのみに頼るのではなく、私自身が持つスキルや能力をぜひ使いたい、と言ってもらえるように心がけている。
そう言えば格好いいが、現実は、なかなか簡単にはいかない。つい、Challengeしない楽な道を日々選んでしまう。だからこそ身近な挑戦者や「プロジェクトX」が、自分には必要なのだ。彼らの挑戦する姿が、「いまのままで満足してはいけない」と悟らせてくれるから。
|