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Don't Hold Back―想いを英語に託せば 井上多恵子
【第13回】

Challenge

※文中の英文をクリックすると、対訳をご覧いただけます。


(C)Digital Photo Gallery Photo_D
今週のフレーズ

challenging tasks(挑戦しがいのある課題)

 私がいる職場では、Work on challenging tasks(挑戦しがいのある課題に取り組む)ことを求められる。努力しないと達成できないstretch goalを上司との間で設定し、それをachieve(達成)することをcommit(確約)する。一人一人がちょっと背伸びして目標を達成できれば、全体としても伸びる。Challenging and rewarding goal(やりがいがあり報われる目標)を設定し、enjoy facing a new challenge(新しいチャレンジに向かうことを楽しむ)能力が必要な時代。 Do you welcome challenges?(挑戦を喜んで受けますか)と聞かれて、Yes! と答えられないと、職場ではつらい。人材募集広告にWe provide a challenging work environment.(私達は挑戦のしがいがある職場環境を提供します)と書き、people who enjoy challenging work(チャレンジングな仕事を楽しむことができる人)を集める会社も時々見かける。
 職場で働く人々にとって難しいのは、「何がchallengingなのか」を決める指標が曖昧なこと。自分が「これはchallengingな目標だ!」と思っても、周囲は「それは、通常の業務範囲内でできること」と見るかもしれない。サラリーマンである限り、どの役職にいようと、目標設定はされる。もちろん、全力で取り組むべきだが、職場での目標はあくまでも他人との関係で設定される。それだけに振り回されないよう、自分自身で設定する目標もあると気分的に楽だ。人生の目標ほど大げさじゃなくても、「今日一日何かにチャレンジしてみようかな」、そんな軽い目標でもいい。何かに挑み、達成できた充実感を味わうことで日々の暮らしにおける嬉しさは増す。

今週の文法

Maui must be worth making the challenge.
(チャレンジする価値があるに違いない)

 worth 〜動詞+ ing は、「〜をする価値がある」という意味。前回のフレーズの"It's no use talking to him."は、「彼に何か言っても無駄よ!」だったが、”It’s worth talking to him.”はその逆で、「彼と話をしてみる価値があるよ」という意味になる。「何をやっても無駄」と諦めてしまいそうな時、”It’s worth making the effort.”(努力をしてみる価値はある)と自分に言い聞かせて前に進むのも手だ。

<レジュメプロ>
 外資系企業への転職や留学に必要な英文履歴書(レジュメ)、英文推薦状などの作成代行サービスを1998年から行っている。
http://www31.ocn.ne.jp/~resume/
 「サントリーは夢に向かって挑戦をつづけます」。不可能と言われた青いバラの開発に成功したサントリーが、自らの快挙を記した一文だ。さまざまな挑戦者を番組で紹介して共感を呼んでいるのが、NHKの「プロジェクトX」。私も一時期欠かさず見ていた。I always ended up crying, after thinking of all the hardship people must have endured, and also the overwhelming joy they must have felt when the project was finally accomplished.アテネ五輪にも15歳から41歳まで多くの日本人が出場し、努力を積み重ねてきた自分を信じて戦った。

 ヴァージン・グループ会長のSir Richard Bransonも、私の好きな挑戦者だ。音楽、旅行、映画、等々さまざまな分野でビジネスを展開する経営者でありながら、熱気球などで世界記録に挑んでいる。ヴァージン・グループのホームページ、Virgin.comに、彼の言葉が掲載されている。“I've always liked a challenge.”“If Virgin stands for anything, it should be for not being afraid to try out new ideas in new areas.”

 私の身近なところにも、チャレンジ精神を持った人達がいる。かつての仕事仲間は、ご主人と共に20代後半で会社を辞め、ハワイのマウイ島に移住した。現在、ウインドサーフィンショップと旅行代理店を夫婦で経営している。

 収入面だけ見ると、会社員時代の方が良かったかもしれない。世界情勢の悪化により、日本からの観光客が激減した時期も記憶に新しい。慣れない土地で苦労もあっただろう。It might have been better for us to have stayed in Japan. でも、毎年クリスマスに送られてくる家族の写真−いかにも健康そうな夫婦と子供二人が写っている−を見るたびに私は確信する。Challenge will no doubt make life more interesting!

 彼らはウインドサーフィンが大好きだ。How I wish I could make a living out of what I like to do!多くの人がそう望みながらも、「食べていけない」と諦(あきら)めてしまう。しかし、彼らは諦めなかった。マウイはウインドサーフィンのメッカ。The lovely cool breeze and blue ocean of Maui must be worth making the challenge.

 今私が取り組んでいるchallengeは、「会社の肩書きなしでも通用する人」になることだ。ヘッドハンティングの会社で役員をしている友人に言われたことがある。「大会社に長年勤めてきた人の中には、その会社の看板を外したら仕事ができなくなる人がいるのよね」

 「ソニーの井上です」と名乗ると、はじめて連絡した相手でも話は聞いてもらえる。会社が築き上げてきた信頼と知名度があるからだ。「レジュメプロの井上」として連絡を取る際は、まったく勝手が違う。ビジネス内容、実績、会議の趣旨を相手に説明して、ようやく会ってもらえる。

 会社で接する人々は、あくまで「ソニーの管理職」としての私を見ている。間違っても自分の力だと勘違いしてはいけない。友人の話を聞いてから、肩書きのみに頼るのではなく、私自身が持つスキルや能力をぜひ使いたい、と言ってもらえるように心がけている。
 そう言えば格好いいが、現実は、なかなか簡単にはいかない。つい、Challengeしない楽な道を日々選んでしまう。だからこそ身近な挑戦者や「プロジェクトX」が、自分には必要なのだ。彼らの挑戦する姿が、「いまのままで満足してはいけない」と悟らせてくれるから。

(10/20)



■全写真をフォトギャラリーで

全22回のエッセイを飾った池田肇さんの写真を、一堂に集めました。それぞれ大きな画像でご覧になれます。≫フォトギャラリーへ



井上多恵子(いのうえ・たえこ)
 幼少期と中学生時代などをニューヨークで過ごす。東京学芸大学付属高校大泉校舎、一橋大学社会学部を卒業後、ソニー株式会社に入社。オーストラリア勤務などを経て、現在は本社のプロジェクトマネジメントに従事。
 オフタイムには、TOEIC980点、通訳案内業の資格などを生かし、英文履歴書コンサルタント"レジュメプロ"のパートナーとして、外資系企業・国際機関への就職や留学を志望する人向けに英文履歴書などの作成代行、指導にあたっている。
 共著に「英文自己PRと推薦状―磨こう!自己アピール力」(税務経理協会)、「プロが教える英文履歴書の書き方」(DHC出版事業部)。


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