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Don't Hold Back―想いを英語に託せば 井上多恵子
【第22回】(最終回)

Look at things from a different point of view.

※文中の英文をクリックすると、対訳をご覧いただけます。


(C)Digital Photo Gallery Photo_D
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今週のフレーズ

Concentrate really hard

 BrainyQuoteというサイト(http://www.brainyquote.com/:様々な引用を紹介)によると、クライスラー社元社長兼最高経営責任者などを歴任したLee Iacocca氏(リー・アイアコッカ)は次のように語ったことがあるという。The ability to concentrate and to use time well is everything.(集中し、上手く時間を使う力がすべてだ)
 仕事であれ、勉強であれ、何かに取り組もうと思ったら、concentration(集中)は大事だ。同じ時間をかけても結果に違いがでるのは、スキルや能力や経験に加え、the level of concentration (集中の度合い) も影響している。Concentrate on what you are doing right now!(今、まさにしていることに、集中しなさい!)子供の頃、親や先生から言われた人は多いだろう。Concentrate for long periods of time(長い時間集中する)ことは難しい。ましてや会社にいると、電話がかかってきたり、誰かから声をかけられたりして、作業が中断しがちだ。そういう状態でも、maintain (a) high level of concentration on (one’s) work(仕事への高い集中力)を維持し、focus on the task at hand(目の前にある課題に集中)することが大事なのだろう。
 ある求人広告には、editor(編集者)に求められる能力として、”the ability to concentrate amid confusion and to use time well”(混乱している状態の中でも集中し、時間を上手く使う能力)が挙げられている。会議の席でも同じだ。複数の人が参加する会議では、いろいろな意見が出て議論が脱線してしまいがちだ。Try to get participants to focus on the subject being discussed(議論がなされているトピックに出席者が集中するように)して、concentrate on finishing the meeting on time.(時間通りに会議を終えるよう集中)することで、「効率の良い会議の進め方」ができるようになる。何に自分の関心を集中させるか、は大事な要素だ。本文で書いたpositive spiral(ポジティブなスパイラル)に入れるようにするためには、Concentrate on the positive aspects of things (物事のポジティブな面に集中する)が欠かせない。

今週の文法

a tendency to〜 〜する傾向

 a tendency to+動詞で 〜する傾向 という意味になる。tendency の動詞形であるtendを使った Tend to+動詞 は、〜しがち という意味になる。a tendency to dream (夢見る傾向)は悪くない。しかし、そればっかりで、a tendency to not act(行動が伴わない傾向)がある場合は考え物だ。私の当面の課題は、夜テレビを見ながら、a tendency to fall asleep(眠りに落ちる傾向)があること。何とかしたい。企業の課題は、a tendency to resist changes(変化に抵抗する傾向)を一掃して、時代の変化に対応していくことだろうか。

<レジュメプロ>
 外資系企業への転職や留学に必要な英文履歴書(レジュメ)、英文推薦状などの作成代行サービスを1998年から行っている。
http://www31.ocn.ne.jp/~resume/
 Time is money.「時は金なり」。時の大切さはわかっていても、年齢を重ねるにつれて、時間の経過が早まっていく。周囲でもそう思う人が多いらしく、こんな会話をよく交わす。「I can't believe a year has already passed. 」「え〜?あれってついこの前のような気がするけど、もう一年も前のことなんだ。時間がたつのは本当に早いよね〜」

 先日出席したプロジェクトマネジメントの会合で、逆の考え方を聞いた。「一年というのは案外長い。一年かけて成果を出すのではなく、例えばConcentrate really hard for two weeks and achieve something. 」 社外勉強会を企画している人に対し、シドニー工科大学の小原客員教授が贈ったアドバイスだ。

 時間をどう捉えるかは、年齢ではなく、考え方で決まる。20分間のジョギングは、普段走り慣れていない私には、とても長く感じる。もう20分ぐらいたっただろうと時計を見て、「Still a long way to go. 」とがっかりすることはしょっちゅうだ。以前、3分間番組の制作に携わっていた。かなりの内容を、3分に凝縮して伝えることができる。

 海辺のリゾートで過ごす数日間は、充実している。日頃の雑事から解放され、波の音や鳥のさえずりを聞き、ゆったりと食事を取り、沈む夕日を見て、満天の星空を眺めている間、時は、実にゆっくり流れていく。普段の生活でも、意識を変えることができれば、時間は長く感じられるはずだ。

 意識しだいで変わるのは、時間だけではない。日本では、年配者ほど地味な格好をしがちだ。派手な格好をしようものなら、「年寄りなのに」と言われかねない。アメリカでは、派手な服装を好む年配のご婦人が多い。ハワイの島内観光バスツアーで昨年一緒だったルイーズも、花柄のワンピースを着ていた。皆の前でフラダンスも披露した60代とおぼしき彼女は、quickly became popular among her fellow tourists. ツアーを大いに盛り上げてくれた。肌がくすみがちな年配者こそ、明るい格好をしてみたらどうだろう。

 「〜でなければいけない」と凝り固まった見方をすると、柔軟な考え方ができなくなる。私自身、思いこみが激しく、have a tendency to think negatively. 「前向きに考える」ための本や雑誌を何冊読んだことだろう。他にもそういう人が多いに違いない。書店には、「元気が出るための本」を一カ所に集めているコーナーが大抵ある。本を片っ端から読んでいる時は、「なるほど。This is what I lack! 」 と納得する。いざ実世界で日々の出来事に直面すると、実践できない。ポジティブシンキングとは正反対のネガティヴスパイラルに入りこみ、落ち込む。

 8歳の姪は、ポジティブな力で満ち溢れたような子供だ。猛暑だった昨年、普段住んでいる広々としたイギリスの家や涼しい気候から一転して、東京の6畳間に母親と兄弟3人で寝泊りした。その際も、すこぶる楽しそうだった。「Why does she look so happy? 」 子供の無邪気さだけではない。彼女のにこにこぶりは、周りの気持ちも楽しくさせる。あの明るさが私にも欲しい。

 One year has passed since I started writing essays for Asahi.com. 過去を振り返り、考えを整理することで見えてきたことがある。すぐ落ち込みがちな私を支えてくれるのは、「いろんな生き方や考え方がある」ことを気付かせてくれる人々や、文章や音楽や映像だ。レジュメプロの仕事でも、「自分の弱みを嘆くのではなく、自分の強みを最大限発揮し、自分の弱みを補っていく」ことを日々学んでいる。

 「コーチング」も、この「気付き」に基づいている。こうすべきだ、と教えるのではなく、物事の見方を本人が変えられるようサポートする。そうすることで、本人が自らどう行動すべきかに気付く。

 自分はもうダメだと思い、行き詰まったように思える時でも、視点を変えて見ることで、解決方法が見つかることもある。日々自分に起こる出来事に、「自分がどう向き合うか」が大切だ。

 アサヒコムで書くエッセイは、今回が最終回になる。皆さんが読んで下さったおかげで、全22回を続けることができた。ありがとう。機会があれば、またどこかの場で書きたい。その時はどうぞよろしく!

(03/02)

編集部から
「想いを英語に託せば」は、今回で終了します。1年間、ご愛読ありがとうございました。エッセイに登場する英語には、想いだけではなく役立つ表現もたっぷり詰まっています。引き続きバックナンバーでお楽しみください。




■全写真をフォトギャラリーで

全22回のエッセイを飾った池田肇さんの写真を、一堂に集めました。それぞれ大きな画像でご覧になれます。≫フォトギャラリーへ



井上多恵子(いのうえ・たえこ)
 幼少期と中学生時代などをニューヨークで過ごす。東京学芸大学付属高校大泉校舎、一橋大学社会学部を卒業後、ソニー株式会社に入社。オーストラリア勤務などを経て、現在は本社のプロジェクトマネジメントに従事。
 オフタイムには、TOEIC980点、通訳案内業の資格などを生かし、英文履歴書コンサルタント"レジュメプロ"のパートナーとして、外資系企業・国際機関への就職や留学を志望する人向けに英文履歴書などの作成代行、指導にあたっている。
 共著に「英文自己PRと推薦状―磨こう!自己アピール力」(税務経理協会)、「プロが教える英文履歴書の書き方」(DHC出版事業部)。


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