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Don't Hold Back―想いを英語に託せば 井上多恵子
【第8回】

You’ve got a friend.

※文中の英文をクリックすると、対訳をご覧いただけます。


(C)Digital Photo Gallery Photo_D
 
めざそう!自己アピール美人
【第8回目】 Success(成功)

Successful person(成功した人)あるいは、successful business person(成功したビジネスパーソン)という言葉がある。何をもってsuccessfulと定義付けるかは、今はやりの「勝ち組」「負け組」論争と同じで、議論の分かれるところだ。個々人の価値観に大いに影響される。しかし、例えばCover letterにI have been successful in improving customer satisfaction.(顧客満足度を高めることに成功してきました)と書く場合は、その書類に書かないまでも、「自分の中で、ある一定の基準を設定し、その基準を超えたから、成功」と説明できることが大切だ。success関連用語は、確かにpositiveな(前向きな)印象を与える。だから、米国では「自分を売り込む」(sell yourself) 場面では、success, successful, succeed, successfullyといった単語はよく使われている。Throughout my career, I have been successful with(キャリアを通じて、〜を成功裡に行ってきた)では、successfully は動詞の後ろにあるが、動詞の前に持ってきて、I have successfully carried out projects.(私は成功裡にプロジェクトを実行した) とする使われ方もある。As leader of the team, I will successfully motivate the members to achieve their best(チームのリーダーとして、メンバーが最善を尽くせるよう、うまく動機付けしていく)というように、将来の決意を語る時にも使える。このコラムが、転職を成功させる、あるいは留学実現の夢をかなえ(to succeed in switching jobs or realizing your dream to study abroad) 、自分自身が納得できるようなキャリアの構築(build a successful career)、そして自分自身のSuccess storyを描くための一助になれば嬉しい。

<レジュメプロ>
 外資系企業への転職や留学に必要な英文履歴書(レジュメ)、英文推薦状などの作成代行サービスを1998年から行っている。
http://www31.ocn.ne.jp/~resume/
 イギリス人の父親と日本人の母親の間で生まれ、ふだんはロンドン郊外に住んでいる姪たちは、日本への里帰り中、筋が分からなくてもNHKの大河ドラマの雰囲気を祖母達と楽しんでいた。あれは、下の姪が4歳の時。「北条時宗」を見ていた姪が、突然意味不明な言葉を話し始めた。What did you just say?慌てて聞く周りのおとなたちには目もくれず、しゃべり続ける姪。なんと、蒙古のフビライ役の俳優が語るモンゴル語の台詞を姪はそっくりそのまま真似てしゃべり続けていたのだ!

 聞いた外国語を同じように発音することは、一般的な語学学習方法の一つだ。おしゃべり好きで、人の言ったことをしょっちゅう真似ている下の姪は、語学の上達が確かに早い。日本の幼稚園で教えてもらった歌を、家族に披露してくれた時があった。意味をすべて理解していたかどうかは怪しい。Nevertheless, I marveled at her happily singing a long song with difficult phrases that she had learned, not from a sheet of music, but by simply listening to it.子供はなんて、柔軟な頭と記憶力を持っているのだろう!

 「聞いたことを自分も話す」訓練は、私がアメリカで英語を学んだ際にも大いに役立った。中学1年の時、クラスで合唱をすることになった。選ばれた歌は、キャロル・キングの“You’ve Got a Friend.”。

 When you’re down and troubled,……You just call out my name And you know wherever I am I’ll come running to see you again…You’ve got a friend.(※1)

 個々の単語の区切りも、意味もわからないまま、皆を真似て私も口を動かして歌った。英語に慣れるに従って、全く区切れが無いように聞こえた歌が、少しずつ、意味のあるものとして聞こえてきた。3ヶ月後に行われた発表の日。まだまだ中途半端な発音で、全体の和を乱していた私だったが、とりあえず一緒に歌わせてもらった。

 ……soon I will be there, to brighten up even your darkest night…(すぐにそこにいくよ。あなたの最も暗い夜をも明るくするために)。

 日本語ではちょっと恥ずかしくて口にできないようなフレーズだが、何度も何度も繰り返し歌ったからだろうか。英語なら言える。Winter, spring, summer, or fall…季節の言葉も、even(〜でさえ)の使い方もこの歌で覚えた。今でも私を元気づけてくれる大好きな歌だ。 Whenever I listen to the song, I remember that period of my life.歌はそんな力を持っている。

 英語を勉強中の知人にも、言っている。”Listen repeatedly to an English song that you like and once you get used to it, you can start imitating it.

 好きな歌だと聴いていて苦痛にならない。何度も聞き、発音や言いまわしが身についたら、それをもとに、バリエーションを増やしていくといい。たとえば、カーペンターズのYesterday Once Moreの“When I was young, I’d listen to the radio, ”を “When I was young, I’d play with my friends all day long,”に置き換えてみる、といった具合だ。1つひとつの単語がはっきりしているバラード調の歌がお勧めだ。

 ある程度基礎を理解したら、「実際に使ってみる」ことが大事だ。オーストラリアでジャーナリズムの学校に通った時は、書いた英文をかなりチェックされた。パブリック・スピーキングの能力向上を目的としたToastmasters’ Clubにも通った。AERA English Springで、同クラブの日本版が紹介されている。At the beginning, I felt uncomfortable at having my speech evaluated.しかし、私が通ったクラブの雰囲気がencouragingだったこともあり、そのうち楽しみになっていった。

 そんな経験と英語学習における信念をもとに、私がパートナーを務めるレジュメプロでは、英語のパーソナル指導サービスを行っている。1人ひとりのニーズに応じて、最適な指導方法を考え、提供するというものだ。仕事で英語が必要となる場面は多い。依頼者が書いた英文を校正し、バリエーションを増やせるよう、アドバイスしている。外国の友人との文通でもいい。One will make serious efforts to learn if under pressure.だから、上達も早い。

 このように日々英語を使っている私だが、八千代市村上小学校に2週間、体験通学させてもらった小学5年生の姪が、クラスで「世界中のこどもたち」という歌の練習をしていた時、担任の先生から英語にしてみてと言われて英訳した歌詞を先日、見て面食らった。I can’t do as good a job as she did.

「世界中のこどもたちが一度に笑ったら 空もわらうだろう……広げよう ぼくらの夢を 届けよう ぼくらの声を咲かせよう ぼくらの花を 世界に虹をかけよう」(※2) “All the children of the world, / If they laughed all at once, / I wonder if the sky would laugh too. / …/Go on, spread all my dreams. / Go on, make my voice reach way out far. / Let’s make all the flowers bloom. / Let’s put a rainbow on the world!”

 訳の一部を紹介したが、make my voice reach way out far.なんていう英語表現は、実際に声が届いている様子が目に見えるようだ。

 A different sensitivity to that for translating business documents is required for translating poems or songs.姪は、それを持っている。英訳に加え、クラスで英語の歌詞の発音指導までさせてもらって嬉しい思いをした姪は、「今度はイギリスで逆の指導をしたいなあ」と話して英国に戻った。10歳ですでに異文化の橋渡しをしている。頼もしい限りだ。

 Don’t hold back―― 英語に想いを託せば。このエッセイを書きながら、私も姪に負けないように、言葉に対する感性を磨いていきたい。

※1 Words by Carole King  Copyright 1971 Screen Gems-Columbia Music, Inc. New York, NY

※2 出典:教育芸術社 同声合唱曲集 改訂 「おおぞらさんか」

(05/18)



■全写真をフォトギャラリーで

全22回のエッセイを飾った池田肇さんの写真を、一堂に集めました。それぞれ大きな画像でご覧になれます。≫フォトギャラリーへ



Don't Hold Back―想いを英語に託せば
*お寄せいただいた数多くの感想から一部を掲載します

◆山形県・aoiさん(40代)
 これまで、帰国子女というと「日本で無駄でつまらない英語の授業を受けずに、自然に覚える事ができる環境にいられた特別ラッキーな人達」というイメージがありました。ところが、井上多恵子さんの「Don't hold back――想いを英語に託せば」を読んで、「親の都合で逃れられない運命を背負った人達」という印象に変わりました。言語だけでなく、複数の国の文化・環境の中で生きるだけでもプレッシャーでしょう。しかし、それと同時に、素晴らしい体験をしている事でもあります。知らず知らずのうちに、逆境に負けない・環境に順応できるという訓練をしている事になります。また、宗教や習慣等、1つであれば普通は疑問も持たず受け入れるものに対する見方・考え方も多角的で違ってくるのではないでしょうか。とはいえ、今更望んでも帰国子女にはなれません。でも、【第4回】のIf I'm down,…を読んで、今からでもできる事に気がつきました。私は以前、大阪の大手企業でパワー全開で働いてましたが、今は田舎のある工場に勤務しております。地域性によるのですが、仕事の仕方・社員に対する考え方・男女の在り方まで、かなり違います。「出る杭は打たれる」で、活き活きと仕事ができないのです。心の中では、「このままではいけない」と思いつつ、何も行動できなくております。それどころか、他の怠惰な社員を見ては、「あの程度でも大丈夫なんだ」という気持ちが起きてモラルはかなり低下してます。”向上心”という言葉にハッとさせられました。今すぐに画期的には変わらないけれど、社会も法律も少しずつ変わっている。どこかの誰かが「このままではいけない」と打たれながらも努力し続けたおかげなのでしょう。私も諦めてはいけない!(05/23)

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井上多恵子(いのうえ・たえこ)
 幼少期と中学生時代などをニューヨークで過ごす。東京学芸大学付属高校大泉校舎、一橋大学社会学部を卒業後、ソニー株式会社に入社。オーストラリア勤務などを経て、現在は本社のプロジェクトマネジメントに従事。
 オフタイムには、TOEIC980点、通訳案内業の資格などを生かし、英文履歴書コンサルタント"レジュメプロ"のパートナーとして、外資系企業・国際機関への就職や留学を志望する人向けに英文履歴書などの作成代行、指導にあたっている。
 共著に「英文自己PRと推薦状―磨こう!自己アピール力」(税務経理協会)。


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