【第8回】
You’ve got a friend.
※文中の英文をクリックすると、対訳をご覧いただけます。
イギリス人の父親と日本人の母親の間で生まれ、ふだんはロンドン郊外に住んでいる姪たちは、日本への里帰り中、筋が分からなくてもNHKの大河ドラマの雰囲気を祖母達と楽しんでいた。あれは、下の姪が4歳の時。「北条時宗」を見ていた姪が、突然意味不明な言葉を話し始めた。What did you just say?慌てて聞く周りのおとなたちには目もくれず、しゃべり続ける姪。なんと、蒙古のフビライ役の俳優が語るモンゴル語の台詞を姪はそっくりそのまま真似てしゃべり続けていたのだ!
聞いた外国語を同じように発音することは、一般的な語学学習方法の一つだ。おしゃべり好きで、人の言ったことをしょっちゅう真似ている下の姪は、語学の上達が確かに早い。日本の幼稚園で教えてもらった歌を、家族に披露してくれた時があった。意味をすべて理解していたかどうかは怪しい。Nevertheless, I marveled at her happily singing a long song with difficult phrases that she had learned, not from a sheet of music, but by simply listening to it.子供はなんて、柔軟な頭と記憶力を持っているのだろう!
「聞いたことを自分も話す」訓練は、私がアメリカで英語を学んだ際にも大いに役立った。中学1年の時、クラスで合唱をすることになった。選ばれた歌は、キャロル・キングの“You’ve Got a Friend.”。
When you’re down and troubled,……You just call out my name And you know wherever I am I’ll come running to see you again…You’ve got a friend.(※1)
個々の単語の区切りも、意味もわからないまま、皆を真似て私も口を動かして歌った。英語に慣れるに従って、全く区切れが無いように聞こえた歌が、少しずつ、意味のあるものとして聞こえてきた。3ヶ月後に行われた発表の日。まだまだ中途半端な発音で、全体の和を乱していた私だったが、とりあえず一緒に歌わせてもらった。
……soon I will be there, to brighten up even your darkest night…(すぐにそこにいくよ。あなたの最も暗い夜をも明るくするために)。
日本語ではちょっと恥ずかしくて口にできないようなフレーズだが、何度も何度も繰り返し歌ったからだろうか。英語なら言える。Winter, spring, summer, or fall…季節の言葉も、even(〜でさえ)の使い方もこの歌で覚えた。今でも私を元気づけてくれる大好きな歌だ。 Whenever I listen to the song, I remember that period of my life.歌はそんな力を持っている。
英語を勉強中の知人にも、言っている。”Listen repeatedly to an English song that you like and once you get used to it, you can start imitating it.”
好きな歌だと聴いていて苦痛にならない。何度も聞き、発音や言いまわしが身についたら、それをもとに、バリエーションを増やしていくといい。たとえば、カーペンターズのYesterday Once Moreの“When I was young, I’d listen to the radio, ”を “When I was young, I’d play with my friends all day long,”に置き換えてみる、といった具合だ。1つひとつの単語がはっきりしているバラード調の歌がお勧めだ。
ある程度基礎を理解したら、「実際に使ってみる」ことが大事だ。オーストラリアでジャーナリズムの学校に通った時は、書いた英文をかなりチェックされた。パブリック・スピーキングの能力向上を目的としたToastmasters’ Clubにも通った。AERA English Springで、同クラブの日本版が紹介されている。At the beginning, I felt uncomfortable at having my speech evaluated.しかし、私が通ったクラブの雰囲気がencouragingだったこともあり、そのうち楽しみになっていった。
そんな経験と英語学習における信念をもとに、私がパートナーを務めるレジュメプロでは、英語のパーソナル指導サービスを行っている。1人ひとりのニーズに応じて、最適な指導方法を考え、提供するというものだ。仕事で英語が必要となる場面は多い。依頼者が書いた英文を校正し、バリエーションを増やせるよう、アドバイスしている。外国の友人との文通でもいい。One will make serious efforts to learn if under pressure.だから、上達も早い。
このように日々英語を使っている私だが、八千代市村上小学校に2週間、体験通学させてもらった小学5年生の姪が、クラスで「世界中のこどもたち」という歌の練習をしていた時、担任の先生から英語にしてみてと言われて英訳した歌詞を先日、見て面食らった。I can’t do as good a job as she did.
「世界中のこどもたちが一度に笑ったら 空もわらうだろう……広げよう ぼくらの夢を 届けよう ぼくらの声を咲かせよう ぼくらの花を 世界に虹をかけよう」(※2)
“All the children of the world, / If they laughed all at once, / I wonder if the sky would laugh too. / …/Go on, spread all my dreams. / Go on, make my voice reach way out far. / Let’s make all the flowers bloom. / Let’s put a rainbow on the world!”
訳の一部を紹介したが、make my voice reach way out far.なんていう英語表現は、実際に声が届いている様子が目に見えるようだ。
A different sensitivity to that for translating business documents is required for translating poems or songs.姪は、それを持っている。英訳に加え、クラスで英語の歌詞の発音指導までさせてもらって嬉しい思いをした姪は、「今度はイギリスで逆の指導をしたいなあ」と話して英国に戻った。10歳ですでに異文化の橋渡しをしている。頼もしい限りだ。
Don’t hold back―― 英語に想いを託せば。このエッセイを書きながら、私も姪に負けないように、言葉に対する感性を磨いていきたい。
※1 Words by Carole King Copyright 1971 Screen Gems-Columbia Music, Inc. New York, NY
※2 出典:教育芸術社 同声合唱曲集 改訂 「おおぞらさんか」
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