【第9回】
Never having to say you are sorry.
※文中の英文をクリックすると、対訳をご覧いただけます。
What would have happened had I made that decision?
考えても何も変わるわけじゃないけれど、ある時期までそんなことをよく考えていた。
特に、何か壁にぶつかって落ち込んだ時、直面している現状から逃げたくなって、
If…, then I would have been…
という文法の授業で学んだいわゆる仮定法過去の世界でしばし空想することがあった。入社当時仕事に馴染めず「違う職業についていたら…」と悶々としたことがあった。
もう一つよく繰り返したif――もしもアメリカの大学や大学院に行っていたならば……。
ニューヨークの郊外に暮らしていた中学生時代、休みになると、家族で東海岸を車で旅行した。主な行き先は、大学のキャンパス。アメリカの大学を受験する姉のために、大学をいろいろ見てまわっていたのだ。それが、私とアメリカの大学のはじめての出会いだった。緑豊かな広大なキャンパス。芝生の上で談笑する学生達。「すごい広いな、綺麗だな……」。まだ中学生だった私にとっては、「はるか遠い世界」を少し垣間見た、そんな感じだった。
そしてある日、”Love Story”という映画を見た。邦題は「ある愛の詩」。ボストンにある大学を舞台にした純愛物語。”Love means never having to say you are sorry.”というせりふで有名な映画だ。私はひたすら魅了されて、美しい音楽に聴き入り、移りゆく季節の中での大人っぽいキャンパスライフを描いた美しい映像に見入った。
その後、日本の大学に進学した私は、3年生の春休みに、姉が学ぶアメリカの大学院での授業に体験出席した。今でもそのシーンをしっかり思い出すことができる。すり鉢型の教室で、学生は教授を見下ろす形で座っていた。教授が矢継ぎ早に投げかける質問に対し、次々に手をあげ答えようとする学生。It came as a shock to me, I had experienced classes at a Japanese university where students, myself included, slept like logs, unable to bear the boredom of merely listening to lectures given by professors.
私はただひたすら、その活発な双方向性の授業の進め方に圧倒された。姉に教えてもらって、理解した。アメリカの大学院では、発言しないと評価されない。That’s why students all try to state their viewpoint by raising their hands ahead of others and making themselves noticed. もちろん、何をどう言うかも重要。だから、アピール力は徹底的に磨かれる。
「私もあんなすごいところで学んでみたい」。本気で行こうと思えば、そのチャンスは何度かあった。でも、けっきょく私は行かなかった。なぜ? 今ならわかる。単に「憧れと逃げ」が「動機」だったから。I didn’t have the strong motivation necessary to overcome various hardships to study abroad; I couldn’t even find a strong reason for studying. 会社の仕事で必要だった売上予想もろくに立てられず、他の人たちは当たり前のように覚えていた数字が覚えられなかった。そんな私が、MBAで必要な難しいファイナンスなんて、わかるはずがない、そう思っていた。
今、振り返ってみて思う。行かなかったのは残念。でも行っていても、私自身が変わらなかったなら、成果は得られなかっただろう。そこに、向上心はなかったから。
レジュメプロの仕事に関わるようになり、留学希望者をサポートし、そういった人たち向けの本を書いたことで、私はようやく、憧れの呪縛から逃れることができたように思う。書類を作成するために、応募先の大学や大学院のホームページを調べ、なぜそこで学びたいのかを依頼者に聞く。皆真剣。その人が、希望する大学院で学んでいる姿を想像する。By supporting someone else to realize his or her dream, in a sense, I am realizing the dream I once had.
もちろん私自身これから先全く行くチャンスがないことはない。ずっと先で留学することがあるかもしれない。しかし、その時は単なる憧れではもう行かないつもりだ。「何を学びたいのか。何をそこで得たいのか」それをしっかり見据えて行くつもりだ。
今は、「自己アピール力」を他の人達が身につけられるよう、サポートすることが楽しい。 ”In order to play a bigger role in international society, we Japanese must acquire the skills to promote ourselves more effectively in English.“ 「英文自己PRと推薦状 磨こう!自己アピール力」という本は、そんな強い想いで書いた本だ。アメリカの大学院を中心に、数多くのホームページを調べ、その中からいくつかを厳選し、留学希望者向けに応募要項の内容を解説している。そして、推薦状を書いてもらう際や、応募に必要なその他の書類を書く時に必要な注意事項を記載した実用本だ。英語でアピールするのに役立つアピール表現や使い方も紹介している。
この本を読んで、Amazon.comの本著のカスタマーレビュー欄に次のように書いてくれた人がいる。「小生、当面海外に行く予定はない。しかし、不思議なことになんだかとっても役に立ってしまった。….日本語力に磨きをかけたい人にも抜群に役立つのである。自己表現の仕方。表現の合理性、今日性……」
Indeed, “promoting oneself effectively” has now become essential even in Japanese society. 年功序列から日本流成果主義へ。仕事を通じて、どういうことを成し遂げたのか、月報の中で、そして、査定や昇進のための「自己申告」で書かなければならない。でも、まわりを見ると上手く表現できない人が多い。当然だ。上手く自己表現するための訓練、大半の人が今まで受けてきていない。「日本語が書ける=ちゃんとしたビジネス文章が日本語で書ける」という意味と同じではないように、「日本語が書ける=日本語で上手くアピールできる」と同じではない。
It’s a shame for someone who does a really good job not to be evaluated fairly, simply because he or she cannot promote himself or herself well. だから、次は、そんな人達を応援するための本「自己アピール力 成果主義の時代に負けるな!」を書いてみたい。「自分をアピールするのは、恥ずかしい」という考え方を変え、正当に自分の成果や強みを表現する力を多くの人が身につけることができるように。
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