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【News Speak】ニュースで学ぶ基本単語

get は口語英語のエッセンス

鶴田知佳子:東京外国語大学教授・同時通訳者

 通訳という仕事の本質をひとことで言ってくださいと言われたら、私ならWe have to get the message across to our audience. と答えるでしょう。聞いている人に話者のメッセージを正確に伝えることで、通訳を聞いた人が、I got it.(分かった)と言ってくれたかどうかがポイントです。今回は get をキーワードに選んでみました。

 さて、大詰めを迎えているアメリカ大統領選挙では、中傷合戦が続いています。民主、共和双方の攻撃に使われているのが、You just don't get it. という文句です。「わかっちゃないなあ」といった意味です。国民の気持ちがわからない候補には大統領に(あるいは副大統領に)なる資格はないというわけです。

 基本動詞の中核とも言える get は実に便利な動詞で、さまざまな使い方があります。思いつくままに用 法をみてみましょう。

 書かなければならない原稿をたくさん抱えているとついつい、言いたくなるのが、I love to get it done.(さっさと片付けられたらいいのにね)です。また、勉強に気が向かない学生にはっぱをかけるには、Get right on with work.(さっさと仕事にかかりなさい)、Get on it! Go!(さっさとやりなさい!がんばって!)などがあります。

 私の研究室に相談があるといって訪ねてきたのに、なかなか用件を切り出せない学生には、Get it out, don't hold back.(さっさと言ってしまいなさい。遠慮しないで)が使えます。

 さらに、You'll never get away with it. も get を含んだ英語らしい表現です。get away with に、悪事を罰せられずにうまく逃れるという意味があることから、否定文で「そうは問屋がおろさないぞ」という場合によく使われます。

 こうして並べてみると、get が前置詞や副詞と組み合わさり、多彩な表現が生まれることに改めて驚かされます。まるで簡素な洋服にいろいろなスカーフを組み合わせたり、ブラウスの色を明るめに取り替えたりすることでがらりと印象が変わるのと同じように、「使いまわし」が効くと思います。

 get をはじめとする基本動詞に習熟すれば、かなり複雑なことも表現できるようになります。裏返して言えば、通訳では専門用語よりも、むしろこうした基本語を使った言い回しに、「はて困った、どう訳そう?」と戸惑うことがよくあります。

 最近のメディア報道で get が出てきた例を挙げてみましょう。まずは、CNN のある番組で、タイガー・ウッズのキャディーが述べた言葉です。最後の二つの文章に get better(さらによくなる) と have (always) got to (= have to) が使われています。

 Caddying is no different than any other job.

 You are always trying to do the best to prepare for the game. So you are always trying to get better. You've always got to stay ahead of your competition.

 (キャディーは他の仕事となんら変わりません。常に最善の試合結果をめざしているのです。常に上を目指しているわけです。競争相手を打ち負かさねばならないのですから)

 次は経済番組に登場したエコノミストが述べた、今話題の金融危機に関するコメントです。

 Mr. Paulson is like a poker player. He's got a pair of twos, but he is trying to bluff his way out.

 (ポールソン財務長官はあたかもポーカーのゲームを強いられているかのようです。<一番弱い>2のペアしかないのに、ハッタリで切り抜けようとしています)

 He's got は He has got (持っている)の意味で、口語でよく使われます。have や has は軽く発音して、've got や 's got とするのがコツです。

Let's TRY!

 では練習問題です。次の get を含んだ英文の意味を考えてみましょう。

1.That sales clerk was not nice at all. She's got to be more sociable.

2.Please get Mr. White on the phone.

3.The rumor got about quickly.

4.Go get it right the first time.

5.I'm not going to let you get away with it.

6.Do you think they can get along with each other?

 それでは正解例です。

1.あの店員さん、いやな感じね。もっと愛想がなくてはね。

2.ホワイトさんを電話口にお願いします。

3.そのうわさはすぐに広まった。

4.一発的中を狙ってください。

5.あなたの好き放題にはさせませんよ。

6.彼らは仲良くやっていけると思いますか。

 今回のお話はいかがでしたか? Got it? でしょうか。答えが、願わくば Yes! でありますように。

鶴田知佳子(つるた・ちかこ)

金融業界で10年間の勤務後、目白大学助教授を経て、現職。NHK 衛星放送、CNNの同時通訳者、会議通訳者。日本通訳学会理事。AIIC (国際会議通訳者協会) 会員。CFA (アメリカ公認証券アナリスト)。


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