犬形埴輪 5世紀 仁田埴輪窯跡(佐賀県唐津市)
土偶 縄文時代晩期中葉 上宮田台遺跡(千葉県袖ケ浦市)
人面付壺形土器 弥生時代中期 泉坂下遺跡(茨城県常陸大宮市)
経塚出土品 12世紀後半 堂ケ谷廃寺・堂ケ谷経塚(静岡県牧之原市)
日本各地で年間8000件近く行われている発掘調査のうち、最新の成果をご紹介する恒例の速報展「発掘された日本列島2012」が、11月17日(土)から堺市博物館で始まります。東京、青森、静岡に続き4会場目で、20遺跡から約580点を取り上げます。
■表情豊かな土製品
くりっとした丸い目と、少し長い鼻先。ユーモラスな表情をした古墳時代の犬形埴輪は、仁田埴輪窯跡(にたはにわかまあと、佐賀県唐津市)から出土しました。全体の形と大きさが分かる初期のイヌの埴輪としては貴重なものです。この遺跡では窯跡のほぼ全体が残っていました。窯はトンネルのように土の中に掘り込まれ、現存する長さは11.4メートル、天井までの高さは1メートルもありました。埴輪片も大量に出土しており、地方の埴輪生産の実態を解き明かす上で重要な遺跡です。
上宮田台(かみみやただい)遺跡(千葉県袖ケ浦市)からは、2600年ほど前のイノシシ形土製品や土偶などが数多く見つかりました。土偶の中には、体のつくりや模様は関東地方の伝統を用いているのに顔は東北地方の影響を受けたものや、腕と足が短く中部地方の影響を受けたとみられるものもあります。
弥生時代の弔いの様子がうかがえるのが、泉坂下(いずみさかした)遺跡(茨城県常陸大宮市)です。この遺跡では七つの「再葬墓(さいそうぼ)」と呼ばれる墓が見つかりました。再葬墓とは、死者をいったん土に埋めるなどし、残った骨を再び埋葬した墓です。墓から出土した人面付壺形土器は再葬の際に棺として用いられたと考えられています。死者に似せたかのようにリアルな表情を浮かべており、高さ約80センチと人面付土器としては最大です。
■被災地の文化財救出と保護
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、岩手・宮城・福島を中心とする被災地の文化財にも甚大な被害を与えました。会場では、文化財に関係する機関や博物館・美術館、学会、NPOなど全国の様々な組織が連携し、がれきの中から文化財を集めて修復したり、文化財である建物の被害状況を調査したりしている取り組みをパネル展示します。また、津波被害に遭った集落の高台移転や道路整備に伴い、岩手・福島で行われた建設予定地の発掘成果を紹介。考古学の視点から防災を考えようと、弥生時代の大津波の痕跡が見つかった宮城県仙台市の沓形(くつかた)遺跡も取り上げます。
■400年前の京都・大阪・堺に迫る
地元の発掘成果を紹介する「地域展」として、「激動の時代「慶長」を掘る――よみがえる400年前の京都・大阪・堺――」も同時開催されます。1596(文禄5)年に現在の京都・伏見付近で起きた直下型大地震は、マグニチュード8に相当したと推定され、千人以上の死者が出たと伝えられています。この地震を機に「慶長」と改元されました。秀吉の死から関ケ原の合戦、豊臣氏の滅亡にいたる激動の慶長年間(1596〜1615)を、その舞台となった京都、大阪、堺の出土品12遺跡約160点を通じてひもときます。
■発掘された日本列島2012
■会期:11月17日(土)〜12月24日(月) 午前9時30分〜午後5時15分(入館は午後4時30分まで)
■休館日:11月26日、12月10、17日
■会場:堺市博物館(大阪、072−245−6201)
■観覧料:一般500円、高校・大学生250円、小中学生50円
※堺市内在住・在学の小中学生は無料。65歳以上と障がいのある方は無料(要証明書)
■関連講演会・展示解説
【講演会 発掘された日本列島について】
11月17日(土) 午後2時〜午後3時30分
講師:近江俊秀さん(文化庁記念物課調査官)
列島展で展示する全国の重要遺跡20カ所の特色や学術価値について、分かりやすく解説します。
【講演会 秀吉を襲った大地震―地震考古学で読み解く慶長伏見地震―】
11月25日(日) 午後2時〜午後3時30分
講師:寒川旭さん(産業技術総合研究所客員研究員)
▽当日先着100人。無料。正午から整理券を配布。聴講には当日の特別展入館券が必要
【展示解説】
12月1日(土)、12月16日(日) 午後2時〜午後3時
▽当日、開始時刻に展示会場に集合
■関連イベント
【歴史ウオーク 中世都市 堺の歴史探訪―堺環濠都市遺跡を歩く―】
12月15日(土) 午後1時〜午後4時30分(予定)
堺環濠都市遺跡を、学芸員の解説を聞きながら歩いて巡ります。
・集合場所 堺市役所前広場
・参加費 1人150円(資料代、保険代など実費)
・参加対象者 約6キロ歩く自信のある成人の方
▽定員 30人(応募多数の場合は抽選)
▽参加申し込み 往復はがきに、参加希望者全員の住所、氏名(ふりがな)、年齢(保険契約上必須)、電話・ファクスまたは携帯番号を明記の上、堺市博物館「歴史ウオーク係」(〒590−0802 堺区百舌鳥夕雲町2丁 大仙公園内)へ。締め切りは12月7日(金)、当日消印有効。1枚の往復はがきで2人まで応募できます。
電話 072−245−6201
ファクス 072−245−6263
▽堺市博物館ホームページ http://www.city.sakai.lg.jp/hakubutu/index.html
■巡回先
・鳥取県立博物館 2013年1月12日(土)〜2月24日(日)
主催:文化庁、東京都江戸東京博物館、八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館、藤枝市郷土博物館・文学館、堺市博物館、鳥取県立博物館
協力:全国公立埋蔵文化財センター連絡協議会、全国埋蔵文化財法人連絡協議会、財団法人元興寺文化財研究所、朝日新聞出版、朝日新聞社
後援:全国史跡整備市町村連絡協議会