舞台の階段は人間の複雑な心理と感情の起伏を表現しているという
(C)Monika Rittershaus
指揮者ロビン・ティチアーティ
■ザルツブルク音楽祭制作オペラ 革新的「フィガロの結婚」
オーストリア・ザルツブルク音楽祭制作のオペラが4月24、25日、日本で初上演される。鬼才クラウス・グート演出による「フィガロの結婚」で、06年モーツァルト・イヤーで最も注目された作品だ。従来の「フィガロ」と違った斬新な演出で、性に翻弄(ほんろう)される人間の深層心理を鋭く突く。
同音楽祭の起源は1842年にさかのぼる。第2次世界大戦後、1956年にはカラヤンが芸術監督に就任、最先端の音楽祭として急速に発展した。以後、ジェラール・モルティエ、ペーター・ルジツカ、現芸術監督ユルゲン・フリムらによる革新的な演出が世界で注目され、それが音楽祭の伝統になってきた。
同音楽祭のヘルガ・ラーブル・シュタットラー総裁は「グートは今夏の音楽祭で新演出版『ドン・ジョバンニ』、2011年には『コジ・ファン・トゥッテ』を発表予定で、現代の最先端をゆく演出家」と語る。
同音楽祭への最年少デビューを果たし、今期、英国ロイヤル・オペラにもデビューする指揮者、ロビン・ティチアーティも注目される。「天才的な棒さばきは、欧州音楽界の話題の的」とたたえられている。
3月からザルツブルクに世界各地から出演者が集まり、本格的なリハーサルが始まった。「音楽祭の未来を担う出演者をそろえ、日本ではエキサイティングな舞台を披露したい」と総裁は意気込みをみせる。
会場は東京・上野の東京文化会館。午後6時開演。4万8千〜3万6千円。問い合わせは東京グランドクラシックス(0120・86・9649)へ。
■紫禁城写真展 100年の時超え…日中写真家競演
東京都写真美術館で開催中の「紫禁城写真展」では、日本と中国の写真家が100年の時を隔てて撮った北京・紫禁城の写真が“競演”している。
1901年、明治、大正の日本写真界で活躍した写真師小川一真は、東京帝国大学の建築学者伊東忠太を中心にした調査団に加わり、清朝末期の紫禁城を細かく撮影した。
その後、東京帝室博物館(現東京国立博物館)の編集で写真集を出版。写真とガラス乾板は東京国立博物館に100年以上保存されてきた。
東京都写真美術館の専門調査員、金子隆一さんは「屋根の瓦が一枚一枚数えられそうなくらい、きれいだ」といい、ガラス乾板で描写した小川の技術を高く評価する。
2005年には、中国の写真家侯元超さんが小川の写真集に触発され、ほぼ同じアングルから故宮を撮影し、写真集「故宮百年」を出した。
小川はコロディオン紙のプリントにプラチナを使って調色した。本展で侯さんもプラチナを使ったプリントに挑戦したのも注目される。5月18日まで。
■対決―巨匠たちの日本美術展 なじみ深い傑作110点
狩野永徳?長谷川等伯、伊藤若冲(じゃくちゅう)?曽我蕭白(しょうはく)、円山応挙?長沢芦雪(ろせつ)……。7月8日から東京国立博物館で始まる特別展「対決―巨匠たちの日本美術」では、日本美術を代表する24人の名品による「師弟・ライバル対決」が大きな魅力だ。
出品されるのは国宝約10点、重要文化財約40点を含む約110点。美術史の教科書などに登場する、なじみの深い傑作ばかりだ。巨匠対決では、2人1組で並べて展示される。
同展は、美術研究誌「國華(こっか)」創刊120周年を記念して開催。同誌の河野元昭主幹は「美術はライバルが存在することで発展し、新しい様式が生み出されてきた。画風の違いなどを見比べてほしい」という。
■映画「ランジェ公爵夫人」 将軍との恋、優雅に
フランスの文豪バルザックの小説を忠実に映画化した「ランジェ公爵夫人」は、男女の恋愛の駆け引きを優雅に描く。豪華な美術や衣装も見ものだ。
19世紀のパリの舞踏会で、モンリボー将軍はランジェ公爵夫人に一目ぼれする。しかし、公爵夫人は思わせぶりな態度を取り続けるばかり。業を煮やした将軍は思い切った行動を取り、2人の関係は急変する。
監督は、今年で80歳になる巨匠ジャック・リベット。主演はジャンヌ・バリバールとギヨーム・ドパルデュー。4月5日から東京・神保町の岩波ホールで。順次全国公開。前売り1500円。
■「20世紀の巨匠たち」 報道・芸術、写真の力
19世紀に発明された写真は瞬くうちに世界中に広がり、生活に採り入れられた。いまや私たちの周りには写真があふれている。
写真が最も発達したのは20世紀。新聞、雑誌など写真を求めるメディアの発展と軌を一にしている。そこには、社会の出来事をそのまま記録した写真家と、自分の芸術表現に写真を使う写真家が現れた。
4月3〜21日、大丸ミュージアム・東京で開かれる「20世紀の巨匠たち」展では、ロバート・キャパやマン・レイら20世紀の写真史に名を残した巨匠14人の代表作が並ぶ。写真が持つ力を実感できる。
■(人ひとこと)夏帆さん「合唱っていいよ」
映画「うた魂(たま)♪」で、主人公の女子高生かすみを演じる。全国合唱コンクール出場を目指す合唱部のソプラノリーダー役だ。「あまり歌が得意ではないので撮影前は不安でしたが、撮影が始まってからは吹っ切れて、楽しく撮影できました」と振り返る。
映画は、一度は挫折するが、合唱の真の素晴らしさに目覚めていくかすみの成長を描く。「みんなが一つになると素晴らしいものが生まれるというメッセージが、よく表れている映画です。合唱っていいなと思ってもらえれば、それだけでうれしいです」
(4月5日から東京・シネクイントなど全国で公開)