みどころ

夕暮れの極北の河を渡るカリブー

夕暮れの極北の河を渡るカリブー

 星野道夫がこの世を去り、今年で20年を迎えます。

 極北の地に写真家が見た世界は、人間が誕生するはるか昔からそこに存在している素のままの自然でした。過酷な自然に適応し、生を謳歌する生き物たちの瞬間を捉えた星野道夫の写真は、私たちが忘れかけている大切なものをふと思い出させてくれます。また現地の人々との交流やアラスカの地に根付く神話の世界観を収めた一連の写真からは、自然と人間との調和を生き抜くアラスカの人々の逞しさがあふれ出ています。

 本展覧会では星野道夫没後20年を記念して、偉大な写真家の業績をおよそ250点の作品で紹介します。またあわせてアラスカで滞在した時に使用していた撮影機材やカヤックも特別に出展されます。

 「この世に生きるすべてのものは、いつか土に帰り、また旅が始まる」。星野道夫が旅した世界がここにあります。

氷上でくつろぐホッキョクグマ

氷上でくつろぐホッキョクグマ

氷上でくつろぐホッキョクグマ

星野直子さんからのメッセージ

 今年の8月で、星野道夫がこの世を去り20年になります。20年という時の流れの中で、あらゆるものが変わり続けながら時代が移り変わっています。

 今本人が健在だったら、どのような写真を撮り、文章を書いて私たちに何を伝えようとするだろうか、と考えます。きっと以前と変わることなく、アラスカに拠点を置き、そこでの暮らしから見えてくるもの、旅の途上で出会った風景、野生動物、人々の暮らしを、彼の温かな眼差しを通して伝えてくれるのではないかと思うのです。

 「行く先が何も見えぬ時代という荒波の中で、新しい舵を取るたくさんの人々が生まれているはずである。アラスカを旅し、そんな人々に会ってゆきたい。アラスカがどんな時代を迎えるのか、それは人間がこれからどんな時代を迎えるかということなのだろう。」とエッセイの中で書いています。混沌とした時代を案じながらも、未来へ向かっていく若者たちの力を信じ、私たちはどこへ向かっていくのかということを、写真と文章を通し私たちに届けようとしていました。

 本展は星野道夫の旅であるとともに、彼からのメッセージは、私たちそれぞれの人生の旅に通じていくものになるでしょう。

 最後になりましたが、星野道夫亡き後、彼の作品が読み継がれてきたことは、ひとえに彼の作品や人柄を大切に思ってくださっている多くの方々のご尽力があったからに他なりません。心からお礼を申し上げます。

(「没後20年 特別展 星野道夫の旅」図録あいさつ文より)

倒木に腰かける星野道夫

倒木に腰かける星野道夫

夜空に舞うオーロラと満月

夜空に舞うオーロラと満月

白夜の北極海にクジラを追う

白夜の北極海にクジラを追う

白夜の北極海にクジラを追う

(写真すべて)撮影:星野道夫

PAGE TOP