世界報道写真展とは

「世界報道写真展」は1955年にオランダのアムステルダムで、世界報道写真財団が発足したことにより、翌年から始まったドキュメンタリー、報道写真の展覧会です。毎年、1月から2月にかけて主に前年に撮影された写真を対象にした「世界報道写真コンテスト」が開かれ、国際審査員団によって入賞作品が選ばれます。十数人から成る審査員団は毎年メンバーを

替えて、審査の中立性を保つ努力がなされています。今年の「第59回 世界報道写真コンテスト」には、128の国と地域、5,775人のプロの写真家から、合計8万2,951点の作品が応募されました。1年を通じて、世界の45カ国約100会場で開かれる本展は、約350万人以上が会場に足を運ぶ世界最大規模の写真展です。

ウォーレン・リチャードソン(オーストラリア)
2015年8月28日 レスケ(ハンガリー南部)

年は41人がコンテストでの入賞を果たしました。コンテストの部門は全部で8つ。さらにそれぞれが「単写真(写真1枚)」と「組写真(複数の写真で構成)」に分かれています。入賞者は部門毎に各1位から3位までのいずれかに該当します。入賞者の中から、その年の最も優れた写真1点に対しては「世界報道写真大賞」が贈られます。今年の大賞はオーストラリアのウォーレン・リチャードソン氏が、セルビアとハンガリーの国境を越えようとする難民の男性と子どもを撮影。警備隊に見つからないようフラッシュを使用できない月明かりの下、国境の有刺鉄線付きのフェンスができあがる前の緊迫した様子が伝わってきます。

「人々」の部では、写真家の小原一真氏が組写真1位を受賞。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故から30年という月日が流れますが、いまだに多くの影響が残る現地を取材。原発近くで見つかったという期限切れのフィルムを用いて、悲劇の被害者の一人となった人知れず生きる少女を撮影しました。また、スポーツや自然など幅広い分野の写真を紹介しているのも本展の魅力です。グレッグ・ネルソン(アメリカ)は、全米大学体育協会(NCAA)男子バスケットボールの決定的瞬間を美しく切り取り、ブレント・スタートン氏(南アフリカ共和国)はチャド共和国での不法な象牙密輸の実態を撮影、受賞しました。さらに、昨年からは「長期取材」の部が新設され、前年に撮影された写真だけではなく、長期プロジェクトで撮影した作品も展示されます。

小原一真(日本)
2015年6月30日 キエフ(ウクライナ)

じ時代を生きる人たちの、普段目にすることが少ない現実。写真展を通して、世界で起きている紛争や現代社会の問題、奇跡的なスポーツの瞬間や、壊されゆく自然の姿を知ることのできる貴重な展覧会です。