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美しい不協和音 コムデギャルソン

2007年10月05日

 08年春夏パリコレクションには、明るく澄んだ色や柄があふれている。サクラソウのピンクにスカイブルー、サフランイエローや若葉のグリーン……柄はプリントが中心で、なかでもぼかした水彩画のような花が多い。にじんだきれいな色が今シーズンらしいロマンチックな印象を与えている。ほかに民族幾何やブロックチェックなどはっきりとしたモダンなタイプも。単独か、または自由に掛け合わせるブランドもある。暗さやストイックさよりも、今季は明るい夢や楽しさが求められているようだ。

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コムデギャルソン

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コムデギャルソン

 2日のコムデギャルソンのショーにも、いつになくポップな色柄がはんらんした。ランウエイにコミカルなアニメ「ザ・ワールド・ゴールデン・エッグス」が投影され、いつもは無音のシリアスな雰囲気の中で始まるショーが、おどけた感じのファンファーレと共にスタートした。

 発色の良いピンクや黄、紫。赤白のギンガムチェックにピンストライプ。そんなにぎやかな色柄を、重ね着などで一気にひとつのスタイリングに押し込める。柄や素材の違うコートを3枚重ねて着る手法は、08年春夏メンズでも見られたが、組み合わせが複雑化し、さらに意外性のあるカッティングも加わって、独創的で楽しい服に仕上げている。

 ところどころに、ひもがぶら下がっているのは、服のパターンの役割を布の袋が担っているから。身頃やフード、裾にぶら下がったフレアも袋状になっている。

 色柄だけでなく、古典的なクリノリンスタイルからスポーツ、イブニングスタイルまでモチーフもごちゃまぜ。そんなルール違反のミックススタイルなのに、全体としては完成度の高い、美しい服に見えるのは、デザイナー川久保玲ならではの優れたバランス感覚によるものなのだろう。

 テーマは「不協和音」。調和を強いて避けて、型にはまらないことの尊さを強調した。それはまた、全盛のリアルクローズへの反論のようにも思えた。エンディングに流れた映画「007」シリーズのテーマ曲が終わっても、観客の拍手は鳴りやまなかった。(編集委員・高橋牧子)

◇写真は大原広和氏撮影

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