現在位置:asahi.com>ファッション&スタイル>ビューティー> 記事 環境意識と夢 幸せな共存 08年春夏ミラノ2007年10月09日 9月29日に閉幕した08年春夏ミラノ・コレクションは、前季までのクラシックな傾向が一転し、環境を意識したナチュラルなスタイルが並んだ。黒に代わって、さまざまな色柄が復活。一方で、モダンアートの要素を取り込んだスタイルも登場した。先進国における高級ブランド消費が伸び悩む中、ミラノブランドはいま全盛のリアルクローズ(実際的な服)に反して、あえて次の新しさを探し始めたようだ。
しわの入ったゆったりとしたドレスに、リゾート地で着るようなフレアパンツ。ミラノの多くのブランドは、肩の力が抜けたナチュラルな服を打ち出した。 暑い国の民族衣装をヒントにしたエスニック調や、70年代ヒッピースタイルもある。足元はピンヒールから、素朴な革のぺたんこのサンダルへ。色はサンド(砂色)や生成り。カラフルなトーンも増えたが、海や植物など自然界から色目を取っている。人工的なにおいを一切排して「天然っぽさ」を強調し、環境への問題意識を込めている。 なかでもプラダは、ファンタジーあふれる斬新な服に、環境破壊への切実な危機感を潜ませて群を抜いた。会場の壁には、緑の花の上で楽器を奏でる妖精や、恐竜、火山の噴火などを描いたコミック風な絵。それがそのままパジャマスーツやドレスにアップリケされる。仕立てや柄から直線を除外し、コンピューターで作ったチェック柄ですら途中からゆがませた。 デザイナーのミウッチャ・プラダは「人々はデジタル社会という奇異な世界に入り込んでしまった。仮想ではなく、現実がどうなっているか考えないと」と語った。 ジョルジオ・アルマーニも「南」をテーマに、リラックス感のある上質なエスニックスタイルを見せた。沖縄民謡などのゆるやかな音楽も流し、南国のけだるい心地よさを演出した。「南が持つのびのびとした幸福感を表現することで、ファッションの画一化に異を唱えたかった」とアルマーニは舞台裏で力説した。 ナチュラルスタイルといっても、すっきりと都会的でフェミニンなデザインが多い。ミッソーニやエトロ、エミリオ・プッチも鮮やかな配色や柄を使ったモダンなエスニックスタイルを見せた。 一方、モダンアートから要素を得たグラフィカルなデザインも出ている。 グッチは現代絵画のような大胆な配色とロックンロール、それにオートクチュールの上品さをミックス。ドラマチックでエッジが効いているが、優雅な夢のあるデザインに仕立てている。着られる、実用的なアートといった感じだ。 ドルチェ&ガッバーナは、ずばり「若手の現代アーティスト」がテーマ。本物のカンバスのように断ち切ったドレスに花やしぶきをハンドペイントした。ドルチェとガッバーナの2人は「夢をかなえようと望む若いアーティストたちのエネルギーを取り込みたかった。過去の参照はもう終わり。ファッションには、文化の香りと新しいパワーが必要な時」と説明した。 ミラノのトレンドの旗振り役バーバリー・プローサムは、このブランド伝統のトレンチコートを透けるオーガンディで覆い、さざなみのようなフリルをよせて、繊細なドレスに変えた。 今シーズンはどのスタイルにもどこかしらロマンチックなイメージがある。そもそもファッションは夢のあるもの。環境への問題意識と楽しい夢が共存するのがファッションのいいところでもある。 ◇写真はすべて大原広和氏撮影 この記事の関連情報 |