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「魔術師」が贈る色の喜び オルガ・ベルルッティ

2007年12月17日

 フランスの高級紳士靴ベルルッティは深みのある微妙な色つやで知られる。ベネチアンレザーと呼ぶ革に様々な色を塗り重ねる技法を開発し、1895年創業の老舗(しにせ)に革新をもたらしたのが、4代目当主でアートディレクターのオルガ・ベルルッティ。パリのアトリエを訪ねた。

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オルガ・ベルルッティさん(パリのアトリエで)

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愛情と尊敬を込めて装飾したという顧客の木型。左からトゥールーズ・ロートレック、アンディウォーホル、フランク・シナトラ、ルキノ・ビスコンティのもの=宮本敏明氏撮影

 「見て! これが、仕上がったばかりのバッグ。730グラムしかないの」。初対面のあいさつをする間も惜しむように、ほおを紅潮させて新作を示した。

 バッグは05年から販売しているが、この新製品は、重さが同サイズの他のバッグの半分ほど。「世界中を飛び回るためには軽いバッグが必要」との顧客の声を第一に考えた。「今の時代、重くてもいいのは、私の感情ぐらいね」と笑う。

 紳士靴でご法度の色とされていた緑や黄を使い、「色の魔術師」と呼ばれた。実は好きなのに敬遠していた男性たちに、色の喜びを贈りたかったという。ロマンチックな色調や質感は「理想の男に向けて、女の立場で作っているからかしら。まず革に自由に話をさせる。革は気難しいけど、抑え込んだりしないこと」。

 理想の男性とは、年を取るほど良くなっていく人。「私の靴も長く履くほど味が出る。いい靴は40年の命を持つ。女性の靴? 女たちが移り気でなくなって、40年間履いてくれるなら作ります」

 アトリエに世界から顧客を迎え、時に食事もしながら注文靴の構想を練る。完成まで約1年。「今は何でも簡単に手に入るけど、欲しいと真剣に思う気持ちが大事。手に入れたなら、その靴を履いてどう過ごすか考えること。それが真のダンディーです」

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