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超ラグジュアリーな大人服 エルメス

2008年01月21日

 08〜09年秋冬パリ・メンズコレクション3日目の19日、ミラノ以来9日ぶりに晴れ間が見えた。たったそれだけのことなのに、バイヤーやジャーナリストの間に笑顔が多かった。メンズ・コレクションの規模は、参加ブランド数、観客やカメラマンの人数、注目度などからみて、市場規模と同様にレディースの4分の1くらいしかない。ショー日程も比較的ゆるやかだ。しかしそれでも、連日深夜までショーや展示会周りが続いて疲れがたまってきたせいか、観客席での話題はだんだんファッションのことよりも、天気と食べ物に片寄ってきている。

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エルメス(08〜09年秋冬パリメンズコレクション)

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ラフ・シモンズ(08〜09年秋冬パリメンズコレクション)

 エルメスのショー会場は、シャンゼリゼ通り脇のグラン・パレ。通り沿いの街路樹に新年を祝うイルミネーションが幻想的に輝き、午後8時を知らせるエッフェル塔もちかちか点滅する中を会場に入った。作品はいつも通り大人向けの洗練されたシンプルスタイルなのだが、素材の上質感には圧倒された。エルメスは今後さらに「超ラグジュアリー」の路線を目指すように見える。ぬれたように光るカシミヤフランネルのステンカラーコートや、アルパカモヘア製のなめらかなヘリンボーンのパンツ、いかにも柔らかそうなクロコダイルのピーコート……基本は、チョークストライプのジャケットとストレートパンツに、きめの細かいシルクのVネックセーターという組み合わせ。ネクタイ代わりに赤や朱色のスカーフを巻くアイデアも。

 ラフ・シモンズは前シーズンのアクティブなスポーツカジュアルから一転して、スマートで近未来的なジャケットスタイルを並べた。といっても、素材は粗野なジュートや包帯風のカシミヤニット、フランネルなど自然で加工されていない「生」のイメージを感じさせる。シルエットは極細で、秋冬物の服なのに体にぴったりとして肌のよう。

 ニットやフェルトのタイトなジャケットとモデルの脚の太さの極限まで細身のシガレットパンツに、厚底の靴を合わせる。ジャケットの肩のアクションプリーツは、運動量の計算からではなく、いかにボディコンシャスにして男性的な肩や背中の美しさを見せるかに重点が置かれているようだ。終盤には燃えさかる炎のような模様が圧縮フェルトのジャケットに描かれる。

 今シーズンは男性性の象徴として「男性的な肉体」にスポットが当たっているが、シモンズはミラノのブランドのようにマッチョな体だけでなく、細長い体を立体的に見せることによって、人の体、ひいては人類へのいとおしさを表しているような気がした。

 エマニュエル・ウンガロは、パリの紳士服ブランドのフランチェスコ・スマルトを手がけていたフランク・ボクレによる2回目のコレクション。ショートジャケットにカマーバンドを巻いたようなハイウエストのスリータックパンツの組み合わせなどラグジュアリーなフォーマルスタイルを見せた。拡大するロシア市場を意識しているのだろうか、ボヘミアン風のファーストールやふさふさのファーコートなどに見る独特のアクの強さが印象的。英語とフランス語だけでなく、ロシア語の作品説明書も客席にそなえてあった。(編集委員・高橋牧子、写真は大原広和氏撮影)

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