現在位置:asahi.com>ファッション&スタイル>ビューティー> 記事 レディーの気品漂う 08年秋冬NY・コレクション(前)2008年02月18日 08年秋冬ニューヨーク・コレクションが1〜8日に開かれ、200を超すショーや展示会が同市内の各所であった。パリやミラノのメンズコレクションでは「正統派のダンディーさ」に回帰する傾向が見られたが、ニューヨークでも華やかさより、落ち着きと気品のあるスタイルを提案するブランドが目立った。
演奏が始まると会場が一気に沸いた。ニューヨークのモードをリードするマーク・ジェイコブスのショー会場。ロックバンド、ソニック・ユースが刻むビートに乗って、モデルがステージを歩く。 観客の意表をついたのは派手な演出だけではなかった。前シーズンはアバンギャルドな試みで話題を集めたが、今回は一転してクラシックとも思えるスタイルを見せたのだ。背中にギャザーを施して独特のボリューム感を出したコクーン(まゆ)型のドレスや、ウエストに帯をしめたような造形のジャケットなど、随所にジェイコブスらしさをのぞかせたとはいえ、変貌(へんぼう)に戸惑いをもらす観客も少なくなかった。 「レディーライク」という言葉が現地メディアに登場した。意訳すれば「落ち着きと気品をそなえた、大人の女性らしく」となろうか。サブプライムローン問題で世界経済は不透明感を増し、米国内では大統領選予備選挙がつづく。誰もが現実と向き合わなければならない。そんな背景から、地に足のついたクラシックなスタイルがあらためて脚光をあびているようだ。 08年秋冬のレディー像の「指標」となったのがマイケル・コース。上質な素材とブラウンやベージュなど落ち着いた色彩で、体にほどよくフィットするドレスやスーツを提案。小道具の眼鏡もきまじめさを演出していた。 ビル・ブラスは新デザイナーに中国系のピーター・ソムを起用。ややタイトなシルエットで、モノトーンを基調に深みのあるブルーやグリーンを交える。定評のあるエレガンスにシャープな造形を加えたコレクションを見せた。 タイ出身のデザイナーが手がけるサクーンはプリントに独自の感覚を見せる。エスニックな雰囲気のあるチェックや花柄を使って、大人の女性に似合うドレスに仕上げた。ナルシソ・ロドリゲスのモダンな服も印象的だった。すっきりとした若々しいデザインで「レディー」一歩手前の女性にアピールしそうだ。 独自の服づくりを追求するブランドとして注目されたのがロダルテ。衣服といえば既製服が常識で、パリでもクチュールが衰退する中、あえてほとんど手仕事による服づくりを続ける。今回はニットのドレスが中心。少女が夢みる幸福感と不安とが混在したようなコレクションを披露した。 カルバン・クラインは得意とするミニマリズムに磨きをかけた。襟元のタックがシャツの襟やネクタイに見えるトロンプルイユ(だまし絵)など、知的なたくらみに満ちている。新進のプロエンザ・スクーラーは、1枚の布を折りたたんだようなプリーツがジャケットやドレスの身ごろになる、斬新な造形を試みた。 ◇写真撮影は大原広和氏 |