現在位置:asahi.com>ファッション&スタイル>ビューティー> 記事 地味な傾向、センス勝負 08年秋冬ミラノ・コレクション2008年03月03日 目新しさより安心感を――。16〜23日に開かれた08年秋冬ミラノ・コレクションでは、形や素材はやぼったいほど地味だが、組み合わせやディテールにセンスが光るクラシックスタイルが多かった。経済不安や、地球環境への意識が高まる中、デザイナーたちは形の冒険や豪華な素材使いを一時的に避けたのか。それとも時代の大きな変化にかなう、新しい意味と楽しさを提案したのか?
質素なヘリンボーンのふくらはぎ丈の70年代調ドレス、太い畝のコーデュロイのパンツ。ドルチェ&ガッバーナのショーには一瞬目を疑った。いつも時代の先端をゆく、きらびやかな服を発表してきたこのブランドが、時代遅れのような服ばかりを並べたからだ。 白シャツの下にデビッド・ボウイの顔入りTシャツを着たモデルも。ファッションに無関心なアキバ系の男の子がしていそうな着こなしだ。そんな服が、スカーフやベルト、2色使いのハイヒールなど小物を含めたコーディネートで、なぜかとても魅力的に見えた。 デザイナーの2人は「肌の露出が少なくて、優しく、目立ち過ぎない服が作りたかった。いま、安定感や永続性が求められていると思うから」と話した。 プラダもいつになく普通に見えた。透けるレースのタイトスカートのスーツなど、クラシカルな新作群。自らのブランドの90年代の服をヒントにしたという。テーマは「ファム・ファタル(妖婦)」。肌色の付け襟やメンズの定番シャツを合わせた服は、飾りがないのに色っぽさが濃く漂う。 いつもの豪華な毛皮ではなく、ツイードなどの素朴なウールでコートを作ったのはバーバリー・プローサム。派手さのないメンズ風の服を、胸につけた大きなクリスタル調ネックレスがさりげなく印象づける。 ジル・サンダーはこれまでのように新奇な色や素材に頼らず、量感とディテールだけで存在感のあるシャープな服に仕立てた。 前シーズンのリラックス気分や明るめの色使いは、より洗練された。マルニの落ち着いたチャーミングな配色や、アルベルタ・フェレッティの微妙な深みのあるブルー系のドレスは好感度が高そう。フェレッティは「ひとりではなく、世界中の女性に向けて作った」と語った。 ジョルジオ・アルマーニは「日本の小さな岬の純粋さに出会うような、旅へのあこがれ」を想像の出発点にして、ボヘミアンの要素を取り入れたシティースーツを見せた。足元は気取りのない平たい靴だ。 そんな流れと一線を画したのがグッチ。東欧の民族服とロックの要素をミックスした極細シルエットのスタイルは、ちょっと澄ましたスノッブな華やかさがある。ミンクやアストラカンなど豪華な毛皮に、民芸風の刺繍(ししゅう)を惜しげもなく施し、鋲(びょう)を打った。 とはいえ、絵画調のドラマチックなドレスを並べた前回と比べると、やはり少し地味ではある。依然、強さのあるおしゃれな服だが、着る人を選ぶことはない。 注目の若手イタリア人2人組が手がける6267。イタリアならではの端正な仕立てのスーツは、少し前までゴム製のビッグドレスを作っていたとは思えないほど上品だった。 今回のミラノで見られた地味な傾向は、世界経済の縮小が見込まれる中、奇抜を排した衣服で確実な売り上げを期待した面もあるだろう。地球環境が深刻さを増し、消費拡大のための、ことさらの新味に別れを告げようとしたようにも見える。新しさより、センスの良さ。そんな流れを感じた。 ◇写真はすべて大原広和氏撮影 注目アイテムPick UP - ゆとりのあるライフスタイル asahi.com SHOPPING
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