ヒデノブ・ヤスイ(08〜09年秋冬東京コレクション)
モトナリ・オノ(08〜09年秋冬東京コレクション)
ゼチア(08〜09年秋冬東京コレクション)
ヒロミ・ヨシダ(08〜09年秋冬東京コレクション)
ミントデザインズ(08〜09年秋冬東京コレクション)
官民がようやく手を組み、ファッション産業の振興に乗り出した「東京発 日本ファッション・ウイーク(JFW)」も3年目、6回目を迎えた。「東京発」がどれだけ世界に届いているかは後日の検証にゆだねるとして、事務局によると海外からの186人を含むジャーナリストの登録者数は計850人超と過去最も多い。中国のファッションチャンネル局が現場からリポートする場面もおなじみに。
「新進デザイナーの登竜門」を旗印とするだけあって、中心イベントの東京コレクション・ウイークには12ブランドが初参加、JFWが会場費を提供する支援ブランドも10と過去最多となった。
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初日は7ブランドが披露された。3つが初参加にもかかわらず、コレクション1日目にして2つのトレンドの芽生えを感じたのは早合点だろうか?
期せずして初登場の3メゾンがそろって掲げたのがメンズの「テーラード・テイスト」と女性らしさの融合。オープニングを飾った「ヒデノブ・ヤスイ」はロンドン、「モトナリ・オノ」はベルギーの名門ファッション大学で学んだ経験があり、共に今回がデビューコレクションとなるが、欧州仕込みのメンズ・テーラリング技術を随所にちりばめた。
「ヒデノブ」はメンズの背広からヒントを得たピークト・ラペル(剣襟)をアイコン化し、量感たっぷりのエレガントなドレスやコートに「飾り」としてあしらった。ジャケットの前身ごろ部分だけを、裾のヘムラインを生かしてシャツやマフラーにリデザインした珍しさも目を引く。
全体のテーマが、女性をコルセットから解放しエレガンスを追求した「ポール・ポワレへのオマージュ」というだけあって、ラインはギリシャ神殿の円柱を思わせるようなプリーツをふんだんに用いた縦長細身が中心。一方で、足元はすべてメンズのおおぶりなビジネス靴を合わせ、ランウェイは工事現場で使われる鉄板の足場を敷くなど取り合わせの新しさをねらっていた。
「モトナリ」もレースやフリルを多用、デザイナーの小野原誠はゲームソフト「ファイナル・ファンタジー」からヒントを得て「徹底的におタク系可愛らしさを追求」しつつ、そこにやはりベルギーで学んだ伝統的なメンズのテーラードテイストを融合させた。
「メードカフェ」のフリルのエプロンを連想させるミニスカートに、あえてかっちりしたグレーの背広風ジャケットをコーディネート。襟元には黒いレースをあしらうといった具合だ。
JFWに新ブランド「ゼチア」として初参加したデザイナーのリカも、ベースは羽飾りや花柄、ウエストコンシャスなスーツと「手袋からメーク、髪の毛まで、女性が最もおしゃれに気を遣っていた50―60年代を表現」。しかしそこに「フューチャリスティクな要素」(同)として、やはりメンズライクなディテールを入れ込む。
ショー冒頭から、スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)の制服かと見まごう女性警部風スーツ。肩章や胸や腕のエンブレムまで雰囲気はそっくりだが、かの地の警官のトレードマーク・山高帽からは、豪華な羽飾りが天に伸びていた。
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一方、ベテラン勢から読み取れたのは、引き続きエコ・コンシャスな志向。昨年の春夏コレクションから東コレに復帰した「ヒロミ・ヨシダ」は「フォレスト」をコンセプトに、初秋から厳冬期まで移ろいゆく深い森の風情を表現した。
薄いベージュからこっくりとしたモスグリーン、そして深紅の紅葉、最後は焦げ茶から黒へ、その色彩が変化するさまは絵画を見るように美しい。裾を絞ってゆったりしたパンツには、このグラデーションを一覧できる作品だ。「森が出す酸素によって、我々は生かされているのだと、感謝の思いを込めた」と吉田ヒロミ。
夜9時30分から、ミッドダウン内の物販ショップが閉まった後、廊下を回廊のように使って行われたミントデザインズは、驚きに満ちていた。雑誌やカタログのページをシュレッダーにかけた細かい紙くずを、服の一部としてしまったのだ。
裾から袖からポケットから、あらゆる場所から細かく裁断された紙がのぞく。髪の毛にも鳥の巣よろしくこんもりと盛られ、手にした額縁からもその紙たちがアート作品となって飛び出す。
「もともと紙には情報が書かれていた。それは通常はゴミになるが、情報化の現代だからこそ服としてよみがえらせたかった」
ゼチアのクリエーティブ・デザイナー、中川正博も「リサイクチュール」と題して、ショーの最後に個人の古着を再生した作品を披露した。それは小池百合子衆議院議員が、92年の参議院に初登院した時に着用した緑のスーツ。ショーを最前列で見ていた小池氏は「思い出の服が新しいものになってうれしい」とご満悦だった。(柏木友紀)
◇写真は大原広和氏撮影
一見シンプルでクラシック。でも、ちょっと見たことがない形。新たな造形の試みが目をひいた。
クラシックとボヘミアンの二大傾向。新しさより、センスの良さ。地味めの印象は、時代の流れか。
脚光を浴びた「レディーライク」は、意訳すると「大人の女性らしく」。アジア系デザイナーも台頭。
3年目、6回目を迎えた「新進デザイナーの登竜門」。作品の数々を写真特集で。