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ウサギ、着物…トーキョー発の「混沌」と「不思議感」

2008年3月12日

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写真ネ・ネット(08〜09年秋冬東京コレクション) 写真まとふ(08〜09年秋冬東京コレクション) 写真ミキオ・サカベ(08〜09年秋冬東京コレクション)

 ウサギあり、着物あり、メンズ・アンダーウェアあり……。08年秋冬・東京コレクション・ウイーク2日目の11日は、7ブランドが新作を披露したが、トーキョー発のファッションの多様性というか、幅広さを改めて実感させた。

 出展数では倍近いパリ、ミラノはモード感のあるハイ・ファッション中心、100近いブランドが参加するNYもリアル・クローズ中心と、大ざっぱに言えば括る言葉が見つかるが、トーキョーを表すとするとなかなか難しい。「混沌(こんとん)」とでも言おうか。この日、独自性の高さで注目される2ブランドがくしくも、それぞれ全く異なるベクトル上にありながらも、「不思議感」が漂っていたのは共通していた。

    ◇

 スモークの中から姿を現したのは巨大な黒ウサギだった。歩いて来るのも、鼻を黒く塗り、ウサギのお面をかぶり、フードや帽子からも二本の長い耳が伸びているモデルたち。「ネ・ネット」の今季のテーマは、若干の不気味さと可愛らしさとミックスさせた「ウサギ」。

 そのココロを、デザイナーの高島一精は「時代の『モヤモヤ感』というのでしょうか、自分の頭の中がすっきりしないからでしょうか、何を信じてよいやら、何とも言いようのない思いを形にしていったら、ウサギにたどり着いた」という。ファンタジー性を信条とするブランドだけに、現実社会での具体的事象についての明言は避けたが、様々な偽装が次々に発覚する世相を反映したことを言下に示していた。

 ドレスのシルエットはモコモコッとして柔らかな膨らみあるデザイン。アンゴラやモヘア、ベロアといった柔らかでボリューム感ある素材を多用、手袋やマフラー、帽子にいたるまでウサギ尽くし。

 それにしても、なぜ、ウサギなのか? ヒントはプリント柄に描かれたキャラクターにありはしないか?おばけやふくろう、シルクハットの男性。何とはなしに「不思議の国のアリス」を思い出した。ウサギがナビゲートする何でもありの不思議な世界をイメージした?「そう取ってもらって結構です」(高島)

 伝統的な着物の技法を採り入れた独特の優美な服で知られる「まとふ」。ブランドを貫く軸は引き続き江戸時代の慶長期に置きながらも、今回はしぼり、染め、ししゅう、金箔(きんぱく)とあらゆる技法を駆使して豪華できらびやかだった時代を再現させた。前回が「侘び寂び」がテーマだったのとは対照的だ。

 「前回は引き算の美学でしたが、今回は華やかさや楽しさを『何でもあり』で表現した足し算でした」とデザイナーの堀畑裕之。確かに、着流し風の長着のシルエットに変わりはないが、胸元はアメリカン調のネックレス、足元はすべてブーツ、中綿を入れた温かみあるアウターと、ポップ感が随所に感じられる。

 洋の東西、過去と未来、哀楽といった反対要素がちりばめられ、自分が異次元な空間にいるような不思議な感覚にとらわれた。客席からは「以前より、着物から洋服に近づいている」という声も上がっていた。

    ◇

 「不思議感」はこの日、他ブランドにも渦巻いていた。「ミキオ・サカベ」が体つきや顔立ちといった個性をあえて殺し、無機質な「制服」をテーマにしていたフューチャー感覚もそう。「ジョウタロウ・サイトウ」の着物は、もはやジャポニズムの域を超えて突き抜けていたし、初出場の「アンダー・キャッスル」の下着も、「その世界」の仲間うちでの共通言語みたいなものを感じた。(柏木友紀)

◇写真は大原広和氏撮影

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