ヒロココシノ(08〜09年秋冬東京コレクション)
イオ・ユウコムラタ(08〜09年秋冬東京コレクション)
東京のファッションブランドの優位性のひとつに、凝ったオリジナル素材を使っている点がある。欧米の多くのブランドは、国際的な素材見本市プルミエールビジョンなどに参加する生地メーカーの素材をそのまま使う場合が多いが、日本ではデザイナー自らがイメージした生地を、メーカーに作ってもらう例が普通だからだ。
その代表ともいえるのが、ヒロココシノ(コシノ・ヒロコ)。今期も手間ひまかけた多彩な素材をそろえた。ショーの前半は、「オートクチュールへのオマージュ」との題で、カッティングとシルエットにこだわった黒のミニマルスタイル。後半のボヘミアンスタイルの素材が特に凝っている。キルティングしてさらに一部を刈って大胆な花模様を作ったフェークファーのビッグコートや、王朝時代の古びた布のような表情を出したジャカードのコート。一枚の毛布で体を包み、襟風にひだを取ってししゅうを施したカフタンコート。リボンなど可愛らしいディテールを加えて、ぜいたくな大人のボヘミアンスタイルに仕上げた。
イオ・ユウコムラタ(村田有子)のモデルは、カラフルな自転車に乗って現れた。パーカやショートパンツなどのスポーツウエアに、チェック柄やファーといったキュートな要素をミックス。数字のアプリケにベレー帽。ちょっとボーイッシュで、レトロなフランスのリセ(女子高校生風)スタイルが可愛らしい。
インスピレーションは、世界的な自転車競技ツール・ド・フランスを題材にしたフレンチアニメーション映画「ベルヴィル・ランデブー」から得たという。フィナーレは、フリルのミニ丈ウエディングドレス。花嫁が羽織っていたパーカを脱ぐと、花婿が自転車に乗って迎えに来るという演出も軽やかだ。(編集委員・高橋牧子)
◇写真は大原広和氏撮影)
一見シンプルでクラシック。でも、ちょっと見たことがない形。新たな造形の試みが目をひいた。
クラシックとボヘミアンの二大傾向。新しさより、センスの良さ。地味めの印象は、時代の流れか。
脚光を浴びた「レディーライク」は、意訳すると「大人の女性らしく」。アジア系デザイナーも台頭。
3年目、6回目を迎えた「新進デザイナーの登竜門」。作品の数々を写真特集で。