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小さな箱に大きなロマン スイスの高級時計見本市

2008年05月03日

 高級時計のデザイン動向を左右する見本市「バーゼルワールド2008」と「国際高級時計見本市(SIHH)」が4月上旬、相次いでスイスで開かれた。ダイヤモンドなどの宝飾使いや、大ぶりのサイズで豪華さを競う、前年までの傾向が一段落。使い勝手や身につける楽しみを追求し、小さな箱に大きなロマンを感じさせる工芸品のような新作が増えた。(編集委員・高橋牧子)

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サントス・トリプル100

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インフィニティ・ルーピング(ピエール・クンツ)

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C1トゥールビヨン(コンコルド)

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パテック・フィリップの「5207モデル」

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Aランゲ&ゾーゲ

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ゼロG(ゼニス)

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ディープ・シー(ロレックス)

 いつもはローマ数字の上品な文字盤。リュウズをひとつ回すとダイヤが輝くチェス盤の面が現れ、もうひとつ回すとこわもてのトラに早変わり。

 カルティエの「サントス・トリプル100」は、三角柱の棒を回して表面の絵柄を変える幼児の玩具がヒント。ネジを回すごとにぱたんぱたんと面が一変し、大の男たちが少年のように目を輝かす。限定20本、3700万円だが、照会が殺到した。

 ◆◆素材も機能も多彩

 スイス出身の気鋭ピエール・クンツは、分針だけが文字盤をくるくる回るユニークなメンズの機械式時計を発表。フランスのヴァンクリーフ&アーペルはガラスの文字盤に手で星座を描き、パリの夜空を表現した。季節の星座を見る機能や、細部に本物の隕石(いんせき)を使うなど、壮大な宇宙に夢をはせる技が仕掛けられている。

 時計は時を見るだけでなく、時を作るものと位置づけたのは、エルメス。つける人の大事な時間帯だけがゆっくり進むように見える6種の文字盤を作った。

 一見シンプルだが、真珠貝に繊細な彫りを入れたり、立体的な多層構造にしたりと、複雑で「通好み」のデザインが増えている。

 素材や色、機能のバリエーションも広がった。昨年のピンクゴールド一辺倒からイエローゴールドやセラミックを含めて多彩になり、ゴムとダイヤなど意外性のある素材の組み合わせも。文字盤の色も白やグレーなど明るく軽いトーンが目についた。

 機械式時計の男性ファンを驚かすような機能が増えた。重力で起こる誤差を軽減する装置トゥールビヨン。搭載するだけで1千万円ほども値段が跳ね上がる機能だが、コンコルドは、それを大胆に外に飛び出させてオブジェのようなフォルムを作った。一方、パテック・フィリップは、豪華なトゥールビヨンをあえて隠し、控えめなデザインの中に潜ませた。

 Aランゲ&ゾーネは回転し続けるのが常識だった歯車に、止める装置を加え、ゼニスは、どんな姿勢をとってもメカニズムを水平に保って重力をゼロに近くする機能もつけた。

 ◆◆最深3900メートル防水技術

 実用的な時計の代表格、ダイバーズウオッチの復活も話題だ。日本のセイコーやシチズンなどを含む多くのブランドがデザインや機能を一新した。なかでも話題はロレックスの「ディープシー」。特殊なケース構造により、これまで機械式では「世界最深」とされていた水深3千メートルまでの防水性を、3900メートルまで高めた。

 初めてダイバーズウオッチを手がけたスイスのパルミジャーニ・フルリエの、日本総代理店の社長は「実際に使う機能かどうかはともかく、それを作る技術を想像して楽しむ人が増えた。高級ダイバーズウオッチは、そうした層をさらに広げる品でもある」と語る。

 男性向けの機械式時計は高級化が進む中で、外見の派手さよりも、遊びやゆとりを表現する新しい段階にきているようだ。

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