ディチェザレ・デザインのパラシェル(右)とリズム=東京・六本木の国立新美術館、郭允撮影(協力・スーベニアフロムトーキョー)
WAGASA
センズ
福井洋傘のヌレンザ=横浜市の横浜高島屋で
ハンウェイが扱うオーダーメードの傘の部品。
紳士用のハンドル(写真上)にはシガーケースやパイプを内蔵したものも
雨の日には心軽やかに、夏の日差しの下では優雅に。持つ人の気分を演出してくれる、楽しい傘が増えている。デザインに凝るだけでなく、優れた機能を備えたものも。アイデアに満ちた最近の雨傘や日傘を集めてみた。(西岡一正)
印象派の絵画に描かれた、パラソルを手にする貴婦人。そんなイメージを追究したのが、ディチェザレ・デザインの日傘「パラシェル」。貝殻を思わせる優美なフォルムが目を引く。中棒を肩に載せるように持つと、うなじから胸元までが自然に陰になる。
デザインを手がけたのはカナダ人彫刻家のジョン・ディチェザレ。「自然の美しい形を採り入れた傘が作りたかったので、傘の文化の豊かな日本に来た」と話す。試作品を京都の洋傘メーカーに持ち込み、修正を重ねて独創的な傘を作り出した。
今シーズンは色数を増やし、レース張りなどバリエーションを広げた。ほかにも、骨の張りを変化させて傘の上面に凹凸をつけた雨傘「リズム」や、同じ構造の日傘「カボチャ」などがある。
日本の傘文化を育んだのは和傘。今シーズン発売された「WAGASA」は、竹を原料とする和傘のエコロジー性を受け継ぎつつ、現代的なデザインを施している。東京のデザイナーと京都の漆の会社、竹会社が合同ブランドSINARUの下で開発、京都の和傘メーカーが生産する。
「和傘は先端を下にしておくと雨水がしみて傷みやすく、また骨が広がるので傘立てには入れにくい。そこで雨水がしみにくい構造を考案し、骨をロックする機構を備えた」(デザイナー島村卓実)。竹と漆の美しさを際立たせるため、紙の代わりに新開発の透明フィルムを使用。和傘のイメージを軽やかに刷新した。
台風シーズンに活躍しそうなのが、オランダ発の「センズ」。横から見ると、前が短く、後ろが長く伸びたフォルムが印象的だ。工科大学の学生3人が空気力学に基づいて設計し、時速100キロの強風にも耐えるという。
国内の市場は、消耗品感覚の安価な傘と、海外ブランドなどの高価格品の二極化が進んでいる。「高価格品では2万〜3万円台が伸びている。日本は雨が多いので、デザインだけでなく機能性も求められる」(横浜高島屋のバイヤー)。
そうした傾向の中でヒット商品になったのが福井洋傘の「ヌレンザ」。独自開発した撥水(はっすい)性の高い生地を使い、ひと振りすれば水滴がほぼ落ちる点が注目される。
が、人気の秘密はそれだけではない。ハンドルの形状に工夫を凝らし、握力の弱い人でも持ちやすくした。環状なので、たたんだ状態では手首にぶら下げられる。ユニバーサルデザインを意識した傘でもある。
●持ち手にパイプ内蔵
高級品志向の究極はオーダーメード。傘専門店ハンウェイはオリジナル商品とともにオーダーにも力を入れる。フォルム5種、骨の素材・サイズ17種、布地は約60種とバリエーション豊か。高級パイプの職人が手作りする、シガーケースやパイプ内蔵のハンドルという遊び心あふれる部品もある。