カジュアルなニットのラインも打ち出した(リーラン)=大原広和氏撮影
中国人デザイナーとして東コレに初参加した計文波(ジ・ウェンボウ)=山谷勉撮影
日本ファッション・ウィーク(JFW)の中心企画で、1日から開かれた09年春夏の東京コレクションに、中国の男性デザイナーが初めて参加し、濃密なメンズラインを披露した。世界の注目の中で五輪を成功させた中国の熱気と勢いは、東京のランウェイにも一陣の風を巻き起こせたか。(菅野俊秀)
東京ミッドタウンの会場。暗がりに、京劇の始まりのようなドラの音が鳴り響いた。
昨年、ミラノ・コレクションにも参加した中国人デザイナー計文波(ジ・ウェンボウ)(50)が手がけるメンズブランド「リーラン」が発表したのは、秦の始皇帝陵で発見された兵馬俑(へいばよう)に想を得たというコレクションだ。
上腕に幾重も輪をかけたように見える黒いライダースジャケット風の上着に、両脇に剣でも入りそうな膨らみを持つ黒いパンツの組み合わせは軽快な戦闘服の印象。
わずかにラウンドしたナローラペルの黒いスーツは、幾何学的な柄や、うろこのような文様が浮かんで、鎧(よろい)や甲冑(かっちゅう)などに施した意匠を思わせる。
兵馬俑のデザインを再構成し、2千年の時を超えた現代で活躍するアジアのビジネス戦士に新しいスタイルを提案したかったと、計は語る。「中国の歴史・文化を背景にした服を、影響力がある東京コレクションで発表し、ぜひ日本市場にも進出したい」。日本の素材・アパレルメーカーとも連携を強めたい考えだ。
今回のショーのために来日した中国人モデルの呂元浩(ロ・ゲンホウ)は計の服を「シンプルだけど単純じゃない高級感が魅力。欧米にはないオリエンタルな柔らかさがある」と言う。
05年の旭化成キャンペーンモデルで、現在はパリやミラノのコレクションでも起用される莫万丹(モウ・マンタン)も駆けつけ、紅一点、ランウェイに花を添えた。「中国のトップデザイナーの計さんが東京で成功するよう、少しでも力になりたかった」
かつて東京、ソウルで五輪を開催した日本や韓国がそうだったように、北京五輪の成功にわく中国では急速な経済発展が続く。
計は「ファッションへの関心も急速に高まっており、より質のいい服を求める消費者のエネルギーを肌で感じている」と話す。
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5年連続で二けたの経済成長を続ける中国のファッション市場はどうなのか。
94年から東コレに参加する「テ・アシュ・デラメゾン」のデザイナー畠山巧は02〜04年に中国のアパレル企業とデザイナー契約を結び、北京コレクションに参加した。中国に通って服作りを教えたが、彼らが好む色、素材、形、風合いなどに、日本との大きな隔たりを実感したという。
「いまの中国はまだ作れば売れる市場。生産基地としての水準は上がっているが、クリエーションとしての服作りの底上げはこれからだ」と話す。
五輪期間中に北京を訪れたデザイナーの小西良幸は、国威発揚に奮い立つ中国の人々が少し先を急ぎ過ぎているように感じた。
「欧米ブランドのコピー商品で身を固めた若者は、一見、日本の若者より格好いい。だが表面をまねるのは簡単。中国ならではのスタイルが現れるには、もう少し時間がかかりそう」