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東京コレクションの若手作品 練られた装い、日本を主張

2008年9月23日

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写真写真左:レプ・ラス/写真右:ミキオ・サカベ

写真写真左:モトナリ・オノ/写真右:アグリ・サギモリ

写真アキラ・ナカ

 09年春夏・東京コレクションでは、清新な中にも、よく練られた計算を感じる20〜30代の若いデザイナーたちの服が目を引いた。それぞれ独自の創作世界を持ちながら、共通するのは人が着ることを明確に意識し、かつそれをカジュアルではなくモードの領域で作り込んでいること。欧州でデザインを学んだ留学経験者も多く、東コレからの発信は彼らが日本を見つめ直す営みでもある。(文・菅野俊秀、青山祥子 写真・大原広和氏)

 今回デビューしたレプ・ラス(井下田成司、加藤良子)は、すっきりと見えて、細部まで気を配った大人の女性の服をそろえた。

 スカートやドレスに、タックで微妙な膨らみを出したり、胸元に折り紙のようなアクセントを付けたり。無駄なものをそぎ落とした上でさりげなく見せる変化が、服にグレード感を与えている。

 井下田は「着て感じてもらえる、本質的なものを表現したかった」。本質的なものとは? パリ・サンディカ校で学んだ加藤は「日本の精神性や美意識」をあげる。茶室の研ぎ澄まされた空気。ないものをあると感じて想像をかき立てる文化。「こうした日本の繊細さを、独自のカッティングや日本の素材で表現し、東京から発信していきたい」。自分たちの世代は、欧州への気後れも、日本への反発もなく、素直な気持ちでものをつくることができる、と2人はいう。

 ミキオ・サカベ(坂部三樹郎、シュエ・ジェンファン)の会場にブーンと響いた気だるい音は、耳鳴りの音だった。強い太陽に照らされたときに襲う、めまいや耳鳴り。そんな「リアルなリゾート」をイメージ。チャイナドレス風のワンピースは、ナイロン素材にスパンコールの刺繍(ししゅう)で情緒性を持たせた。が、涼しさとは別の冷たさも漂う。

 アントワープ王立芸術大出身の坂部は「日本の新素材を使って、東京のモードシーンにリンクする若くてポップなエレガンスを出したかった」。

 モトナリ・オノ(小野原誠)は、「中世の女騎士」がモチーフ。クラシカルなミリタリー調のジャケットに、フリンジのついた肩章やメタルのボタンを多用した。女性らしさの象徴である「純白」のイメージから白を基調とし、ブーツのヒモなどの深紅の色で血しぶきを表現した。ロンドンやアントワープで学んだ小野は「甘くなりすぎず、堅くなり過ぎずということを意識して仕上げた」という。

 アグリ・サギモリ(鷺森アグリ)は、「言葉を愛する気持ち」を繊細な素材使いと織りや染めの技法で表現した。「君が愛した僕」「ユルス」(許す)といった文字を伝統的な有松絞の技法で生地ににじませたり、江戸川乱歩の小説の一節をジャカードに織り込んだり。「日本語を身にまとい、相手にその解釈をゆだねる。余白の美を愛する日本の美意識につながる」と鷺森はいう。

 アキラ・ナカは、20世紀初頭のロシア構成主義の芸術家バーバラ・ステパーノバからイメージした強い女性像を打ち出した。シルクウールサテンの黒いドレスは、袖は熱加工したアクリルニット、胸元にはレーヨンに樹脂加工してフェイクファーのような質感を出すなど、手が込んだ異素材の組み合わせ。デザイナーは「女性が袖を通し、着てみて初めて完成する」と話す。

 2回目の参加となるヒデノブ・ヤスイ(保井秀信)のテーマは「Eyes」。ものの見方によって感じ方も違うことを、男の背広のディテールを女性の身体に合わせて柔らかく再構築することで見せた。

 ロンドンのセントマーチンズ大出身の保井もまた、着られることを常に意識し、動いたときの服の美しさを考える。ショーではモデルをジグザグに歩かせ、様々なポーズをとらせた。「服は人が着てナンボ。着た人の見た目がどうかが勝負。ファッションとはそういうものでしょう」

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