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大人顔負け 海外ブランド わが子にも

2009年6月23日14時16分

写真:「D&G JUNIOR」=鈴木好之撮影拡大「D&G JUNIOR」=鈴木好之撮影

写真:「D&G JUNIOR」=鈴木好之撮影拡大「D&G JUNIOR」=鈴木好之撮影

 ファッション好きな人々が今、海外人気ブランドのキッズラインに熱い視線を注いでいる。凝ったデザインや良質な素材、トレンド性はもはや大人顔負け、高級ブランドからファストファッションまでバリエーションも広がった。子供のファッションは今では、両親や祖父母世代も含め、一家で世界観を共有する手段のひとつにもなっているという。(柏木友紀、菅野俊秀)

 6月中旬の日曜日、東京の日本橋三越本店の子供服売り場に、おめかしした親子が続々と集まってきた。「キッズモデル撮影会」の始まりだ。

 川崎市の主婦、松田みちるさん(29)は俊太郎君(3)と参加した。俊太郎君はTシャツもパンツもイタリアのデニムブランド、ディーゼル。もともと夫婦でここのデニムを愛用しており、俊太郎君も赤ちゃんの時から着ている。

 「いかにも子供!という感じの子供服とは、色づかいやデザインが違う」と松田さん。確かに、売り場には単純な原色づかいは少ない。俊太郎君のTシャツもアースカラー。首周りや袖口のデザインも一ひねりされている。「カジュアルだけれど個性的で、高級感もある。大人の服と同じテイストなのがいい」

 東京都杉並区の根本紗華(さやか)ちゃん(2)はフランスのキャシャレルでコーディネート。母親の美和子さん(42)が選ぶポイントは、「まず着やすさ、そしてデザイン。遊び盛りの子供が軽く楽に着られる」という。レディースラインさながらの大人っぽい雰囲気だが、「どこか昔ながらの子供服のよさを残しているのが気に入っています」。

 売り場の島雄泰久マネジャーは、「親子で同じブランドの服を着るお客様も少なくない。個性的な海外ブランドの子供服には力を入れていく」と語る。

 東京のホテルニューオータニにある店を構える子供服専門店「マ・メール」には、エトロやアルベルタ・フェレッティのキッズラインなど約30の海外ブランドがそろう。

 世田谷区の会社員、安田陽子さん(43)が2人の娘、杏(あんな)さん(10)と愛(まりあ)さん(6)と買い物に来ていた。おそろいの服はイ・ピンコ・パリーノ。隣にはこのブランドだけの店もある。今年の春夏トレンドのマリンを感じさせるシックな紺色。ワンピースだがポロシャツとスカートのようにも見え、胸元のワンポイントが効いている。安田さんが着ていたブラウスもベルギーの子供服ブランド、エッセンシャル・ガールズ。娘たちとおそろいで着ることも。好みがはっきりしてきた娘たち自身に、服を選ばせるという安田さん。「ほかの人が着ているからとか、このブランドだからではなく、この服が着たいという意思を大事にしたい。子供時代にしかできないおしゃれがあると思う」

出版界も注目

 ミラノ・コレクションで人気のD&Gは、01年秋冬からジュニアラインをスタート。日本でも昨年から都内のデパートに専門店を開いている。すべてイタリアの本社でレディースやメンズラインと同じチームがデザイン。テーマを共通化しているシリーズもある。

 この春夏の注目は「ヴィンテージ・ハワイ」のシリーズ。鮮やかな花々をプリントしたシャツやショートパンツをはじめ、水着やビーチサンダルまでトータルにコーディネートでき、トロピカルな雰囲気が漂う。

 メンズラインも得意なブランドだけに、ボーイズにも力を入れ、売り上げの半分以上を占めている。サーフィンをモチーフにしたTシャツは、メンズやベビーもある。小林由美子店長は「ご両親がブランドのファンだったり、ギフトで存在を知ったり。親子でともに着て、売り場に来られることもあります」。

 子供に着目する動きはブランドに限らない。

 ヴォーグ・ニッポンは04年春から年2回、「ヴォーグ・エンジェルズ」を別冊付録として発行、子供の服やインテリアなどを特集している。カメラマンやスタイリストらも本誌から招き、スーパーモデルが自身の子供と登場するなど、凝ったグラビアが人気だ。高級ブランドだけでなく、今年の春号ではGAPと共同で特集を組んだ。赤ずきんや星の王子様などのおとぎ話の世界をファッションで再現、各ショップでも展示した。

 「ストーリー性や夢もありながら、シニカルな視点も入れ、大人が読んでも楽しめる『モードの絵本』をイメージした」と編集部の松山ユキさん。

 07年3月創刊の子供ファッション雑誌「ミルク」も、世界の子供部屋や絵本の特集など、子供の環境を感度高く彩る工夫で注目を集める。中里邦博編集長によると、読者層の中心は30代前後の消費に強いこだわりを持ち、普段から海外系ファッション誌などを購読している人。「共に行動するのだから、調和は大切。家族全体で価値観を共有するためにも、子供のファッションは重要になってきた」

 「着せ替え人形」「親の好みの押しつけ」との批判もあるが、「子供の感覚が未分化の段階では、親の価値観でリードする必要がある。センスは継承されるもの。ファッションには祖父母世代も含めた世代的つながりが色濃く表れているのです」。

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